緋色の研究 (コナン・ドイル)【読書】

      2014/12/08

シャーロック・ホームズ、デビュー戦!

緋色の研究

アーサー・コナン・ドイル著『緋色の研究 (A Study in Scaret) 』読了。阿部知二訳。1960年創元推理文庫刊 (1886年原著初出) 。184ページ。

インドに従軍して帰国したワトスン博士は、ふとしたことからベーカー街221番地Bに風がわりな友人と同宿することになった。その名はシャーロック・ホームズ!かくしてホームズとワトスンの不朽の名コンビが誕生することになった。二人が手がけた最初の事件、それが本書「緋色の研究」である……空家の中で殺されていた謎の死体、その壁に血書された”復讐”の文字。この怪事件にとまどう警察当局をしり目に、ホームズの快刀乱麻を断つあざやかな推理は、過去にさかのぼって驚くべき真相に到達する。ホームズが全世界の読者に初登場のあいさつを送った記念すべき第一作!

via: P1

三谷幸喜さん脚本の人形劇『シャーロックホームズ』(Eテレで放送中) が面白いので、原作のホームズも読んでみたくなった。

三谷版は「学園ミステリー」と銘うって、設定を学園モノにガラッと置き換えているが、どこをどんな風に変えているのか、興味が沸いたのだ。

ぼくはシャーロキアンではないが、若いころに何冊か読んだことがある。本作『緋色の研究』はそのうちの一冊。言わずと知れた、シャーロック・ホームズのデビュー作だ。本棚の奥底に眠っていたのを、探して引っ張り出してきた。

古い版の創元推理文庫、懐かしい。奥付を見ると、1998年 (67版!) となっているので、もう15年以上前になる。字が細かくて読むのにやや難儀したが、面白さに惹き込まれて、一気に読んでしまった。

例によって内容はすっかり忘れていた (人形劇を観たので、何となくの流れはわかってたけど) ので、初読のごとく堪能できた。

第一作らしく、ワトスンとホームズが出会う経緯、ホームズの人物像などが、やや詳しく書かれていて、それらが事件以上に楽しかったりもする。

ワトスンのホームズ評、「シャーロック・ホームズの学力」なる12項目の箇条書きまで出てきて面白い。

三谷さんも製作発表だかで言っていたように、「ミステリとゆうよりはアドヴェンチャー (冒険) 」といった趣きなのも、読んでみてなるほどなあと思った。犯人を当てるとか、何かを推理するってのとはちょっと違った面白さがある。

ホームズの推理がとても科学的なのにも驚いた。思考が論理的なだけでなく、手法そのものも、測定や観察、化学の知識まで駆使している。ホームズは根っからの科学者なのだ。

どことなく雰囲気が東野圭吾さんの「ガリレオ」シリーズっぽいと感じたのも、この「科学」とゆう文脈と無関係ではないような気がする。あるいは「ガリレオ」には、ホームズのオマージュが含まれているのかもしれない。

事件そのものは、オーソドックスな連続殺人。もはやミステリの古典だしね。

以下は少々ネタバレになってしまって恐縮だが、トリックなんかは、やはり三谷さん脚本『古畑任三郎』の「イチロー」回を思い出した。なるほどこれが元ネタだったのか (な?) 笑!

それと、後半は犯人の独白調になって、小説の空気も一変する。一転西部劇映画のようなテイストになって、このパートもなかなか読ませる。一冊で2度おいしいとはまさにこのこと。

ストーリーそのものには、やや古くさいと感じる部分があるものの、その面白さは全く古びていない。てだから未だにリメイクが盛んに作られてるだなと、何だか妙にナットクしてしまった。

何とゆうか、現代だったらこんな風に置き換えられそーだなとか、そーゆう二次創作的な想像を刺激するような、ある種の余白を、作者自らが意図的に残しているように感じるのだ。

あるいは人間の社会生活の本質を巧みに切り取っているから、100年くらい経った今でも十分楽しめる、てことなのかもしれない。

これは他の作品を読むのも俄然楽しみになったなあ。長編4編 (本作も含めて) に短編5冊。月1冊くらいのペースで、ちょっとずつ噛みしめながら読んでいこー。

おわり。

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引用

グッときたフレーズを以下に書留めておく。

そう、これは緋色の研究とでも呼ぶことにしようか。われわれだって、いささか芸術的な表現を使っていいですね___人生という無色の糸桛〈いとかせ〉には、殺人という緋色の糸がまじりこんでいる。ぼくたちの仕事はそれを解きほぐし、分離して、一インチのこらず日の光の下にさらけだすことなのだ。

via: P61

タイトルの意味。まさに芸術的な表現!

作品情報

現在、創元推理文庫からは新訳版が出ている。

今すぐ読みたい、てひとはこちらをどうぞ。▷ kindle版

kindle版は、ぼくが読んだものと同じ、旧版の「阿部訳」。ややむかし言葉なきらいもあるけれど、味があってぼくはけっこう好き。

ほかにも主要な出版社からは大抵翻訳本が文庫で出ていて、どれがいいのか悩ましい笑。1冊ずつ違うひとの訳で読んでみて、自分とハマるシリーズを探してみるのも面白いかも。

 -小説

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