恐怖の報酬 (1953)【映画】

      2015/01/16

南米の油田で発生した大火災を消火するため、ニトログリセリンをトラックで運ぶ4人の男を描いた傑作サスペンス。

恐怖の報酬 イヴモンタン

2015年の”映画初め”には『恐怖の報酬』を選んだ。1953年、フランス / イタリア合作のモノクロ映画だ。今年はヨーロッパのクラシカルな映画をたくさん観たいと思っているので、そんな想いを「1本目」に込めてみた。

だいぶ以前にTV放送された吹替版で鑑賞。ところどころカットされていたみたいだが、不自然に感じる部分はなかった。

古い映画って、本題に入るまでが冗長だったりする (同時代性を鑑みて盛ってたりする。映画に限らず小説もまた然り) ので、カットされることで返ってスリムになって見やすくなることもある。

まあ、そんな退屈さがヨーロッパ映画の良さでもあるのだけれど。

ジョー現る

舞台は、とある寂れた田舎街。つか場所も時代もあんまりちゃんと説明されないので、はじまってからしばらくは、いつのどこのおはなしなのか、なかなか分からなかった。

リオデジャネイロまで何キロ、なんて描写があるので、どうやら中南米のようだ (後で調べたらベネズエラだった) 。

時代はとゆうと、ずっと後のほうになって、登場人物のひとりが「家族がナチの強制収容所で死んだ」みたいなことを言っているので、公開当時の現代が舞台みたい。

そんな埃っぽい田舎町、住民は貧しい流れ者ばかり。みんなここから抜け出したいと思っているが、金もなければ仕事もない。酒場でゴロゴロして過ごしている。

そこに現れるフランス紳士、ジョー (シャルル・ヴァネル) 。仕立てのいいスーツを着て、尊大に振る舞っているが、実は事業に失敗して逃げてきた文無しだ。

同郷のよしみで、街のごろつきのひとり、マリオ (イヴ・モンタン) と意気投合。つかマリオはなぜかこのジョーにひどくご執心。昔大物だった雰囲気に惹かれたのか、あるいは単なる新しもの好きなのか。

同居人で親友だったルイジ (ファルコ・ルリ) はそっちのけ。勝手にジョーを連れ込む、とそこまではまあいい (みんな困窮してるからね。助け合い) が、ルイジの服をジョーに勝手に貸しちゃったりして、ルイジにキレられる。

そりゃ、キレるよね。つかマリオとルイジって!この映画から取ったのかなあ?

油田事故

この街の主な産業は油田。とゆうか、近くでアメリカの会社がワンサカ掘ってて、街の住人たちに仕事は回ってこない。

その油田会社の重役オブライエン (ウィリアム・タップス) が、ジョーの昔なじみだったりして、無心 (とゆうか就活) しにいったりもするのだが、無下に断られてショボくれるジョー。

昔は2人で悪いこともしたけれど、オブライエンのほうが今は堅気になってるから、あんまりジョーと関わりたくないみたい。切ねーぞジョー

そんな中、油田で爆発事故が発生!消火活動に人手が必要になる。

火を消す方法は、ロウソクと一緒。近くで大爆発を起こして、その爆風で火災を吹き消す!と声高に叫ぶオブライエン。そんな無茶な笑!

その作戦はツッコミどころ満載なのだが、他に手はないのでとにかく準備しようぜ!てことになって、現場まで爆薬のニトログリセリンを運ばなきゃいけなくなる。

急を要するので、ちゃんとした装備を調達してる暇はない!普通のトラックで行こう!緩衝剤引けばだいじょうぶ!てそんな無茶な笑!

そんなわけでドライバーを急募。危険な仕事だから報酬は大金 (2,000ドルって、当時の価値だとどんくらいなんだろう) 。街のごろつきどもがこぞって応募してくる。もちろん、マリオもジョーもルイジも。

希望者の前で、少量のニトロを垂らすオブライエン。こぼしただけで、爆竹みたいに弾ける危険!ニトロのヤバさがよくわかる。

これを大量に、しかも迅速に、ゆれまくるトラックで運ぶとか!ヤバくね!?

ドラテクを確かめるテストの後、選ばれたのはマリオ、ルイジ、ビンバ (ペーター・ファン・アイク) 、そしてスメルロフ (誰だよ笑) の4人。ジョー落選マジか!

オブライエンに詰めよるジョー。何でだよ!昔のよしみで選んでくれよ!いやでもこれ危険な仕事だし、あんた衰えて昔の腕ないよ、やめといたほうがいいよ。

非情の裏にそんな優しさを覗かせるオブライエン。つかこのひと、最初はイヤミな上官、て感じだったけど、意外と真っ当で良いヤツなのかも知れん。

いざ出発

準備があるから一旦帰って、思い思いに酒とか飲んでリラックスしてまた集合、てことになる。死ぬかもしれないしね。最期のお別れとかそーゆう配慮。

んで集合時刻。になっても現れないスメルロフ。怖じ気づいたのか。と思ったら現れたのはジョー。最期のお見送りに、とか言ってるけど、何だか挙動不審

しかも最後までスメルロフと一緒にいたのは、どうもジョーらしい。そいやオブライエンに、どーしてもやりたいなら自分で何とかしろ、てそそのかされてたなあ。何とかしてきたってわけか。そんなにお金が欲しいのね。

ニトロは2台のトラックに別けて運ぶ。ルイジとビンバ、マリオとジョー、てコンビ。コイン投げの結果、マリオ班が先に出発することに。つーわけでドキドキ死の運搬、いざスタート。

途中街を通るとき、マリオの女 (ヴェラ・クルーゾー) が詰め寄って、行かないで〜的なシーンがあるけど、あんまり関係ないのでサラッと流して笑、いざ出発!

ジョー酔う

思ったよりもずっとノロノロ運転で進むトラック。遅っ笑!最徐行じゃん。なんせニトロを積んでるもんで、危ないんで。

最初はジョーが運転。お腹空いたとか言って食べたり飲んだりして余裕ぶっこいてたら、まあすぐ酔ったよね。つか自分で運転してて酔うって笑

一旦止って休憩。早くも弱気なジョー。何かおかしいぞこいつ、だいじょぶか?

そーこーしてるうちに、後続のルイジ班が追いついてしまった!まだ動けないジョー。先に行ってくれ。てジョー弱い!いきなりの命令違反。

なまこ板

最初の難関は、なまこ板。風の流れで道が削られて、道路がウネウネしてるんだとか。

中途半端な速度で入ると振動するから、高速 (60km/h以上、だったかな?) で突っ切るか、徐行で行くかのどちらかしかない、てこれどーゆうメカニズムなんだ?

高速だと10分だけど、徐行だと4時間掛かる。もちろん高速を主張するマリオ、けどジョーは、やっぱ徐行で行こうとか言い出す。弱気笑

一方のルイジ組。強気に高速で入るも、途中でトラックが故障して減速。点検のため、途中の舗装路で一旦停止する (休憩できる舗装路が、途中に一ヶ所だけある) 。

何とか直ったものの、再び加速するには距離が足らない。つーわけで後半は徐行で行くことに。

後ろからマリオ組が突っ込んできたらぶつかっちゃうから、目印を置いておこう、てことで、舗装路にハンカチを敷いておく。何その目印!分かりにく笑!

マリオ組はジョー運転。マリオが横からアクセル踏んだりもして鼓舞しまくるも、直前でビビって停止。もういいよお前、おれが運転するから。バックしてもう一回突入ね。ジョー用なし笑。

つーわけで突っ込んでくるも、舗装路で休憩してたおっさんが、道のハンカチを取りのけてしまう。まあ置いたままでも十分わかりにくかったけどな。

快調に飛ばすも、ルイジ班に追いつきそうになって危機一髪!けどすんでのところでなまこ板が終了してルイジ班も加速。事なきをえましたとさ。

逃げるジョー

崖に到達した一行。曲がりきれないところがあるので、吊ってある木製の棚に一旦バックで入ってから通り抜けよう、てことになる。

辛くも通り抜けたルイジ班だが、木が腐っていて危ない。目印を置いておこう (得意だなそれ笑) !

マリオ班も同様に、今度は目印も残ったままだったので (マリオがキレ気味に払いのけたけど) 、注意しながら迂回。マリオ運転で、ジョーがガイド。そんくらいならできるだろお前。

と思ったらやっぱりダメだったー!慎重すぎるジョーの早めの静止を聞かず、マリオが強気に攻めすぎたところ、淵に置いてあったカートが落っこちたー!ドンガラガッシャン!やべ、ジョーも一緒に落ちた?

だいじょぶか!?慌てて駆け寄るマリオ。崖下を覗くも、ジョーがいない!ふと上を見ると、崖を登って逃げようとするジョーが!もうイヤだとか叫んでる。まじでダメなやつだなジョー笑!

つかさ、あんた元々選ばれなかったのに、無理やり入ってきたんじゃん笑。それなのにその弱気ぶり。

マリオに何もしねーと罵られると、おれは怖がるのが仕事だ、手にする大金は、恐怖の報酬なんだ!とかのたまってる。巧いこと言ってるけど、ダメ人間だよなあ笑。

大岩

先を行くルイジ班。道を大岩が塞いでいて通れない!ここまでか。

吹き飛ばすしかない。どうやって?おれたちの運んでるものは何だ?てカッコいいぞビンバ!つかこのビンバ、クールだし何気一番カッコイイ。

ニトロをセットしてる間に、マリオ班も到着。爆発危ないからトラックを遠ざけようぜ。一致団結。けど何もしないジョー。放心状態。

作戦は、まずニトロを岩に流し込み、その上にハンマーをぶら下げる。ハンマーの先に導火線を引いて、時限つきで落っことせば、逃げる時間を稼げるって寸法。果たしてうまくいくのか!

ビンバが着火。ダッシュで逃げてくるも、トラックの場所が意外と近い。これじゃ爆風で岩がぶつかる!てそーゆうのちゃんと事前にやっておこうよ笑。

おれ今から火消してくる!と向かうルイジ。そんな無茶な笑!

つかこのシーンだけじゃないんだけど、このひとたち手つきも危なっかしいし計画もヤケクソ

何かね、危険なニトロを運んでるとは思えない杜撰さと緊張感のなさなんだよね。タバコとか、よく吸えるよね笑。

そこがハラハラするとゆうか、至るところツッコミまくれるのがこの映画の醍醐味なのかな、て思う。

そんなこんなで何とか無事に切り抜けた一行。道も開通。ヨッシャー!すっかり意気投合の3人。ひとりのけ者にされるジョー。自分で招いた報いとはいえ、何とも切ない……。

最後の難関

大岩を切り抜けて、あと少しってところで突然、先を行くルイジ班のトラックが大爆発!えー!何でー!描写も説明も一切ナシ!不意打ちだな完全に。

爆発が起きたと思われる地点まで来てみると、脇の送油パイプから石油が漏れ出して、道の真ん中に出来た穴に溜まって池ができてる。

池に入って、ドロドロになりながらトラックを先導するジョー。一気に進んで抜けないと、ハマって動けなくなるぞ。ゼッタイ止まるなよ!

と、行く手を阻む木をどかそうとしたら、ジョー自身が挟まって動けなくなっちまった!迫るトラック。ちょ、待って、止まって!てあんた止まるなって言ったばっかじゃん笑。止まるなよ!て、ダチョウ倶楽部かよ笑

そんな感じでフリと受け取ったのか笑、最初の忠告を守ってジョーもろとも突っ切るマリオ。轢いた!思いっきり脚轢いた!いくらダメ人間とはいえ、無情だなあ笑。

そして誰もいなくなった

池を切り抜けて、あとは現場に向かうばかり。ジョーも手当てして何とか生きてる。虫の息だけど。

散々罵ってたくせに、急に優しくなるマリオ。あるいは自分が轢いたってゆう負い目を感じているのか。

つー感じで何とか現場に到着ー!やったぜ大金ゲットだぜ!と思ったところで、ジョーが息を引き取る。何だろ、安心しちゃったのかなあ。結局生き残ったのはマリオただひとり。

火事も無事に収まって (どーやったんだ笑) 、報酬もゲット。

浮かれてトラックを蛇行させながら帰るマリオ。危なっかしいなあ。何かイヤな予感するなー。と思ってたら落ちたー!トラックごと崖から落ちたー!予感的中!

そうだった、フランス映画って昔からこーゆう悲しい終わりかたが多いんだった。本作もそのご多分に漏れず。何だかなあ、物悲しいなあ。てところでドカンと「FIN」の文字。

さいごに

抜け感とゆうか、ヨーロッパ的なユルい案配が素晴らしい。恐怖の演出とかね、過剰すぎないのが良い。

アメリカでリメイクされてるらしい (ウィリアム・フリードキン監督!ロイ・シャイダー主演!) けど、ハリウッドだとなあ、サスペンス要素が過剰すぎて、逆にチープになっちゃうんじゃないかって気がする。

それよりもジョーのダメぶりとか、あるいはルイジの軽率さなんかが実に絶妙で、そのあたりに半世紀以上経っても古びない輝きがあるのかな、なんてふうに思ったりもした。

けどこーゆう絶妙な雰囲気って、狙って出せるようでもないから難しいんだよなあ。

FIN (おわり) 。

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作品情報

『恐怖の報酬 (Le Salaire de la peur) 』。1953年フランス / イタリア。アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督。131分。

メキシコにほど近い中米の町ラス・ピエドラス。マリオ (イヴ・モンタン) は同じ食い詰め者や札付きたちの集まるこの町で、恋人リンダや仲間のジョー (シャルル・ヴァネル) と苦楽をともにしていた。そんなある日、町から500キロ離れた山上の油田で大火災が発生、犠牲者も続出してしまう。石油会社は一刻も早く消火させるため、ニトログリセリンの使用を決断。そこで危険なニトログリセリンを運搬する4人を賞金付きで募集し、マリオ、ジョー、ビンバ (ペーター・ファン・アイク) 、ルイジ (ファルコ・ルリ) が選ばれた。こうして彼らは2台の運搬車に乗り込み、現場へ向かうのだが…。

via: allcinema

主演はイヴ・モンタン。共演にシャルル・ヴァネルほか。

 -1989年以前の映画 ,

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