ジャッジ 裁かれる判事 (2014)【映画】父と子のこじれを紐解くミステリ

   

父は犯人なのか。

ジャッジ 裁かれる判事

試写会にて『ジャッジ 裁かれる判事 (The Judge) 』鑑賞。2014年アメリカ。デヴィッド・ドブキン監督。142分。

ロバート・ダウニー・Jrとオスカー俳優ロバート・デュヴァルが初めて共演した法廷サスペンス。人々からの信望厚い判事でありながら殺人容疑を掛けられた父と、その弁護を引き受けることになった絶縁状態の息子が、互いに反目しながらも裁判に挑むさまを描く。

via: シネマトゥデイ

主演はロバート・ダウニー・Jr (兼製作総指揮) 。共演にロバート・デュヴァル、ヴェラ・ファーミガ、ヴィンセント・ドノフリオ、ビリー・ボブ・ソーントンほか。1月17日公開。

判事の父が容疑者で、その息子が弁護士だなんて、いかにもタルい法廷サスペンス&家族ドラマなのかと思っていたが、そんな予想は良い意味で裏切られた。

いやースゴイ!脚本も役者さんも全てが素晴らしくて、たちまち惹き込まれてしまった。程よい軽さと、じんわりとした感動!あっという間の2時間20分、良い映画だったー!

見事な脚本!

何よりも脚本が素晴らしい。自然な会話を通して、事件の、さらには家族のナゾがじわじわと解き明かされていく。

逆にゆうと、説明的な描写は必要最小限。最初のほうは人間関係や人物像がよくわからなくて、ちょっと混乱する。でも映画が進めば、全てがじんわりと明らかになっていくのでご安心を。

つか、何気ない会話や言動が、のちに重要な意味を持ってきたりして、気が抜けない。ストーリーはありがちだけど、けっこうアタマを使わされる。法廷もの特有のコムズカシさもあるしね。

主題のシフト

父にかけられた殺人容疑。その裁判が中心となって映画は進んでいくが、同時に「家族のナゾ」も紐解かれていく。

父と息子はなぜ仲違いしてしまったのか、父が守ろうとしているものは何か。

物語の重心は、裁判から家族のドラマへと、次第にシフトしていく。そして最終的に、本作の主題は裁判ではなく、父と息子の和解にあったのだということに気づかされる。その感動たるや!

裁判は、家族のナゾ (とこじれ) を紐解くための舞台設定、お膳立てと言っていい。殺人事件と、親子の過去というふたつのミステリが、うまく重なり、ときにクロスする。

裁判のはなしをしているのかと思ったら、実は親子の過去に触れていたり、なーんてシーンがたくさんあって、ふたつの絡み合いが実に巧い。

軽いけど重い

父デュヴァルと息子ダウニーJr (ふたりともロバート!) の会話対決は、どのシーンも凄まじい緊張感!頑固オヤジと奔放息子のコントラストがいいね〜。

つかこの映画、親子ふたりに限らず、それぞれのキャラクタは一見わかりやすい。けどどの役も背負った過去が滲み出ていて、なかなか深かったりもする。

キャラクタのみならず、テイストも基本的に軽い。小ネタもたくさんあるしね。ピンとこないものも多い、とゆうかけっこうすべってたけど笑 (日本人の笑いとはちょっとズレてるのかも。あるいは訳の問題?) 。

前半は、観ていてちょっと軽すぎるようにも感じる。だって、母親が死んで、父親は殺人容疑で逮捕されるんだよ。だいぶ絶望的な状況なのに、深刻さをまるで感じない笑。

けど映画が進むにつれて、多少なりとも軽いほうが、見やすくていいのかもしれない、なんて考えるようにもなった。最初っから重いと、ホントに重苦しくなっちゃいそうなおはなしだからね。

シーンを重ねるごとに、じわじわと深みを出してくれる。あるいはシーンごとに軽重が切り替わる感覚も心地よくて、実にメリハリが利いている。

真相と正義

※以下では少々ネタバレも。読む読まないは自己責任で。

キャッチコピーにもあるように、「父は犯人なのか」というナゾが、ストーリーを引っ張る推進力にもなっている。

ナゾの答えは誰しも気になるところだが、真相はうやむやなまま終わる。まあね、そこはどーでもいいんだよね。それこそ主題じゃないというか。

この映画の素晴らしい (そして巧い) ところは、真相を父自身も知らない、ということだ。

映画の中で父は、「故意に殺したのか?」という問いに対して、「知らない」という答えを貫き通しているが、肝腎のところは記憶障害で本当に”知らない”のだ。

父の厳格さと正義を守る、見事な落としどころだと思う。

そうそう、正義と言えば、裁判の結末も、これまた見事な落としどころだった。

故意にしろ過失にしろ、そしていくら被害者がクソ野郎だからって、ひき殺した事実は変わらないわけで、それを無罪にしちゃうのはどーなのよ、と思っていた (どーせ無罪になるんだろ、て思いながら観てた) のだが、そこはしっかりと落とし前をつけてくれる。

何だかこのあたりのオチは、法廷サスペンスの傑作『ア・フュー・グッドメン』をちょっと思い出した。そいや、独特の軽さとじんわりとした感動、て点では、この映画と似ていなくもない。

ついでに言うと、キムタク主演のドラマ (&映画) 『HERO』は、『ア・フュー・グッドメン』のオマージュなので、このあたりが好きなひとは、本作も楽しめるかもしれない、なんてことも思ったりもした。

さいごに

役者さんはみな素晴らしい。じわじわと衰えていくロバート・デュヴァルは特にスゴかった!Gグローブノミネートもナットク。

ダウニーJrはあいかわらずアクが強くて苦手だけど、どーにも惹き込まれてしまうから不思議。独特の早口、ムダに筋肉質笑。存在感抜群!

あとあと、ダウニーJrの兄グレンを演じたヴィンセント・ドノフリオって、『フルメタル・ジャケット』の”ほほえみデブ“なのね!雰囲気が違いすぎて全く気づかなかった!

法廷サスペンスと見せかけて家族ドラマだったり、軽いノリで入るのに実は深かったりと、いろんな仕掛けがほどこされている見事な映画!

ややこしいのに見やすくて、会話劇も実に自然、役者さんもみな魅力的で、言うことなし!良い映画でした。

おわり。

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作品情報

あらすじ

金で動く辣腕弁護士として知られるハンク・パーマー (ロバート・ダウニー・Jr) は、絶縁状態の父ジョセフ (ロバート・デュヴァル) が殺人事件の容疑者として逮捕されたことを知る。判事として42年間も法廷で正義を貫き、世間からの信頼も厚い父が殺人を犯すはずがないと弁護を引き受けるハンクだったが、調査が進むにつれて疑わしい証拠が次々に浮上し……。

via: シネマトゥデイ

予告編

映画『ジャッジ 裁かれる判事』予告編 – YouTube

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