スパイ・レジェンド (2014)【映画】
2015/01/21
奴が通った後に、生き残ったものはいない。
試写会にて『スパイ・レジェンド (The November Man) 』鑑賞。2014年アメリカ。ロジャー・ドナルドソン監督。108分。
ビル・グレンジャーの小説「ノヴェンバー・マン」を実写化した、スパイサスペンス。CIAの敏腕エージェントとして活躍していた過去を持つ男が、自身が育てた現役スパイからの襲撃とその裏に隠された陰謀に挑んでいく。
via: シネマトゥデイ
主演はピアース・ブロスナン。共演にオルガ・キュリレンコ、ルーク・ブレイシーほか。1月17日公開。
展開は二転三転、アクションもそこそこ。まずまずちゃんとしたスパイ映画で、最後まで飽きずに楽しめる。が、何か違うんだよなあ笑。
何とゆうか、場面場面はいいんだけど、全体としてみると繋がりがおかしいとゆうか、辻褄が合わないところがたくさんある。ツッコミどころが満載なのだ。
一昔前のアクション大作って感じで、いかにも古くさい。何てゆうか、昔の日曜洋画劇場とかでやってそうな感じ、と言ったらニュアンスが伝わるだろうか。
おウチのTVでワイワイ言いながら観たい。あ、でもそこそこややこしいから、”ながら見”だとキツいかな。
ブロスナン12年ぶりのスパイ映画
ピアース・ブロスナンて久しぶりに観たけど、やぱカッコイイね笑。何よりも姿勢がいい。
キビキビ動くせいか、動作自体はもっさりしてるのに、なぜかキレがあるように見える。ひとりだけスローモーション、んで的確に当てる、みたいな。
超然としてるからか、ゼッタイに弾が当たらなそう笑。とゆうか、当たらなくても不思議とナットク感がある笑。
ブロスナンはぼくが「007」の存在そのものを知ったときに、現役だったひと。そのせいか、ぼくの中では未だに「007」と言えばブロスナン。
ほら、鳥って最初に見たものを親だと思う、て言うじゃない。それと一緒。て鳥じゃねーけど。
ブロスナンにとって本作は、その『007/ダイ・アナザー・デイ』(公開時に映画館で観た!) 以来、12年ぶりのスパイ映画、つーことでそこそこ期待してたんだけどなあ笑……。
※以下は気になったところを思いつくままに書いていく。ネタバレとか気にせず書くので、読む読まないは自己責任で。
やりすぎデヴェロー
この映画、人を簡単に殺しすぎ。特にデヴェロー (ブロスナン) がヒドい笑。最愛のひとを殺されちゃったからって、かつての仲間を容赦なく殺しすぎでしょ。
どころか、弟子のメイソン (ルーク・ブレイシー) が手をつけた女まで容赦なく斬りつけたりとか、ほとんど狂人に近い。
一般人の子供を不注意で (てメイソンの不手際なんだけど) 死なせちゃったのが、引退した原因なんだよね?それなのに一般人を簡単に傷つけるとか、キャラ設定がナゾすぎる。
キュリレンコの運動神経のなさ
デヴェローがアリス (オルガ・キュリレンコ) を助けるのはいいんだけど、肝腎のところで放置するのには笑ってしまった。
おれはやることがあるから、君はどこか安全な場所に身を隠せ、つってお金だけ渡して放置。いやいやムリでしょおかしいでしょ笑。んで案の定危険な目に遭うし。
キュリレンコは東洋的な美しさがあいかわらず魅力的なんだけど、ちょっと運動神経なさすぎるわこのひと笑。
モデル歩きはぎこちなさすぎるし、走りかたなんてもう不細工すぎて笑えるレベル。ラストシーンの追いかけっこは、ある意味必見笑。
チグハグなメイソン
デヴェローの弟子でありライバルでもあるメイソンを演じたのはルーク・ブレイシー。この俳優さん、初めて観たけど、何だか華のないひとだなあ。いかにも頼りない。
かと思ったら後半は急に大活躍したりして、妙にチグハグ。ムダに映像にキレが出たりして、不自然極まりない。
デヴェローに娘がいた!てのはメイソンが発見するんだけど、これさ、何でほかの連中は誰も気づいてなかったわけ?特にハンリー (ハゲの上司) 。あなたデヴェローを引っ張ってくる張本人なんだからさ、そこんとこちゃんと調べておこうよ笑。
ナゾすぎるハンリー
そのハンリーが実は黒幕なんだけど、何だかコイツが何したいのかさっぱりわからなくてナゾすぎた笑。つかそもそもデヴェローを呼んだ意味からしてよくわからないんけど……。
拘束されてたのに突然復帰したのも最高にナゾ。あのメガネはさらに上司なんじゃねーのか?じゃあ敢えて拘束されてた意味は何なわけ?ナゾがナゾを呼ぶ。
ハンリー絡みで言うと、彼が黒幕だって明かされるシーンもちょっとモヤモヤする。
デヴェローがフェデロフ (ロシア大統領候補) をロシアンルーレットで脅して吐かせるんだけど、あれ、ホントに弾が出ちゃったらどーするつもりだったんだろう。
脚を狙うとかさ、それくらいの計算はあっていいように思う。眉間に銃口向けてたら一発で死んじゃうじゃん。そしたら情報手に入んないじゃん。
凄腕のスパイ、て設定なのに、あんまりプロフェッショナルを感じないのが、何気に一番残念だった。
他にもツッコミたい部分はたくさんあるような気がするけど、キリがないからこれくらいでやめよう笑。
さいごに
リアルな展開で押したいのか、マンガ的なアクションでいきたいのか、イマイチ定まっていないあたりが何とも残念でならない。
基本的にはリアルなスパイ映画を目指してるんだろうけど、『ボーン』シリーズとか『誰よりも狙われた男』とかを観た後だと、いかにも物足りない。
スパイ映画でリアルな展開にしたいなら、もっとチマチマしたテーマのほうが面白いように思う。それやったところで、世界が大きく変わるわけでもなくね?みたいなおはなしのほうが好き。
本作みたいに、ロシアの国家犯罪だとか新冷戦みたいな壮大なスケールだと、いろいろアラが目立ってしまう。そーゆうはなしをやりたいのなら、アクション押しのほうがいい。たとえば『ミッション: インポッシブル』みたいなね。
展開はリアル押しなのに、登場人物はキャラ化されてて、いかにもマンガ的だった。ロシアの女殺し屋なんて、リュック・ベッソンの映画に出てきそうなキャラクタだったなあ。こいつも最後ハッカーを撃ち殺す意味がわからない。これもムダな殺し。
つーわけで、何とも中途半端な映画だった。憎たらしいCIA、ロシアとの冷戦絡みなどなど、何だか懐かしささえ感じてしまった。まあ、核弾頭が出てこないだけまだマシか笑。
そんでも飽きずに観られるし、ツッコミどころが多いのはある意味楽しいとも言える。100分ちょっとでサクッとまとまっているのも良い。ポップコーンムービー万歳!
おわり。
作品情報
あらすじ
ザ・ノヴェンバー・マンというコードネームを持ち、さまざまなミッションを遂行してきた伝説的CIAエージェントのピーター・デヴェロー (ピアース・ブロスナン) 。スイスで引退生活を送っていた彼だが、かつての仲間たちが何者かに殺害されているのを知って彼らを守ろうと動きだす。だが、元同僚で愛していた女性を殺され、その犯人が自分がかつて教育してきた現役エージェントであることを知る。彼と壮絶な戦闘を続けながら、事件の全体像をつかもうとするデヴェロー。やがて彼は、ロシア大統領選をめぐる陰謀の存在にたどり着く。
via: シネマトゥデイ
予告編
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