イントゥ・ザ・ウッズ (2014)【映画】幸福の代償

      2015/02/27

“おとぎ話の主人公たち”のその後……。

イントゥザウッズ

『イントゥ・ザ・ウッズ (Into the Woods) 』の試写会に行ってきた。

「赤ずきん」「シンデレラ」「ラプンツェル」「ジャックと豆の木」といった世界的に有名なおとぎ話の主人公たちのその後を描く、ディズニー製作のミュージカル。ブロードウェイで上演され、トニー賞を受賞したミュージカルを基に、『シカゴ』『NINE』などのロブ・マーシャルが映画化。魔女をオスカー常連のメリル・ストリープが演じるほか、ジョニー・デップ、エミリー・ブラントらが出演。ハリウッドが誇る人気も実力も兼ね備えたスタッフやキャスト陣による作品に魅了される。

via: シネマトゥデイ

てな内容のファンタジーコメディで、主演は、誰だろ笑?群像劇仕立てだからなあ、クレジットではメリル・ストリープがトップになってるけど、これは格順かな。実際オスカーノミネートも助演女優だったし。

パン屋夫妻のジェームズ・コーデンとエミリー・ブラントが一応の主役かな。まあ、複数のおとぎ話を繋げるための、狂言回しのような役どころなので、主役って感じとはちょっと違う気もするけど。

Sing like Talking

タイトルクレジットなしでいきなりはじまって、けっこう長いこと歌い続けるオープニングにまず圧倒される (ナンバーは”Into the Woods”) 。

それぞれのキャラクタが入れ替わり立ち替わりで現れて、シーンは切り替わるのに歌で繋がっていて実にテンポが良い。掛け合いもほとんどが歌の応酬で、喋るように歌うさまはミュージカル苦手なぼくでも一気に惹き込まれた。

このオープニングのノリで最後までいってくれたらよかったんだけどなあ。はなしが進んでいくに従って、テンポがどんどん悪くなっていったのが何とも残念だった。

元ネタは1987年初演のブロードウェイミュージカルなんだそうだ。思っていたよりもずっと古くて驚いた。日本でも2004年に初上演されている。

んでこれ、舞台版のがずっと面白いんだろうなってことをこの映画観ながら思った。逆に言ってしまうと、それほど映画的な魅力に乏しい (舞台版はもちろん未見なので、以下すべて映画のみの感想) 。

複数の有名童話をミックスさせるとか、ハッピーエンドのその後を描くとかってアイデアは素晴らしいのだが、いかにもまとまりがなさすぎてせっかくの設定が活かされていないように感じた。尺の問題だろうか。

まあストーリーなんてもんは映画のイチ要素にすぎないから別に面白くなくてもいいんだけど (むしろ最近は筋が邪魔と感じることが多い) 、掛け合いがメチャメチャ面白いってわけでもないし、何だかどっちつかずの中途半端な感じになってしまっている。

歌で会話したりだとか、クスッと笑える箇所もところどころあるだけに (特にエミリー・ブラントが素晴らしい) 。何だかすこぶるもったいない。

さすがのディズニーだけあって、世界観は目を見張るものがある。セットや衣装がとにかく素晴らしい (オスカーでも美術と衣装でノミネート) 。

が、映画的な見せかたはどのシーンもどっかで観たことあるような古臭ーい構図で退屈そのもの。タイトルからも明らかなようにほぼ全編森の中で展開される上にその大半が夜のシーンなので、画面がすこぶる暗くてちょっと疲れた。このあたりも舞台のほうが向いてるんじゃないかなって思う。

セルフパロディ

キャッチコピーにもなっているように、てっきりおとぎ話のその後”から“描かれるのかと思っていたのだが、前半は元ネタの童話を混ぜながらなぞるように展開する。

だから元のはなしを憶えていなくても全然平気。実際ぼくは「ラプンツェル」については髪の長いひとが出てくるってことくらいしか知らなかったけど、全く問題なく筋を追うことができた。むしろいつになったら”その後”になるのかと、ちょっと焦れるくらいだった。

つか「ラプンツェル」は鑑賞後に改めて調べてみたら、本作に締める割合が思っていたよりもずっと大きいってことを知って驚いた笑 (はなしの骨格ほぼ「ラプンツェル」じゃね) 。とゆうわけで、元ネタを知ってるとより一層楽しめることは言うまでもない。

参考 ▷ ラプンツェル – Wikipedia

本作は一見能天気にも映るおとぎ話のキャラクタたちをディズニー自らが茶化してるような、ちょっとセルフパロディっぽいところもあって、それが面白かったり不愉快でもあったりする。

概ね笑えるんだけど、自虐で笑いを取るのって何かちょっとズルい気もする。場合によってはちょっと下品に感じる部分もあったりして案配が難しい。

キャラクタははっきり言ってロクでもない連中ばかりで、あまり寄り添えなかったってもある。自分の欲望を遂げるために嘘をつき、他人のものを平気で盗む。てのは後々の伏線にもなってるんだけど、それにしても何だかあまりに救いがなさすぎたように思う。

まあおとぎ話の主人公に人間臭さを吹き込むって試みはキライじゃないし、善人でも悪人でもないキャラクタって本来ぼくは大好きなんだけど、キャラクタによってはただふざけているだけ、みたいなやつもいてだいぶ残念だった。特に王子とかね。

んでもミュージカル特有の突然歌い出す違和感みたいなのはほとんど感じなかったし、やっぱりファンタジーとの親和性は高いんだなとも思った。ファンタジーの世界だと大仰に振る舞っても許されるとゆうか笑。王子兄弟が滝で歌い上げるシーンなんかはうまく笑いに転換できていたと思う。

エミリー・ブラントにギャップ萌え!

とゆうわけで突然歌って踊る王道のミュージカルとしてはまずまず普通に観れたけど、あとは特別褒めるとこもないかな笑。

ただキャストはみな素晴らしかった (それだけとも言えるけど) !メリル・ストリープはあいかわらずの存在感だったし、エミリー・ブラントは『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のクルーっぷりから一転はっちゃけまくっていてギャップ萌え

シンデレラのアナ・ケンドリックもキュートだったなあ。日本人にウケそうなタイプじゃね? (調べてみたら『マイレージ、マイライフ』に出てるのね。今度観よっと) 。

赤ずきんの子役は顔が憎たらしすぎて出てくるだけでツボだった笑。学園ドラマだったらゼッタイいじめっ子タイプだよね。まあ赤ずきんのはなしは正直メインのストーリーと関連なさすぎてこれ必要なくね?て思ったけど。ジョニデも何しに出てきたのかよくわからんかった笑。

ハッピーエンドのその先へ

※以下はネタバレあり

物語がいわゆる”アフターハッピーエンド”に入るあたりから、おやこれはひょっとしてとても大切なことを言っているのではないかって気がちょっとだけした。

キャラクタたちはそれぞれの”願い (wish) “を叶えるために、みなちょっとずつ悪事を働いてきたわけだけど、果たしてそれは許されるのか、みたいな。

お前のせいだ!(“Your Fault”) と罵りあったり、魔女が「悪とは何か」みたいなことを問いかけるあたり (メリル怖え) は何か「善悪」に関するとっても大事な教訓が含まれているような気もしたけど、如何せん見せかたが下手くそすぎてイマイチ伝わりきらんかった。

みんなひとりじゃない (“No One is Alone”) だとか、全員共通の”敵”である巨人にも家族がいるかもしれないだとかは、他者を慮ることの大切さを説いてるのかなとも思ったが、んでもその巨人を安易に殺しちゃったらダメじゃね笑。

何か時間が足らなくなって駆け足で終わらせたよーな気がして仕方なかった。ホント惜しいなあ笑。

あとこれバッドエンドっぽい終わりかたなのも何だか妙にモヤモヤする。特にエミリー・ブラントが死んじゃうのが一番ナットクしがたい。つかそれ以前にその死自体が唐突すぎるし。

それでも人生は続く、みたいな教訓を描きたかったのかもしれんけど、ディズニーに求められてるもんってそもそもそーゆうものとは違うよーな気がするんだけど。

そんな教訓なら他にもいい教材が数多あるわけで、そんなことは百も承知で、それでも一時でもいいから夢の世界に浸っていたい、てのがファンタジーだとか童話だとかディズニーだとかに期待されてることなんではないのかよく知らんけど (実はディズニー苦手なのです。今さら笑) 。

ハッピーエンドのその先に、わざわざバッドエンドを描く意味がよくわからんかった。

さいごに

前半だらだらしてるわりに後半はやたらと駆け足で、これ逆ならもうちょっと深く刺さるんじゃないかなって気がしてならない。

舞台だときっともっとゆったりしてるはずで、より深く味わえるんじゃないかな。何とゆうか、キャラクタの行動や選択に、もっとナットク感が得られそうな気がする。てわけで、機会があれば舞台版も観てみたい。

おわり。

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作品情報

『イントゥ・ザ・ウッズ (Into the Woods) 』。2014年アメリカ。ロブマーシャル監督。124分。

出演はメリル・ストリープ、エミリー・ブラント、ジェームズ・コーデン、アナ・ケンドリック、クリス・パイン、ジョニー・デップほか。3月14日公開。

あらすじ

魔女 (メリル・ストリープ) に呪いをかけられたために子供のいない夫婦は、「子を授かりたければ、四つのアイテムを森から持ち帰るのだ」と魔女に命令される。夫婦は赤いずきん、黄色い髪、白い牛、黄金の靴を手に入れるべく森へと出発する。一方赤ずきん、ラプンツェル、ジャック、シンデレラ、魔女、オオカミ、2人の王子も森に足を踏み入れており……。

via: シネマトゥデイ

予告編

映画『イントゥ・ザ・ウッズ』予告編 – YouTube

 -2010年代の映画 ,

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