ゴーン・ガール (ギリアン・フリン)【読書】「不快」が滲み出る「文芸」

      2015/04/21

男と女のサイコロジカル・スリラー。

ゴーンガール上 ゴーンガール下

ギリアン・フリン著『ゴーン・ガール (Gone Girl) 』読了。2013年小学館文庫刊 (2012年原著初出 / アメリカ) 。中谷友起子訳。上413ページ、下381ページ。

ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前、妻エイミーとともに故郷ミズーリに帰ってきた。しかし都会育ちの妻にとってその田舎暮らしは退屈きわまるものだった。結婚5周年の記念日、エイミーが、突然、謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのない夫ニックに嫌疑がかけられる。夫が語る結婚生活と交互に挿入される妻の日記。異なるふたつの物語が重なるとき衝撃の真実が浮かび上がる。大胆な仕掛けと予想外の展開、「NYタイムズ」で第1位に輝いた話題のミステリ登場。

via: Amazon内容紹介 (「BOOK」データベースより)

デヴィッド・フィンチャー監督の映画って、なぜか原作も読みたくなってしまいます。それほど深く味わいたいと思うからでしょうか。前作『ドラゴン・タトゥーの女』も映画がきっかけでシリーズ全部読破しましたし、『ゾディアック』も元になったルポルタージュを読みました。

んで本作も、映画を公開時に観て、「ああ、これは小説で読んだほうが面白そーだな」と思ってすぐに原作本を購入しました。けど手元にきたら何だか熱が冷めてしまって (参考書なんかも、買ってわりと満足しちゃうタイプです。ダメな子笑) 、しばらく積読状態になっておりました。

それがふとした拍子にふわっと読みはじめたら、やっぱり面白くて上下巻を一気読み!映画で展開を知っているのに、ページを繰る手が止まらない!

読み終えて、映画は原作に忠実すぎるほど忠実だったんだな、てことが改めてよくわかりました。まあ著者が映画の脚本も手がけているので、当たり前っちゃ当たり前なんですが……。つか映画と原作では結末変えてるって触れ込みでしたけど、これほとんど同じじゃね笑。

何となく格調高いミステリを想像してたんですが、だいぶポップで砕けた文章で、読みやすすぎるほど読みやすかったです。あーだからベストセラーなのね、と妙にナットクいたしました。

ミステリつか、これソープオペラ (昼メロ) だよねむしろ。エイミーの恐ろしさはまあスリラーか。

著者の小説を読むのは本作がはじめてでしたが、どれもこんな雰囲気なんでしょうか。だとしたらちょっと残念だな笑。とゆうのも、キャラクタの性格 (とアタマ) の悪さが文体から滲み出ていて、不快まくるのです笑。倒置表現を多用してるのは、翻訳の問題かしら。やたらと括弧も多いですし、読んでいてワケもなくイライラしてきます。文章が、軽い軽い。

てのはたぶん著者の狙い通りで、安いジャーナリスト気取りが書くような (or 考えていそうな) 文章の「それっぽさ」が、絶妙に表現されています。

エイミーの日記なんて特に、半分素人みたいな文章家 (かつ、いけ好かない「女」) がいかにも書きそうな、稚拙な文体で構成されています。これはある種のパスティーシュ (文体模倣) ですね。そーゆう「文の芸」として読むと、本作はまた違った味わいがあります。

しかもそれを作中の人物であるエイミーが書いているという大転回が起きるんですから、芸が振るっています。やはり小説 (文芸) として「読む」ほうが、本作のスゴさは際立つよーに感じました。

ストーリー的な面白さは、正直なんとも言えないところです。映画を先に観ちゃってますし、その映画があんまりピンとこなかったので、善し悪しがよくわからないのです。

うーん、何だかもったいない読みかた (観かた) をしてしまったのかなとも思います。けどやはり本作を (映画も小説も) ミステリとして読んでしまうと、少々アラが目立ってしまうよーに感じます。事件の真相云々よりも、「男」と「女」の距離感みたいなものがむしろ主題と言えるので、その駆け引きを純粋に楽しむ、てのが健全な読みかたなのかもしれません。

つってもぼくは雑な小説あんまり好きじゃないですし (笑) 、ニックとエイミーを「男」と「女」の象徴的な存在として描いてるわりには、ふたりとも不快すぎてまるで愛せない、て構造的におかしくねーか笑。

男はバカだし、女は怖い。男女あるあるに怒ったり笑ったりして振り回されながら、自らの非は顧みず、異性の態度を揶揄しながら読めってこと?それこそがまさに「スリラー」、を通り越して「ホラー」ですね……。

結末もサイコーに後味悪いです。もうバカバカしくて付き合い切れないから、あとはふたりで勝手にやってくれ (笑) 、つーのが率直な感想です。わりと身もふたもない笑。てこれ映画観たときも似たようなこと言ったよーな……。

おわり。

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オマケ

東野圭吾的

女が演じる「完全犯罪」な構図って、何か似たような小説あったよなあ、なんてことを思いながら読んでいました。わりと近いのが、東野圭吾さんの『聖女の救済』。ガリレオシリーズですね。

以前書いた感想。▷ 聖女の救済 (東野圭吾)【読書】

ありえない「完全犯罪」、だけど女ならやりかねない。と思ってしまうのは、ぼくが男だからでしょうか。怖い怖い。

つか本作が纏ってる「軽さ」って、すんごい東野圭吾的だなあとも思いました。何だかテイストが似てるのです。とゆうわけで、東野圭吾ファンはハマるかもしれません。

映画のギモン

※ネタバレ含みます。

映画でギモンに思った部分 (とゆうかツッコミどころ) は、原作を読んでもあまり解消されませんでした。ミステリとして物足りないと感じるのは、このあたりの「粗さ」に原因があるのかなと思います。

ただ、映画で最大のナゾだった「 (ラストでの) エイミーの妊娠」については、完ペキにナットク感が得られました。精子バンクの件なんて、映画では出てこなかったよね?

ぼくの中でこの一点が解決したとゆうだけでも、原作読んでよかったなあと思いますとゆうか思うことにします笑。

映画の感想。 ▷ ゴーン・ガール (2014)【映画】

 -小説

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