ラン・オールナイト (2015)【映画】一晩逃げる。一晩向き合う。

      2015/05/14

N.Y.中に、狙われた男。

ランオールナイト リーアムニーソン

『ラン・オールナイト (Run All Night) 』の試写会に行ってきました。

『アンノウン』『フライト・ゲーム』のジャウマ・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンが3度目のタッグを組んだアクション。息子の命を守るため親友でもあるマフィアのボスの息子を殺害してしまったことから、復讐に燃えるボスに命を狙われる殺し屋の逃走劇を描く。

てな内容で、5月16日公開。

ジャウマ・コレット=セラ監督&リーアム・ニーソン主演も3作目ともなると、さすがにちょっと食傷気味です笑。しかも段々とトーンダウンしてるよーな…… (『アンノウン』が一番面白かったです笑) 。何だろ、ヒロイン不在だからかな。

感想!

男臭いけどオシャレ

とにもかくにも男臭い映画です。むさ苦しい!暑苦しい!女性がほとんど出てきません。息子マイク (ジョエル・キナマン) の奥さんくらい。それも大して絡んでこないし。

セラ監督はわりとオシャレなサスペンスを撮る監督だと思っているのですが、この男臭さのせいで本作はだいぶハードボイルドなテイストになっておりました。後半なんて、ほとんど西部劇のノリです。『許されざる者』かよ笑。

破滅的な物悲しさはフィルムノワールさながら!映像も擦れた質感で泥臭いです。路地裏のオイル臭が漂います。

んでもやっぱりところどころ洒落た画もあって面白いです。セリフじゃなくて、映像でちゃんと説明してくれるあたりもあいかわらず素晴らしい。

場面転換で街の上空に上がったり下りたりはムダにカッコイイです。あとジミー (ニーソン) がずっとアイスホッケーの試合を気にしてると思ったら、ちゃんとストーリーと絡んできたりとか、なかなか巧いです (もうちょっと膨らませてくれてもよかったですが) 。

とゆうわけで、展開は退屈でも画が面白いので、まずまず楽しく観ることができました。まあ、ショットガンの決めショットでスローになるのには「またかよ笑!」てなりましたけど笑。もはや歌舞伎の見得笑。

家族ドラマ > サスペンス

上でさらっと「展開は退屈」と書きましたが、ハラハラドキドキなのにあまり乗れないとゆう不思議な雰囲気の映画でした。そのくせタフな状況が続くので、わりと疲れます笑。

これ、追いかけっこサスペンスを期待してるとちょっと肩透かしなのかなとゆー気がしました。それよりは、父と息子の関係修復的なドラマのほうが主題のような作りになっています。逃走劇はあくまで「装置」です。

何だか先日観た『フォーカス』といい、この手の「〇〇と見せかけて〇〇」みたいな作品が続くなあ (しかもどっちもワーナーです) 。最近の流行りなんでしょうか?あるいは宣伝が下手になってる?

極限の状況下で家族と向き合わざるをえない、みたいな展開は『ジャッジ』とわりと似ています (そいや、あちらにもヴィンセント・ドノフリオが出ていましたね) 。そして『ジャッジ』のほうがずっとよくできています笑。

命を掛けて逃げる中で、助けたり助けられたりして徐々に心を通わせていく父と子。んでも何かと邪魔が入って、なかなか打ち解けられないのが何とももどかしい!んもう!素直になれよ!いやそーゆうことでもないか笑。

ついでにゆうと、息子がワケあって銃を撃てない、てのもすごいもどかしかったです。これはなかなか巧いルール設定ですね。やや強引だけど。

デンゼル・ワシントンの偽物笑

強引と言えば、後半の展開はだいぶヤケクソです。いきなり伯父さんが出てきたりとか、唐突すぎてだいぶ驚きました (必要以上に重々しいニック・ノルティ笑) 。

唯一の証人である少年の扱いもかなり雑で、もう少し何とかならなかったのかと思います。少年を団地 (NYにも団地ってあるんだ、てのが何気に一番衝撃でした笑) に探しにいくシーンも、ただ単に火事の中での格闘シーンを撮りたかっただけっぽいしなあ笑。

そーゆうアクションシーンにわりと自然な流れで持っていくのはさすがに巧いっつかあのデンゼル・ワシントンの偽物みたいな殺し屋は何なの笑 (コモンとゆうラッパーです。『Selma (グローリー/明日への行進) 』でアカデミー主題歌賞取りましたね) 。

つーわけで、夜明けとともに駆け足で解決に向かうあたり、わりと「逃げる」とかどーでもよくなってしまいます。『逃亡者』みたいな「謎解き鬼ごっこ」ではないからなあ。んでもミステリ的な部品もわりと揃っていたので、何だか惜しい気もします。

エド・ハリスのバランス感覚

本作を観る前に一番気になっていたのは、一晩逃げ通せば何とかなる、とゆう状況設定です。マフィアも警察もNY中が追っかけてくるのに、朝になったら逃げ切れるって意味がわかりません笑。

そのあたりどう説得力のあるセッティングにしてくれるのかと期待 (とゆうか不安視笑?) していたのですが、イマイチ納得できなかったのは何とも残念でした (「とりあえず」感が凄まじい) 。

あとあと、全部ショーン (エド・ハリス) の息子ダニー (ボイド・ホロブルック) のせいじゃんこれ!あのバカのせいでタイヘンなことになってる、てのも何だかものすごくやるせないです。あー腹立たしい笑!

でもでも、わりと些細なクラックから破滅的なおおごとに発展していく、てのは『アウトレイジ』ぽい雰囲気と言えなくもない、かな。ショーンとジミーの関係って、いつ破綻してもおかしくない状況だったのかな、とゆうある種の危うさを感じ取ることもできます。

そのあたりの微妙な距離感なんかも含めて、ショーンを演じたエド・ハリスの葛藤 (?) が素晴らしかったです。

あれだけ非道なマフィアのボスでも、息子 (と奥さん) に大しては甘くなっちゃうのかな、と思わせるギリギリのバランス感覚。決して望んでいるわけじゃないけど、やらざるを得ないという矜持。

そのあたりで揺れ動く、けど腹くくってやり遂げる、みたいな感じが見事に滲み出ていました。「一線を越える」てのも巧い表現ですね。

さいごに

自然な会話を通して過去のあれこれや人間関係がじわじわと浮かび上がってくる、て脚本はなかなかよく練られていると感じました。観客にとっては、そのあたりがうまいこと「ミステリ」として機能しているんですね。

うん、「一晩逃げる」て看板がデカすぎてちょっと拍子抜けしてしまいましたが、わりとじわじわよくできていたよーな気がしてきました笑。何とももったいない!

マフィアからは逃げるけど、父と息子の関係からは逃れられない。逃げながら向き合う、そんなコントラストが渋い一本。

おわり。

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作品情報

『ラン・オールナイト (Run All Night) 』。2015年アメリカ。ジャウマ・コレット=セラ監督。114分。

主演はリーアム・ニーソン。共演にジョエル・キナマン、ヴィンセント・ドノフリオ、コモン、ニック・ノルティ、ブルース・マッギル、エド・ハリスほか。5月16日公開。

あらすじ

ブルックリンのマフィアのもとで暗躍するスゴ腕の殺し屋ジミー・コンロン (リーアム・ニーソン) は、命を狙われた息子を救うため相手を亡き者にする。ところが相手がマフィアのボスで親友ショーン (エド・ハリス) の息子だったため、復讐に燃えるショーンはジミーと彼の息子を殺すことを宣言。ジミー父子は、組織や金で買われた警察が包囲網を張り巡らせたニューヨークで、迫り来る追手を必死に振り切ろうとするが……。

予告編

映画『ラン・オールナイト』予告編 – YouTube

 -2010年代の映画 ,

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