夜歩く (横溝正史)【読書】古神家の一族

      2015/05/09

金田一読破への道、9冊目。

夜歩く 横溝正史

横溝正史著『夜歩く』読了。1973年角川文庫刊 (1948年連載開始) 。333ページ。

「我、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真が、古神家の令嬢八千代のもとにまいこんだ。三日後に起きた、キャバレー『花』での佝僂画家狙撃事件。それが首なし連続殺人の発端だった……。因縁の呪いか? 憎悪、貪欲、不倫、迷信、嫉妬と、どす黒い要素が執念深くからみあって、古神家にまつわる、世にも凄惨な殺人事件の幕が切って落とされた!!

via: Amazon内容紹介

てな内容で、『本陣殺人事件』『獄門島』に次ぐ金田一の長編3作目にあたる作品です。

十数年ぶりの再読で、例によって中身はまるっと忘れていましたが、オチ (とゆうか犯人) だけは鮮烈に憶えておりました。それほど本作の「トリック」はインパクトがデカいです。一度読んだらゼッタイ忘れない。といったらネタバレになっちゃうかな?つーわけで以下はネタバレも含みますので、ご注意を

感想!

金田一のわりと初期作で、インパクトも強烈なわりには映画化もされていなくて (TVドラマ版はあるみたいです) 、今ひとつ扱いが地味です。面白いんだけどなあ。

佝僂 (せむし) に酒乱、夢遊病に痴呆などなど (つか不適切用語のオンパレードですね。ちなみに作中の表記に準じています) 、ヴィジュアル的にもだいぶおどろおどろしくて、いかにも金田一的なんですが、今だと配慮等の問題で返って作りづらいのかもしれません。

首なし死体による入れ替わりや、死亡推定時刻のトリックなど、ミステリとしてもかなりよくできています。オチは知ってたはずなのに「あれ?これじゃなかったっけ?」と途中疑ってしまうほどでした。

まあでも映像化する上で最大のネックは、本作の構造そのものにあります。いわゆる「叙述トリック」とゆうやつで、クリスティの『アクロイド殺し』がちょー有名です。東野圭吾さんの初期作にもわりと多かったような (本作を読むと、それらもまた読み返したくなります) 。

ちょっとズルい手法ですが、小説ならではのどんでん返しには思わず唸らされます。初読から十年以上経っても憶えてたんですから、その衝撃度は凄まじいです。この感覚を映像でも表現しようと思ったらかなり難しい、とゆうか面白さが半減してしまうよーな気がします。

まあでもこの『夜歩く』はそれを抜きにしても読み応え十分な小道具満載、とゆうかだからこそ夢にも思わないオチで一層素晴らしい、てのもあったりして、横溝正史さすがなあと思うわけです。

ちなみに本作に次ぐ長編4作目『八つ墓村』も本作同様、事件の関係者による一人称、というカタチを取っていて、順番通りに読むと「ひょっとしてまたか?」と思わせる効果もあった、のかもしれません (まあ、1回しか使えないワザなんで、そんなわけないんですが笑) 。

あ、ちなみに他の作品との関連でいうと、本作後半の舞台となる「鬼首村」(おにこうべむら、おにこべむら。架空の村です) は『悪魔の手毬唄』でも出てきます。

本作は語りが「金田一目線」ではないこともあって、金田一自体はあまり活躍しません。まあ、いつも大して活躍しないっちゃしないんですが笑、本作はいつにも増して登場場面が少ないです。寂しい……。つか、急に現れて一気に解決しすぎ笑。

んでもまあ、最後の殺人 (と犯人の自殺。これもわりとお決まり) はちゃんと防いだりしてて、肝心のところはいつもよりしっかりしています。ある意味大活躍じゃね?何か逆に調子狂うわ笑。

シリーズ中でもひと際異彩を放つ「衝撃」作!ちなみにぼくは、夜寝る前に読んだらヘンな夢見てうなされました笑。まあでも歩き回らなかっただけマシか笑。

おわり。

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
↑このブログは今何位?クリックしていただくと励みになりますありがとうございますがむばります。

 -小説

ad

スポンサーリンク

  関連記事

ペンギン・ハイウェイ (森見登美彦)【読書】

森見登美彦さんの小説『ペンギン・ハイウェイ』を読みました。森見さんの小説を読んだのは初めてでしたが、これまで味わったことのない不思議な感覚で面白かったです。kindleとの相性も良い感じでした。

ゴーン・ガール (ギリアン・フリン)【読書】「不快」が滲み出る「文芸」

男と女のサイコロジカル・スリラー。

愛について語るときに我々の語ること (レイモンド・カーヴァー) 【読書】酔いながら音楽を賞でるように

そぎ落とされた表現とミステリアスなタイトル。作家カーヴァーの独自性を刻印し、80年代アメリカ文学にカ

ジグは治具というよりは『jig』だとガリレオ先生に教わった

まあ間違えではないのですが、10年間くらいずっと「治具」だと思ってました。

HHhH (ローラン・ビネ)【読書】

HHhH = Himmlers Hirn heißt Heydrich. ヒムラーの頭脳はハイドリヒ

ゼロで割ると世界がおかしくなる

ゼロで割ってはいけない理由。

有頂天家族 (森見登美彦)【読書】

阿呆の血のしからしむるところ。

がんばらないために、がんばる。

伊坂幸太郎さんの『あるキング』を読んで、「がんばる」ってことについてちょっと考えてみました。

清須会議 (三谷幸喜)【読書】

日本史上、初めて会議で歴史が動いた瞬間。誰が最後に笑うのか?

no image

博士の愛した数式 (小川洋子)【読書】

博士の愛した数式 (新潮文庫) posted with ヨメレバ 小川 洋子 新潮社 2005-11

ad

スポンサーリンク

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

スポンサーリンク

長いお別れ【映画感想】岸辺の旅(2015)

物理学に、ホール(正孔 / せいこう)という考え方がある。 整然と並んだ電子の列で、そのうちのひとつ

no image
横山秀夫の警察小説にハマる

いまさらですが、横山秀夫さんの小説にハマっています。 サクッと気楽に読める小説を、と手元にあった『深

終わるまでが戦争です【映画】日本のいちばん長い日(2015)

降伏か、本土決戦か__。

迷路荘の惨劇 (横溝正史)【読書】

角川文庫・金田一耕助ファイルの8冊目『迷路荘の惨劇』を読みました。子どものころハマった金田一を、1年

ゼッタイ押すなよ!【映画】人生スイッチ (2014)

押したら、さいご。

  • ランキングに参加しています。当ブログの順位は以下から確認できます。

    にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

    ブログランキングならblogram track feed コタノト!



  • follow us in feedly