愛について語るときに我々の語ること (レイモンド・カーヴァー) 【読書】酔いながら音楽を賞でるように

      2015/06/09

そぎ落とされた表現とミステリアスなタイトル。作家カーヴァーの独自性を刻印し、80年代アメリカ文学にカルト的影響を与えた転換期の鮮やかにして大胆な短篇集。

愛について語るときに我々の語ること

レイモンド・カーヴァー著『愛について語るときに我々の語ること (What we talk about when we talk about love) 』読了。村上春樹訳。2006年中央公論新社 (村上春樹翻訳ライブラリー / 1980年原著) 刊。301ページ。

アグレッシヴな小説作法とミステリアスなタイトリングで、作家カーヴァーの文学的アイデンティティを深く刻印する本書は、八〇年代アメリカ文学にカルト的ともいえる影響を及ぼした。転換期の生々しい息づかいを伝える、鮮やかにして大胆な短篇集。

via: Amazon内容紹介 (「BOOK」データベースより)

てな内容で、収録作は以下の17編です。

  • ダンスしないか? (Why Don’t You Dance?)
  • ファインダー (Viewfinder)
  • ミスター・コーヒーとミスター修理屋 (Mr. Coffee And Mr. Fixit)
  • ガゼボ (Gazebo)
  • 私にはどんな小さなものも見えた (I Could See The Smallest Things)
  • 菓子袋 (Sacks)
  • 風呂 (The Bath)
  • 出かけるって女たちに言ってくるよ (Tell The Women We’re Going)
  • デニムのあとで (After The Denim)
  • 足もとに流れる深い川 (So Much Water So Close To Home)
  • 私の父が死んだ三番めの原因 (The Third Thing That Killed My Father Off)
  • 深刻な話 (A Serious Talk)
  • 静けさ (The Calm)
  • ある日常的力学 (Popular Mechanics)
  • 何もかもが彼にくっついていた (Everything Stuck To Him)
  • 愛について語るときに我々の語ること (What We Talk About When We Talk About Love)
  • もうひとつだけ (One More Thing)

映画『バードマン』が良かったので、劇中劇になっていた本書を読んでみました。著者の作品を読むのははじめて、とゆうよりは本書の存在を知る同時に、レイモンド・カーヴァーとゆう作家の存在もはじめて知りました。

ついでにいうと、翻訳者の村上春樹さんの文章を、「本」というカタチで読むのもはじめてでした。何から何まではじめてづくし。

一読してまず思ったのは、「こーゆうのもアリなんだ」。ショートショートのように短い文章で、情景、それも主として、ろくでもない男女の情景が鮮やかに切り取られていきます。

文章があまりにも鋭すぎて、読み終わってもポカンとしてしまうような作品も多かったですが、一方でどこか心に残る部分もあったりして不思議でした。モヤモヤとゆうか何とゆうか、何かしら引っ掛かる感覚が後を引きます。

読みはじめてから最初の数編は特に意味がわからなくて笑、巻末にある春樹さんの「解題」 (解説) をイチイチ読んではフムフムとナットクしながら進みました。で、しばらく進んだら (4本目の「ガゼボ」あたりから) 、段々とこの作家の楽しみかたがわかっくる、といった案配です。

必要最小限の言葉で表現された描写や情景を楽しむ、とゆう感覚は、俳句や詩、さらには音楽を賞でるときの味わいと似ています。『バードマン』を観たときに「JAZZだなあ」と思ったんですが、本書もまさに「JAZZ」そのものといったテイストです。

作中にもお酒を飲むシーンがたくさん出てきますが (とゆうかカーヴァー自身がアル中だったみたいですが笑) 、ウイスキーでも傾けながら読むともなく読む、みたいな読みかたがよくハマりそうです。

突き放す、というよりは取り残されるような終わりかたは何度も味わってこそ、みたいなところもありそうで、読めば読むほど世界観に酔えるような気もします。

ところで、本書を読んだ直後に、アニメ「団地ともお」(の再放送) を観ていたら、「カーヴァーに似てるな」なんてことをふと思いました笑。

タイトルが伏線になっていたり、しょーもない日常を描いていたり (「ともお」は主に子供たちの日常だけど) と、どこかカーヴァーを彷彿とさせます。

ときに絶望的なほど悲しいおはなしがぶっ込まれてくるあたりも、何だか近いものを感じます。見方によっちゃ、「ともお」だってかなりシュールレアリスティックです。考えれば考えるほど似ている笑!

てな感じで、意外すぎるところに共通点を見出せたりしたのも、面白かったです。ほかの短編もそのうち読んでみよー。

おわり。

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 -小説

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