交渉人リーアム・ニーソン!【映画】誘拐の掟 (2014)

      2015/05/23

誘拐犯に告ぐ。殺したら、殺す。

誘拐の掟

『誘拐の掟 (A Walk Among the Tombstones) 』の試写会に行ってきました。

『96時間』シリーズなどでアクション俳優としての地位を確立した名優リーアム・ニーソンが主演を務め、ローレンス・ブロックの傑作ミステリを映画化したサスペンス。引退した敏腕刑事が、猟奇殺人犯と激しい頭脳戦を繰り広げる姿を活写する。

via: シネマトゥデイ

てな内容で、5月30日公開。今回のリーアム・ニーソンはアクション少なめ!あ、ミステリって性質上、以下多少のネタバレを含みますんでご注意を

感想!

謎解きが繋がらない!

ミステリ・サスペンス、てことでそこそこ複雑なおはなしです。置いてかれないよう、けっこう気張ってたので、地味な内容でもさほど飽きずに観ることができました。

事件そのものの謎と、スカダー (Lニーソン) の過去にまつわる謎 (何で刑事やめたのか) が、ユルい感じで交錯 (てほどでもないですが) するあたりは、なかなか巧いです。まあ「酒を断つ会」(この訳もどーかと思う笑。断酒会でよくねーか) にまつわる教訓を、クライマックスのドンパチシーンに被せる演出は、あざとすぎてすげー微妙でしたが笑。邦題の「掟」てのは、このあたりから連想したんでしょうけど、そもそもの教訓自体が物語と全然マッチしてねーっつかあの劇画調のストップモーションは何なの笑。

じわじわと明らかになっていく謎が、今ひとつ解決に結びつかなかったのも、何だかとってもモヤモヤしました。つか警察 (とゆうか麻薬取締局?) もっとがむばれよ。何かスカダーよりもいろいろ掴んでるっぽかったじゃん。

調査のおかげで全体像が明らかになったのはまあ良いんですけど、結局少女が誘拐されたことで、全部一気に解決ヤッタネ!てのが何だかなあ……。名前が判明して、電話口で脅せただけじゃね?謎解きの快感が、すこぶる薄い……。

ラストでアジト突き止めるのも、完全にTJ (アストロとゆうラッパーだそうです) の手柄じゃね。何余計なことしてくれてるんだよ少年!て感じでハラハラしましたが、別段ピンチになることもなく……。

ちなみにこのTJとスカダーの掛け合いはなかなか笑えたりもして (日本人にはあまりピンとこない笑いでしたが) 、本作の大きな見どころのひとつと言っていいでしょう。何よりもテンポがいい!

リーアム・ニーソンの佇まい!

この記事の冒頭にも書いたように、本作のリーアム・ニーソンはアクションだいぶ控えめです。ぼくは正直なところ近年のアクション偏重にはだいぶ辟易してたので、この点はかなり好感が持てました。あいかわらず”元”刑事なわけですが (元〇〇多すぎ笑。元特殊工作員、元殺し屋、……) 、決してスーパーマンじゃない、てところがいいです。

つか本作のハードボイルドなテイストに、リーアム・ニーソンの佇まいがマッチしすぎてて痺れます。やぱこーゆうタイプの地味な映画のほうが合いまくるな、てことを再認識しました。

惜しむらくは相手役にもうひとりくらい、ビッグネームな俳優が参加してれば映画として引き締まったかな、とも思います。何だかこの程度の相手じゃ、だいぶ物足りなかったです。良くも悪くもリーアム・ニーソン一本被り……。てタイトルも「リーアム・ニーソン in」てなってるからまあ当たり前か。

唯一存在感で負けてなかったのは、それこそTJくらいかな。今後の活躍に期待しておるぞ、少年笑!

相手と言えば、今作もあいかわらずヒロイン不在でした。誘拐される少女 (ダニエル・ローズ・ラッセル) がわりと活躍するのかと思いきや、全然だったしなあ。んまあでも、リーアム・ニーソン映画は徹底的に男臭いほうが、むしろ良いのかな笑。

交渉こそ最大のアクション!

アクションが大人しめなぶん、最大の見せ場ともいえるのが犯人との交渉シーンです。電話越しに相手を脅迫するさまは、どっちが犯人なのかわからなくなってしまうほど、凄みに満ち溢れています。圧倒的に不利なはずなのに、なぜか主導権を握ってしまうスカダー怖え笑。んでもなぜか奇妙な説得力も伴っていて、猟奇殺人犯ですら従わざるをえないとゆう、凄まじい迫力があります。つか本作のキャッチコピー (誘拐犯に告ぐ。殺したら、殺す。) はこのシーンの凄みを見事に表現していて、何とゆうかサイコーに頭悪いです (褒め言葉です) 。

そいや、『96時間』でも一番好きなシーンは電話越しに犯人 (と娘) とやりとりするとこだ、てことを思い出しました。何気に交渉人て役柄がちょーハマってるのかもしれません。

日米「探偵のイメージ」比較

スカダーは元刑事の私立探偵なわけですが、調査の進めかたとしては警察小説に近いような印象を受けました。それだけリアリティがある、てことでもあります。

日本で探偵とゆうと、金田一耕助だったりコナンくんだったりで、わりとファンタジックなミステリが多いです。犯人はこの中にいる!的な。人物も浮世離れしてるとゆうか、だいぶエキセントリックなキャラクタが多いです。海外だとポワロなんかもこの変人型のイメージです。

翻ってスカダーのスタンスは、浮世離れとゆうよりは、アウトローです。アメリカの探偵にはこの手のアウトロー型が多いです。フィリップ・マーロウとかサム・スペードとか (読んだことないけど) 。ハードボイルド!このあたりの小説は劇中でも言及があるので、多分にオマージュも含まれているのでしょう (ちなみに関係ないですが、ホームズは変人型とアウトロー型の中間のようなイメージです。あるいは両者の元祖、とゆうことなのかもしれません) 。

んで、日本でこの手のアウトロー型に近いジャンルが、警察小説です。組織に属しながらも、アウトロー的なポジションで奮闘する刑事を描くことで、自然とハードボイルドなテイストになっていくのですね。両極端のようで意外と近いんだなあ、面白いです。

警察小説とゆう文脈で言えば、『踊る大捜査線』なんかともわりと似たところがあるようにも感じます。だいぶ砕けた感じになっていますが、青島刑事なんかはわりとアウトローですよね。てそいや、あのシリーズも元々はアメリカン・ハードボイルドの薫陶を受けているんでした。マイルドボイルド、て感じかな笑?

さいごに

チラシには『羊たちの沈黙』『ドラゴン・タトゥーの女』『プリズナーズ』を超える!とか書かれていましたが、ちょっと系統が違うように感じました。

ぼくは上記の3作いずれも好きなので、期待とゆうか不安が先行しちゃっていましたが (そして見事に不安的中笑) 、ハードボイルドとして観たらそんなに悪くないように思います。

リーアム・ニーソンの哀愁漂う佇まいが、これでもかってほどに炸裂しまくっている一本。

おわり。

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オマケ

ボイド・ホルブルック

キャストを何気なく観ていて、ボイド・ホルブルックってどっかで聞いたことあるなー、と思って調べたら、『ラン・オールナイト』でバカ息子 (エド・ハリスの息子) の役やってたひとか!てことを知って驚きました。

本作でもリーアム・ニーソンを事件に引っ張ってくる役どころ (ケニーの兄ピーター) 、でまたしてもヤク中笑。何なのリーアム・ニーソンを巻き込む役専門なの笑。

スカダー・シリーズ

原題は「墓地の中を散歩」といった意味で、原作本のタイトルは『獣たちの墓』です。これだとホラーっぽいですが、猟奇殺人の雰囲気なんかは完全にホラーだったりもするので、少なくとも邦題よりはイメージとよく合っているように感じます。

ちなみに本作の主人公マット・スカダーが活躍する小説は他にもたくさんあって、「スカダー・シリーズ」として人気が高い、らしいです (未読) 。

本作はそのうちのひとつ、てことは続編も製作されるのかなあ。何だかエンディングはつづいていってもよさそうな、とゆうよりはどっちともとれるような、ヒットしたら作ろうかな的な雰囲気をちょっとだけ感じました。

んでも映像的なヒントがすんげーわかりにくかったりして、映画としての見せかたは正直イマイチだったよなあ笑。物語の展開なんかも多分に小説的で、「読む」ほうが楽しめるような気もします。いずれ読んでみよう、かなあ。

作品情報

『誘拐の掟 (A Walk Among the Tombstones) 』。2014年アメリカ。スコット・フランク監督。114分。

主演はリーアム・ニーソン。共演にダン・スティーヴンス、ボイド・ホルブルック、ブライアン”アストロ”ブラッドリー、ダニエル・ローズ・ラッセルほか。5月30日公開。

あらすじ

ニューヨーク中が連続誘拐殺人事件におびえていた1999年、元刑事のマット (リーアム・ニーソン) のところにある依頼が舞い込む。それは妻を誘拐された夫からの、犯人を見つけ出してほしいというものだった。マットはこれまでの刑事人生で身に付けた全てのスキルを総動員して誘拐犯の捜索に挑むが、相手もなかなか尻尾を出さず……。

via: シネマトゥデイ

予告編

アクションスターとしての地位も確立したリーアム・ニーソン主演のアクション!映画『誘拐の掟』予告編 – YouTube

 -2010年代の映画 ,

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