カッコイイ3時間【映画】ヒート (1995)

      2015/07/03

叫ぶか、黙るか。二人は出会った。いま高鳴る銃撃のシンフォニー。

ヒート マイケル・マン

マイケル・マン監督の『ヒート』を久しぶりに観ました。

こんなに長い映画だったっけ、というのが率直な感想です (どちらかというと、90分くらいで終わる、短くまとまっている映画が好きです) 。あるいは以前観たときはTV放送のカット版だったのかもしれません (今回もTV放送でしたが笑、BSでしたし、おそらくノーカットです) 。

例によってほとんどキレイさっぱり忘れていたので、初見のごとく楽しむことができました (本当に忘れっぽいです笑。ただラストシーンだけは何となく憶えていました) 。

とっても長い映画ですが、とにかくカッコイイです。飽きない、とまではいいませんが、このカッコよさのおかげで何とか最後まで見続けることができます。

それに前半を我慢すれば (わりと退屈なのは前半部です) 、後半は一気に加速するので、長いとかそんなことはどーでもよくなってしまいます。むしろその丁寧な前振り (3時間近くあるうちの、100分くらいは前振りです) が、後半に生きてくる。

何をやっていたのかよくわらなかったシーン (ウェイングローがなぜ情報をタレコめたのか、つまりはなぜ強盗計画を知っていたのか、というナゾだけが最後までよくわかりませんでした。仲間時代に聞いてたんでしたっけ?だれか分かる方いらっしゃったら、教えてください笑) も、あーそーゆうことなのね、というふうにうまく繋がっていきます。

繋がる、というよりは、収束する。「収束」のほうが、より感覚と合っているように思います。散らばっていた無数の点が、ある一点に向かってギュッと集まっていく。そんなストーリーテリングが素晴らしいです。

あらすじをざっと説明しますと、強盗を生業とする男 (デ・ニーロ) と、それを追うロス市警の刑事 (アル・パチーノ) が対決するおはなしです (もっと詳しく知りたいかたは、[Wikipedia] あたりを覗いてみてください) 。

と、こんな説明だといかにもありきたりな映画のように感じてしまいますし、そもそも実際に観ていても、まあストーリーはごくごくありきたりではあるんですが、画の質感がとにかくカッコイイので、そんなことはどーでもよくなってしまいます (さっきから「カッコイイ」しかいってないですね) 。映画ってやっぱりあらすじで語るものじゃないんだなと、本作のような映画を観るととても嬉しくなります (映画にストーリーはいらないんです) 。

20年も前の映画なのにあまり古びていないというのも、このカッコよさと関係があるように思います (90年代がもはや「むかし」であることにちょっと愕然とします) 。

「最先端」がほとんど出てこない、というのもポイントですね。強盗の手口も捜査の進めかたも、ほとんどが昔からある方法です。あらすじも含めてどこかありきたりでありながら、あまり古さを感じない。不思議です。

マイケル・マン監督は、夜の撮りかたが、正確には都市の夜景の撮りかたがとてもうまいです (ちなみにですが、『コラテラル』という映画も夜のおはなしで、情景がとてもカッコイイです) 。独特の冷たくて静かなカッコよさは、このあたりから湧き出しているのかなとも思います。 『ヒート』というタイトルのくせに、質感が冷たい、てのも何だか不思議ですね。でもそれが魅力でもあります。

それとそれと、やっぱり銃の音!迫力がスゴイです。調べたら本物の銃を使っているんだとか。恐ろしい……。LAのど真ん中で繰り広げられる銃撃戦は、戦争映画さながらの大迫力でした (このあたりの破滅的なドンパチシーンは、ベン・アフレックの『ザ・タウン』もわりと似た雰囲気です) 。

銀行強盗のはなしからはじまって、次第に復讐のおはなしへと変質していくあたりも巧いんですよね。刑事から逃げながら、復讐を果たすために死地に向かっていく。『ジャッカルの日』なんかと似た構図です。そんな展開へと持っていく手順が、とても丁寧です。

追うものと追われるものが似た者同士、というのもいいですね。家庭があり、女がいて、それぞれに問題を抱えていて、でもやっぱり仕事が好きで、男としてのプライドもあって……。そんな両者のコントラストが、またカッコイイのです。

デニーロが彼女と出会うシーンはとてもいいですね。ぼくは本が好きなので、本をきっかけに会話がはじまる、というシチュエーションに嬉しくなってしまいます (『ビフォア・サンライズ』でもたしか、「何を読んでるの?」みたいな会話がきっかけだったような) 。

ぼくも今度やってみようかな、と思いましたけど、そんな勇気はないですしそもそもぼくがやったら単なるナンパになってしまうので笑 (デ・ニーロだから画になるのです。まあこの映画でデ・ニーロは声をかけられる側でしたけど) 、いつか小説を書くときのネタにでもしようかと思っています。

空港で終わるあたりもクライム・サスペンスの王道だなと思います。『ブリット』『狼たちの午後』『新幹線大爆破』などなど……。強盗犯は高飛びしようとするので半ば必然なんですが、やっぱり画になります。

ラストの一騎打ち (不自然じゃなくふたりの一騎打ちに持っていくあたりも、見事です) は、オチを知っていてもドキドキしてしまいます。息詰る緊張感、てこーゆうときに使うんですね (と、これもありきたりな表現でしたね) 。

飛行機の光を利用して撃とうするデ・ニーロに対して、アル・パチーノが影に気づいて間一髪!みたいな構図は『羊たちの沈黙』でもありましたね (あれは影じゃなくて息づかいでしたが) 。

そいや、最近観た『ラン・オールナイト』の一騎打ちも、空港ではないですがちょっと似た緊迫感がありましたね。あるいは本作のオマージュだったのかしら。

脇役も皆ステキで存在感があって、それぞれにドラマがあります。ナタリー・ポートマンやデニス・ヘイスバード (TVドラマ『24』のパーマー大統領!) 、ウィリアム・フィクナー (好きなんです) が出てくるあたりも、何だか嬉しいです。

クリス (ヴァル・キルマー) の奥さんシャーリーン (アシュレイ・ジャッド) は、ずっとシャーリーズ・セロンだと思ってました。ちょっと似てません笑?

支える女たちがいかにも前時代的なのがちょっと気になりましたが、徹底的に男臭い映画だから、まあいいや笑。

女性はあんまりハマらないような気もしますが、男の子はみんな好きなんじゃないかと思います。男には、守らないけらばならないプライドがある笑!そんな男のカッコよさを堪能する一本です。

おわり。

作品情報

『ヒート (Heat) 』。1995年アメリカ。マイケル・マン監督 / 脚本。171分。

主演はアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ。共演にヴァル・キルマー、トム・サイズモア、ダイアン・ヴェノーラ、ナタリー・ポートマン、アシュレイ・ジャッド、ジョン・ヴォイトほか。

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 -1990年代の映画

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