横山秀夫の警察小説にハマる

   

いまさらですが、横山秀夫さんの小説にハマっています。

サクッと気楽に読める小説を、と手元にあった『深追い』を読みはじめたところ、これが読みやすすぎるくらい読みやすくて、そこそこ面白くて、とにかく頁を繰る手が止まらなくなってしまいました。

”深追い”というタイトルに合わせるかのように、つづけて『震度0』『第三の時効』とこの作家さんをぐんぐん”深追い”してきて、次は代表作の『半落ち』を読みはじめたところです(実は『半落ち』は以前にも一度読んだことがある、どころか映画も観た記憶があるのですが、例によって内容はすっかり忘れてしまっているので、初読のごとく楽しめるんじゃないかと期待しています)。

ほとんどはじめて読む作家さんだったので、経歴やら著作リストやらをいろいろと調べてみたところ、これがなかなか面白いというか、ぼくの中でわりと役に立ったので、ブログにも備忘録的にまとめておくことにしました。

それぞれの作品については、随時感想を書いていく予定です。

横山秀夫さんの略歴

作家活動以前

横山秀夫さんが作家になるまでの略歴は、ざっと以下の通り。

  • 1957年(0歳)東京生まれ
  • 1975年?(18歳)都立向丘高校卒
  • 1979年?(22歳)国際商科大(現・東京国際大)卒
  • 1979年?(22歳)上毛新聞入社
  • 1991年(34歳)上毛新聞退社

1957年生れなので、2015年9月現在、58歳です。どうでもいいですが、ぼくの親と同世代です(ホントにどうでもいい笑)。

出身高校は都立向丘高校。この高校は横山さんのほかにも、木村カエラさんや鬼龍院翔さん(ゴールデンボンバー)などなど、たくさんの有名人が卒業生に名を連ねています。都立高校なのに何で笑(余談ですが、木村カエラさんと鬼龍院翔さんは同級生で、クラスが一緒だったときもあるんだとか)。

高校卒業後、国際商科大(現・東京国際大)商学部を経て、上毛新聞に入社。以後12年間、新聞記者として勤務されています。ちなみに代表作のひとつ『クライマーズ・ハイ』は、新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故の取材体験を下敷きにしているそうです。

高校(東京都文京区)、大学(埼玉県川越市)、職場(群馬県前橋市)の場所を地図上に並べてみると、ほぼ一直線にじわじわと北西方向へ進んでいるのが分かります。ちなみにソースは忘れましたが、現在も群馬県在住のようです。

メジャーデビュー以前

新聞記者のかたわら執筆した小説「ルパンの消息」で第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞。この受賞を機に新聞社を退職するのですが、本格的な作家デビューはできず(2005年刊行の『ルパンの消息』のあとがきにも、「推理作家としてデビューしそこねた」と書かれていました)、しばらくはフリーライターとして活動しています。

記者から小説家というと、作家になる王道路線て感じがしますし、デビュー後は順調にキャリアを重ねてきたのかと思っていましたが、全然そんなこともないのですね、ちょっと意外でした。

このころの著作は以下の通り。

  • 1991年(34歳)「ルパンの消息」(第9回サントリーミステリー大賞佳作)
  • 1992年(35歳)「関東一おかき本舗内女性従業員殺人事件」(第14回小説推理新人賞候補)
  • 1993年(36歳)『事件列島ブル』(漫画原作)
  • 1995年(38歳)『平和の芽』(講談社)
  • 1996年(39歳)『出口のない海』(講談社マガジン・ノベルス・ドキュメント)
  • 2000年(43歳)『PEAK!』(漫画原作)

ノンフィクションや漫画原作など、いろいろ書かれていたようです。ミステリ的な雰囲気を感じる作品もあるものの、このころはまだ、警察小説の書き手というイメージはほとんどありません。

『陰の季節』以降

1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞(このころはまだ短編小説の賞でした)を受賞し、推理小説家としてメジャーデビューを果たします。41歳のときなので、まずまずの遅咲きといえるのではないでしょうか。

その後はコンスタントに、というよりは凄まじいペースで作品を発表していきます。『陰の季節』以降の著作リストは、以下の通り(太字は長編)。

  • 1998年10月(41歳)『陰の季節』(文藝春秋 / 2001年文庫)
  • 2000年10月(43歳)『動機』(文藝春秋 / 2002年文庫)
  • 2002年09月(45歳)『半落ち』(講談社 / 2005年文庫)
  • 2002年10月(45歳)『顔 FACE』(徳間書店 / 2005年文庫)
  • 2002年12月(45歳)『深追い』(実業之日本社 / 2005年ジョイ・ノベルス / 2007年新潮文庫)
  • 2003年02月(46歳)『第三の時効』(集英社 / 2006年文庫)
  • 2003年05月(46歳)『真相』(双葉社 / 2006年文庫)
  • 2003年08月(46歳)『クライマーズ・ハイ』(文藝春秋 / 2006年文庫)
  • 2003年11月(46歳)『影踏み』(祥伝社 / 2007年文庫)
  • 2004年01月(47歳)『看守眼』(新潮社 / 2007年ジョイ・ノベルス / 2009年新潮文庫)
  • 2004年04月(47歳)『臨場』(光文社 / 2007年文庫)
  • 2004年08月(47歳)『出口のない海』【改稿版】(講談社 / 2006年文庫)
  • 2005年05月(48歳)『ルパンの消息』【改稿版】(カッパ・ノベルス / 2009年光文社文庫)
  • 2005年07月(48歳)『震度0』(朝日新聞社 / 2008年文庫)
  • 2010年03月(53歳)『臨場スペシャルブック』(光文社文庫)
  • 2012年10月(55歳)『64(ロクヨン)』(文藝春秋 / 2015年文庫)

2002年あたりからの出版ペースが凄まじいです。『半落ち』から『出口のない海』までの2年間で、10冊も刊行されています。2、3ヶ月に1冊のペースって、漫画のコミックスかよ笑。

改めてリスト化してみて気づいたのですが、短編小説が主戦場の作家さんです。長編は16作中6作しかありません。それでも、『半落ち』や『クライマーズ・ハイ』、『出口のない海』など、映画化もされた代表作といえる作品はいずれも長編なので、短編がメインというのは、ちょっと意外に感じました。

作品のほとんどは言うまでもなくミステリ。それも警察官が主人公の「警察小説」がほとんどです。警察小説と言えば横山秀夫、というくらい、いまでは代表選手のような作家さんです。

ちなみに、『陰の季節』『動機』『顔 FACE』『64(ロクヨン)』はD県警シリーズ、『第三の時効』はF県警強行犯シリーズ(つっても単行本化されてるのはこの1冊だけなんですが)といって、それぞれ人気が高いようです。

(2015年9月現在での)最新作『64(ロクヨン)』の執筆にはだいぶ苦戦されたようで、その前の著書『震度0』からは7年の空白期間を経ています。一時は体調も崩されていたようです(2010年発売の『臨場スペシャルブック』は、すでに雑誌で発表していた単行本未収録作を、ドラマ化に合わせてまとめたもののようです)。

横山秀夫さんと言えば超売れっ子の人気作家で、もちろん名前や代表作は知っていましたし(読んだことはなかったけど)、文庫化や映像化で絶えずそのお名前は拝見していたので、そんなに長いこと休んでいたなんて、今回調べてみるまで知りませんでした。

ひところ猛烈なペースで書かれていたように、かなりの多作という印象を持っていたのですが、全部で16作というのは想像していたよりもずっと少ないです。読みやすさも手伝って、これなら比較的短期間で全部読破できそう。というか、してしまいそうなので、復活を機にまたモリモリ書いてほしいところなのですが、『64(ロクヨン)』後に雑誌連載などを持っている様子はないみたいで、ちょっと気がかりです。

過去に連載していて単行本未収録作もいくつかあるので、そのあたりをまとめているのか、あるいは書き下ろしを執筆されているのか。いずれにしても、完全復活が待たれます。かつての猛ペースとまではいかなくとも、年1冊くらいのペースで、コンスタントに発表をつづけていただきたいものです。

受賞歴・ランキング

代表作・人気作の目星をつけておくために、受賞歴やミステリランキングをまとめておきましょう。受賞や1位の作品は太字にしました。「文春」は「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミス」は「このミステリーがすごい!」、「本格」は「本格ミステリーベスト10」の、それぞれ略です。

  • 『陰の季節』
    • 第5回松本清張賞受賞
    • 第120回直木賞候補
  • 『動機』
    • 第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞
    • 第124回直木賞候補
    • 2000年度「文春」3位
    • 2001年度「このミス」2位
    • 2001年度「本格」19位
  • 『半落ち』
    • 第128回直木賞候補
    • 2002「文春」1位
    • 2003「このミス」1位
  • 『第三の時効』
    • 第16回山本周五郎賞候補
    • 2003「文春」6位
    • 2004「このミス」4位
    • 2004「本格」12位
  • 『クライマーズ・ハイ』
    • 第17回山本周五郎賞候補
    • 第1回本屋大賞2位
    • 2003「文春」1位
    • 2004「このミス」7位
  • 『臨場』
    • 第5回本格ミステリ大賞(小説部門)候補
    • 2005「このミス」9位
    • 2005「本格」15位
  • 『ルパンの消息』
    • 第9回サントリーミステリー大賞佳作受賞
    • 2006年度「本格」21位
  • 『震度0』
    • 2005「文春」3位
    • 2006「このミス」3位
  • 『64(ロクヨン)』
    • 第10回本屋大賞2位
    • 2012「文春」1位
    • 2013「このミス」1位
    • 2013「本格」22位

主に警察小説を書かれている作家さんなので、「本格ミステリ」という趣きからは、ちょっと外れるようなところがあります(犯人当てだったり、トリックを見破るなどの推理が必ずしもメインではない、ということです)。なので「本格」の順位はやや落ちますが、それでも小気味いいミステリであることに代わりはなく、どの作品も「謎解き」の楽しみは存分に味わえるのではないかと思います。

ちなみに直木賞とは、『半落ち』のときに揉めて以降、訣別宣言をしているのですが、そのあたりの事情は『半落ち』の感想を書くときにでも、改めてまとめてみようと思っています。

さいごに

略歴を追うだけでだいぶ長くなってしまったので、作品の特徴などは、個々の感想を書くときに、折に触れて書いていこうと思います。

ぼくは天の邪鬼、というよりは楽しみをあとにとっておくタイプなので、まずは上に挙げた代表作”以外”から読んでいこうかと思っています笑。

それと、横山さんは文庫化に際して加筆や改稿を行うことが多い作家さんなので、基本的には「完全版」とでもいうべき「文庫版」で読んでいこうと思っています(『第三の時効』の解説で池上冬樹さんが「どこを直してるか読み比べてみるのも楽しい」と書かれていて、生粋のミステリファンはさすがに違うなあと感服しました。ぼくは今のところ、そこまで追いかけるつもりはありません笑)。

さてさて次回は、最初に読んだ『深追い』の感想を書きます!


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