オリンピックの正義の話をしよう【観た】マイケル・サンデル 究極の選択【TV】

      2014/02/14

NHK ハーバード白熱教室

マイケル・サンデル先生の講義番組が大好きな @cota1Q82 です。

NHKで不定期に放送されている『マイケル・サンデル 究極の選択』。毎回楽しく観ています。

先日の放送分 (2012年6月8日) は「オリンピック」がテーマでした。スポーツ好きの僕としてはかなり気になるテーマです。

NHK ハーバード白熱教室|関連番組詳細

サンデル先生とオリンピックの共通点

いよいよ来月 (2012年7月27日) 開幕するロンドンオリンピック。楽しみですねー。

でも悲しいかな、最近のオリンピックはさまざまな問題を抱えているのもまた事実です。国家やIOCなど大きな組織に絡んだ商業的、政治的な問題から、国籍やドーピングといった個人レベルの問題まで多岐にわたります。

こういった話題は、日常的にスポーツを観ていると必ずブチ当たる問題です。自分の生活とはあんまり関係ないんだけど、感覚的にけっこう身近な話題かなと思います。

僕自身スポーツを観るのが大好きなので、「もっとよくするためにはどうしたら良いか」てのを考えるのはちょー楽しいです。僕が考えたところで何かが変わるわけではないんですが、スポーツを観る上で自分にとっての「正義」とは何なのか、てのは意識していきたいなあと日頃から思っています。

そんなオリンピックの「正義」について、サンデル先生と一緒に考えていこう、というのが今回の番組です。

サンデル先生とオリンピック。ほとんど対極なんじゃないかってほど全く関係ないよなあと思っていました。そしたら番組のオープニングで「先生の専門である『哲学』の起源は古代ギリシャでオリンピックと同じ」と紹介。おおなるほど、見事な共通点!

ツカミは猫ひろし

最初に取り上げられた話題は猫ひろしさん。まさかサンデル先生の口から「猫ひろし」て単語が出てくるとは笑。これだけでも見る価値アリです笑。

オリンピックに出場するために国籍を変更するのは是か非か、そもそもなぜ、競技の成績上位者ではなく国ごとに代表が選出されるのか、といったことが議論されます。

そこから話は国家の強化費用についての問題へと発展していきます。サンデル先生、この辺の流れるような議論の進め方、あいかわらずさすが過ぎます。

サンデル先生の講義力がハンパない

もうこれは毎回観るたびに思うんですが、今回テーマが身近だったこともあって、特に強く感じました。

たとえばドーピングの話題で、「薬物は選手にとって危険だからダメ」という議論が煮詰まってきたところで、「じゃあ健康に全く影響しない薬物が開発されたとしたら、それを使うのは倫理的に正しいのだろうか?」という議論の持っていき方をしています。

「選手の才能と努力」というテーマでは、「努力した選手の姿を観て我々は感動する」という意見が主流になってくると、「ではスポーツを芸術に置き換えたらどうだろう?」とくる。「ほとんど同じ技術の演奏をするヴァイオリニストが2人いたとして、1人は1日10時間の練習を5年続けてきた努力家、もう1人はたった数週間でできるようになった天才、どちらが素晴らしいと思うか?」うーん、悩ましい。

「答え」みたいなものにたどり着いたかな、と思ったところで、再び価値観を揺さぶるような話題をポッと提示しちゃう講義力。それによってまた議論が活性化します。パないです。

ゲストよかった

今回のスタジオゲストはバランスが特に良かったと思います。

競技者でもある為末大さん、村主章枝さんをはじめ、ほっしゃん。さん、黒谷友香さん、麻木久仁子さん、茂木健一郎さん。

ほっしゃん。は観衆目線ながら、独特の感じでブッ飛んだこと言ってましたし、黒谷さんは裏表ない感じがちょーステキ。

「サンデル vs. 茂木」な感じもちょっとだけだけど垣間見えて面白かったです。

そして為末さん。さすが競技以外でも幅広く活動してるだけあって、発信力がスゲかったです。話も分かりやすくて明らかに今回の主役でした。

答えがないのが面白い

哲学を巡る議論には、「コレ!」てゆう答えがありません。それでも、「あーでもないこーでもない」って考えることそれ自体が1つの答えなのかなあという気がします。

今回の内容で、僕が特に面白いなあと思ったのはドーピングの問題、そしてテクノロジーはどこまで許されるのかという議論です。

高地トレーニングの話が出てきましたが、先日亡くなった競泳のダーレオーエン選手のように、禁止薬物を利用していなくても、トレーニングで負荷を掛け過ぎたことによって亡くなってしまうというケースもあります。じゃあ同じ危険という意味では薬物ドーピングもありかというと、どうもそうではないような”気がする”。

こういった、理由はうまく説明できない、”気がする”な部分を論理的に言語化してくれるのが、サンデル先生の講義の面白いところかなあと思います。

再放送 &『5千人の白熱教室』本日放送!

本日 (2012年6月16日) この番組が再放送されるようです。BS1で深夜25:00から。

そしてそして、時間は前後しますが、やはり本日14:00からEテレで『マイケル・サンデル 5千人の白熱教室』も放送されます。

先日東京国際フォーラムで行われた特別講義。Twitterで話題になってて気になってたんですが、2週に分けてバッチリ放送してくれるようです。ヤッタネ! (てかこの記事書くのにHP見て偶然知りました。見逃すところだった。ソッコーで録画予約。ちょーラッキーでした。)

今日の番組でも出てくるっぽい話題を扱ったサンデル先生の新刊も近いうちに読みたいなあ。

 -その他の読書

ad

スポンサーリンク

  関連記事

no image

ダース・ヴェイダーとルーク(4才) (ジェフリー・ブラウン)【絵本】

ダース・ヴェイダーとルーク(4才) posted with ヨメレバ ジェフリー・ブラウン 辰巳出版

古典力学の世界 電磁気学の世界【読書】物理学対話 (砂川重信)

ニュートン力学と電磁気学。古典力学的世界像ができるまで。

言葉の問題は重要だ【読書】戦争プロパガンダ 10の法則 (アンヌ・モレリ)

第一次大戦からアフガン空爆まで、あらゆる戦争に共通する正義捏造、自国正当化のからくり。

no image

アホー鳥が行く 静と理恵子の血みどろ絵日誌【エッセイ】大人の遊びの流儀

アホー鳥が行く―静と理恵子の血みどろ絵日誌 (角川文庫) posted with ヨメレバ 伊集院

ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア (ジェフリー・ブラウン)【絵本】

『スター・ウォーズ』のパロディ絵本『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア』を読みました。前作より生々しくて、父と娘の距離感などいろいろと考えさせられてしまいました。笑えるけど複雑です。

今日もかき氷【完全版】(蒼井優)【読書】

涼感たっぷり!完全無欠のかき氷手帖。

マイベストブック!〜2015上半期〜

昨日の [映画振り返り] につづき、上半期の読書を振り返ります。

新しい超伝導入門 (山路達也)【読書】

リニアモーターカーだけじゃない!世界を変えゆく超伝導の原理をざっくり解説。

人気作家の平凡な日常【読書】3652 (伊坂幸太郎)

伊坂のマル秘!

ふたりの微積分 (スティーブン・ストロガッツ)【読書】

数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと。

ad

スポンサーリンク

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

スポンサーリンク

長いお別れ【映画感想】岸辺の旅(2015)

物理学に、ホール(正孔 / せいこう)という考え方がある。 整然と並んだ電子の列で、そのうちのひとつ

終わるまでが戦争です【映画】日本のいちばん長い日(2015)

降伏か、本土決戦か__。

迷路荘の惨劇 (横溝正史)【読書】

角川文庫・金田一耕助ファイルの8冊目『迷路荘の惨劇』を読みました。子どものころハマった金田一を、1年

ゼッタイ押すなよ!【映画】人生スイッチ (2014)

押したら、さいご。

マイベストグルメ!〜2015上半期〜

2015年の上半期に行ったお店の中から、特に美味しかった5店舗を選んでみました!

  • ランキングに参加しています。当ブログの順位は以下から確認できます。

    にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

    ブログランキングならblogram track feed コタノト!



  • follow us in feedly