ペンギン・ハイウェイ (森見登美彦)【読書】

      2014/07/17

そういえばkindleで小説読んだの初めてだなあ。

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森見登美彦さんの小説『ペンギン・ハイウェイ』を読んだ。

ペンギンたちが海から陸に上がるときに決まってたどるルートを「ペンギン・ハイウェイ」と呼ぶのだと本に書いてあった。その言葉がすてきだと思ったので、ぼくはペンギンの出現について研究することを、「ペンギン・ハイウェイ研究」と名付けた。

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森見さんの作品は以前から何となく気になっていたのだが、読むのは本作が初めて。

たまたまkindleでセールしてたので買って読んでみたのだが、タイトルがとてもすてきだなあと思ったのも「読んでみたい!」と思った理由の1つ。

人は見た目が9割 (ほんとか?)、などというが、小説はタイトルで7割くらいは決まっちゃうんじゃないだろうか (BLOGエントリも!)。

簡潔でリズムがよくて、意味はわかるけどわからない、そんなタイトルが理想だと思う。「ペンギン」「ハイウェイ」て、それぞれの単語の意味はわかるけど、合わさるとわからない。だから「どんな話なんだろう?」て気になる。いいタイトルだなあ。

森見さんの小説は文体が独特で読みにくいと聞いていたが、本作はそれほどでもなかった。ちょっと不思議な文体ではあるがそれが心地いい雰囲気を醸し出している。

あとからしらべてみると、それはアデリー・ペンギンだった。学名ピゴスケリス・アデリアエ。南極とその周辺の島々に生息していると本には書いてあった。

郊外の住宅地には生息していない。

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突然町に現れたペンギンの「謎」を研究する小学生の「ぼく」ことアオヤマ君。

親友のウチダ君、クラスメイトのハマモトさんと協力し、ときにはいじめっ子グループの「スズキ君帝国」の妨害に遭いながらも、その「真相」へとの迫っていく。鍵を握るのは、歯科医院の「お姉さん」??

と、こんな風に書くといかにもミステリーっぽいが、全然そんな感じではなくて、タッチはむしろファンタジーに近い。SFでもあり青春小説でもあり、「お姉さん」とのラブストーリーでもある。

キャラクターや舞台設定がとても魅力的だ。「ぼく」と「お姉さん」は言うまでもなく、上に挙げた以外にも「父さん」はとてもすてきな人物だし、「海辺のカフェ」はもし家の近くにあったら、間違いなく毎日入り浸りたるであろうステキ空間だ。

ペンギンはどこから来たのか。それが問題だ。

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いかにしてその問題を解くか、というのがこの物語の主題ともいえるのだが、「ぼく」のアプローチはとても科学的だ。

「毎日の発見を記録しておくこと」と父は言った。

だから、ぼくは記録する。

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仮説を立て、観察や実験を繰り返し、結果や発見を記録する。その結果を考察することでまた新たな仮説を立てる。研究対象は非現実的でも、手法はまさに科学、研究はこうあるべきというお手本である。

ある「問題」に対する「考え方」、いわゆる「いかにして問題をとくか」的な思考法が本作にはたくさん登場する。「ぼく」のノート術やアイディア術なんかは、いわゆる「ライフハック」的なものとも通じる部分があって面白い。

元々ずっと研究をやってきて、且つそーゆう「ライフハック」的なことにも興味がある僕としては、この「ぼく」たちのアプローチを読んでるだけでも十分楽しむことができた。

「ぼく」たちの研究対象はペンギンだけにとどまらない。近所を流れる川の地図を作成したり、ブラックホールについて考えたり。「死」や「おっぱい」について。この年代の子供にとっては、触れるものすべてが研究対象になる。

相対論や量子論と関連する話が出てくるあたりはとても面白かった。

科学的にかなりマジメに書かれていて、そんな中に突然「ペンギン・エネルギー」という小説的な「ウソ」が出てくるあたりは、そのギャップが素晴らしくて、織り交ぜかたがうまいなあと思った。

「ウソ」(フィクション)を科学 (サイエンス) 的に研究するのだから、これぞSF。納得。

ところで僕は描写の多い小説は苦手で、本作は僕にとっては十分すぎるほど描写が多い部類に入るのだが、読んでいてもそれほど苦痛には感じなかった。kindleで読んだことと関係があるのかはわからないが、これくらいの描写が読み飛ばすことなく読めるギリギリの量なのかもしれない。

そんな描写も含めて、雰囲気がとても「アニメ的」だなあと思った。

小説を読むときは多かれ少なかれ頭の中で「映像化」しながら読むのだが、ほとんどの場合その「映像」は「実写」である。当たり前だけど。

でも本作に限っては、僕の頭の中で流れていた映像は「アニメ」だった。

内容が「アニメ的」なのか、無理矢理実写にするとチープに感じられてしまうような世界観だからか、理由はわからない、というか両方だろうが、とにかく「アニメ」で観てみたいなあと思ったのは確かだし、そっちの方がしっくりくるからそうなったのだろう。

森見さんの作品の全てがこういう感じなのかはわからないが、僕としてはアニメあんまり好きじゃないのにも関わらず、けっこう心地いい不思議体験だったので、他の作品も読んでみたいなあと思った。この辺りが人気の理由なのかな?

「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ」

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というわけで (どういうわけだ?) いろいろ書いてきたが、この小説で一番感銘を受けたのはこの一文だろう。

僕もいろいろな平和を願って、おっぱいのことを真剣に考えようと思う。

おまけ / kindleのこと

ちなみに本作はkindleで読んだ初めての小説 (これまでは主にビジネス書などを読んでいた) で、しかもiPhoneとiPadの両方で読む、てのにも初めて挑戦してみた (これまではiPadオンリー) 。

電子書籍は向き不向きがあるので作品は選ぶと思うが、本作に関してはかなり快適に読むことが出来た。iPhoneだと短い時間でもサクッと読めて良い。それとデバイス同期はほんとにちょー快適。

気になってる作家さんの作品を読むのに、Kindleのお手軽感はとてもいいと思う。コンテンツどんどん充実してくれたら嬉しいなあ。

こんな一冊も

 -小説

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