プラチナデータ (東野圭吾)【読書】

      2014/07/17

映画も公開中です。

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東野圭吾さんの小説『プラチナデータ』を読みました。

設定が面白そう、てのは前々から思ってたものの、何となく読む機会を逸していました。なので映画公開は良いきっかけになりました。

国民の遺伝子情報から犯人を特定するDNA捜査システム。その開発者が殺害された。神楽龍平はシステムを使って犯人を突き止めようとするが、コンピュータが示したのは何と彼の名前だった。革命的システムの裏に隠された陰謀とは?鍵を握るのは謎のプログラムと、もう一人の”彼”。果たして神楽は警察の包囲網をかわし、真相に辿り着けるのか。

via: 文庫版背表紙

といった感じのストーリーです。

遺伝子情報とかDNA鑑定とか、個々のキーワードにはそれほど目新しさはありません。

でもこの手のテクノロジーはイマイチ信用されてないというか、技術が未熟だった頃の鑑定結果が実は間違ってて冤罪を招いてしまった、みたいな事件も実際に度々起きています。そういう意味では「古くて新しい」テーマではありますね。

未熟な部分が残るところには「陰謀論」めいた話も入り込んできやすいです。「国家の監視」みたいな話もいろんなところでさんざん聞いたことのある、ある意味ありきたりなテーマです。

個々のテーマはどれもありきたりですが、そういうのを組み合わせることで良い感じの設定を作り出しているのはさすがです。アイデアは並べ方だなあ。

DNA捜査と犯罪予知

10年くらい前のS・スピルバーグ監督の映画『マイノリティ・リポート』にちょっと似てるなあと思います。設定とかいろいろ。

この映画は「犯罪予知」というもうちょっと実現が難しそうなテーマでしたが、「システムの第一人者が犯人にされ、真相を暴くために奔走する」という骨格はおんなじです。

パクリだ!とかそういうことを言うつもりは全然ないです。ただ似てるなあと思っただけです。けど偉大なストーリーテラーは似たようなことを考えつくものだなあ、てのは常々感じています。

『プラチナデータ』の捜査システムは、そう遠くない未来に実現してもおかしくないような気がします。そう感じるくらいにはリアリティのある描写というか、うまく作られています。この小説の読みどころのひとつです。

それで、この物語の時点よりもさらにシステムが進むと、遺伝子情報を使って個々人の性質、たとえば「凶暴性」みたいなのがどれくらいあってとか考えてくと、ゆくゆくは「犯罪予知」みたいなこともできちゃうんじゃないか。

なんてことを『マイノリティ・リポート』との類似から妄想しながら読みました。

ミステリとしては・・・

あんまり「無駄なこと」を書かないのが東野作品の好きなところなんですが、本作に限っては冗長だなあという感じです。

500ページ近くある割には話も広がっていかないし、スケール感もそれほどではありません。いろいろと伏線的なものを張ってるのかと思いきや、それほどうまいこと回収されませんし。キャラクターもいろいろ出てくるけど魅力はイマイチ……。

何かミステリとしてもそれほど驚きもなかったですし、設定が良い分ちょっともったいないなあという感じです。

やっぱ東野圭吾は短編かなあ。コンパクトな方が面白い気がします。長編でも好きなのは「エピソードの集合体」みたいな作品が多いですし。

そういえば「遺伝子」とか「二重人格」とかは、東野さん初期のヒット作でも扱われてたテーマだったなあ。そんなことを思い出してちょっと懐かしいというか、あの頃の作品もまた読んでみたいなあという気にはなりました。

映画の方が面白い?

文庫版のオビに書いてあった作者コメントはなかなか興味深いです。東野さんはこういう宣伝文句的なコメントも巧いよなあ。

映画とのコラボレーションで小説を書くという仕事がありました。難しくないと思いましたが、結局挫折しました。少しでも制限があると、私の脳は創作を拒否するようです。本作は、その時のアイデアを元にしています。映像化から解放されたことで書けたのだと思います。

via: 文庫版オビ

でもやっぱりいろいろと映像的だなあという気がしました。あんまりキャラクターの内面とかそういう小説的な面白さが乏しいというか。

なので映画のほうが返って面白いのかなあという予感がしました。コンパクトにまとまりそうですし。

キャストも好きな役者さんが揃ってて良い感じ。ただ小説で感じた個々のキャラクターのイメージとは微妙に違うかなという感じもしますが……。

ちょっと怖いけど十分ありそうな未来像

核となる設定の都合上舞台が近未来なわけですが、「DNA捜査システム」以外でもところどころ「未来な感じ」が出てきます。

それがけっこうリアリティがあるというか、「ああすげえありそうだなあ」という感じでニヤニヤできます。デジタルな覚せい剤とか、タバコの規制が進んでたりとか。こういうのは映像だと逆にちょっとチープになっちゃうかもしれませんね。

ミステリとして読むと大したことないけど、世界観はかなり楽しめました。そう遠くないうちには十分実現してそうな未来像。でも「プラチナデータ」(タイトルではなく作中に登場する方のやつ) まで実現しちゃったらと思うと、ちょっと怖いですね。

 -小説

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