マスカレード・ホテル (東野圭吾)【読書】

      2014/07/17

やっとこさ読み始めたら、面白いんで最後まで止まりませんでした。

みんな大好き、超人気作家の東野圭吾さん。売れっ子すぎて逆に何て説明したらいいのか思いつきません。僕もファンです。

昨年は「作家生活25周年記念」てことで新刊が3冊も出版されました。超ハイペース。まあタイミング重なっただけな気もしますが、出版社もちゃんと分かれてるって大人の配慮的なものもあって何つーかスゴイ。

本作はその3冊目。前2作が所謂シリーズ物だったのに対して、こちらは完全な新作。

ハードカバーはあんまり買わないんですが、装丁が魅力的だったので思わず買ってしまいました。まあ買ったらちょっと熱冷めちゃって、読み始めるまで結構積読しちゃったんですけど。

けど読み始めたらあっという間でした。テンポはいいし、良い意味で軽くて面白い。相変わらず巧いなあ。

タイトルの意味

マスカレードとは仮面舞踏会のことです。それさえ知ってれば冒頭の20ページくらい読むと、ああなるほど、とわかります。でもそれだけじゃないんです。

「ホテルマンはお客様の素顔を想像しつつも、その仮面を尊重しなければなりません。決して、剝がそうと思ってはなりません。ある意味お客様は、仮面舞踏会を楽しむためにホテルに来ておられるのですから」

舞台は都内の超高級ホテル。ホテルそのものがマスカレードなんですね。途中まで長編の体を成した短編なのかと思ったくらい、様々な客とエピソードが登場します。

しかも仮面を被っているのは「客」だけじゃない。たくさんの仮面が出てきます。うーん深い。

「ホテルもの」は面白い

「姉さん事件です」などが代表的ですが、ホテルを舞台にした所謂「ホテルもの」てのはあんまりハズレがないように思います。パッと思いつくやつだと、三谷幸喜さんの「THE有頂天ホテル」とか大好きです。

宿泊客を軸としたいろんな人間を描いてるから、てのはもちろんありますけど、それ以外にもホテルそのものが持ってる空間的な豪華さとか、システムそのものにも面白さの理由があるように思います。

ホテルは来る人にとって、ある意味日常を忘れる夢の空間です。江戸時代の吉原とか、ラスベガスなんかは今でもそうですけど、ホテルはエンターテインメントの一種で、ある意味ではテーマパークに近いんじゃないかと思います。

で、そういうのを作り出してる裏方のシステムてのは、泊まる時は別にして、やっぱりみんな気になるし見てみたいわけです。ディズニーランドの裏側、的なやつと一緒です。だいたいちょー面白い。

本作ではその辺りもガッツリ描かれてて、これも魅力のひとつかなと思います。

愛すべきキャラクター

本作は登場人物もイイ感じです。

主人公の新田刑事、優秀なフロントクラークである山岸尚美、所轄の能勢刑事をはじめ、いずれも魅力的です。

新田と尚美の、職業的な性格の不一致と対立。その掛け合いが素晴らしいです。警察官とホテルマンて組み合わせたら面白そう、てのが着想の原点なのではないか、と思わせるくらいに巧いです。

対立から次第に歩み寄っていく様や、人間的な成長の描き方も絶妙です。特に新田は人間的にちょっと未熟なんですけど、その「未熟さ加減」がちょー絶妙に物語を面白くしてくれます。

「分かってた」つもりにさせる巧さ

犯人を、トリックを見破ってやろう、てのは多くのミステリーファンにとって真理なのではないかと思っております。僕もミステリーを読む時は、少なからずそういう気持ちになります。

そこには著者と読者の勝負が存在します。

でも東野圭吾さんはそんな心理をある意味逆手にとっているんではないかと最近思います。

だいたいいつも、半分くらいは見破ったんだけどなあ、て気分になるんです。

本作もちょっとそんな気にさせられたシーンがありました。最初の数字の謎です。

まさに僕も途中の手順までは実際に「やってみた」んです。結局それだけじゃ解決されないんで諦めたんですけど。

謎解きシーンでおんなじ手順が示されて、そこまではいったんだけどなあ、て思わず読んでて声に出したくらいです。

けど、この「半分見破った」感じは結構良い気分になれます。そして「解けそうで解けない」感じも、今度こそは、てゆう挑戦意欲みたいのを無意識的にでも掻きたてるのかもしれません。

こういう、読者を「分かってたよ」て気にさせるのが東野圭吾さんの巧さだなあと思います。売れっ子たる所以なのかな。

所詮素人の浅知恵なんですが、やっぱりこうゆうのって、全部計算して書いてるんだろうか。東野圭吾恐るべし。

 -小説

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