ビルドアップ走に挑戦してみたので、いろいろと考察してみようと思う
2013/04/23
目指せランニングエコノミー。
photo credit: ratterrell via photopin cc
「頭でペース配分を計算して、自らの足で実践するのは本当に大変です。特に最後の2kmとなると多くの観衆がいますよね。そこで観衆の声に耳を傾けず、つまり、応援に乗せられて走るのではなく、自らのペースを守ることが大切なのです。ちょっとでもスピードを上げてしまったら疲れてしまいますからね(笑)」
via: <世界最速のランナーに迫る> 男子マラソン 「人類は2時間の壁を破れるのか」~ゲブレシラシエ、マカウ、キプサング~ – Number Web
フルマラソンの世界記録保持者パトリック・マカウ (ケニア) の発言です。
マラソンで好タイムを出すには何よりもペース配分を大事です。特に今、世界トップレベルの主流は「ランニング・エコノミー」、省エネ走法といわれています。
速く走るためにはペースを上げすぎない、というのは何やら謎掛けのようですね。ですがこれは、トップレベルのランナーだけでなく、僕のような初心者にも当てはまることだと思います。
ネガティブスプリット
前半はペースを抑えて、後半ペースを上げる「ネガティブスプリット」が好タイムを出すのに有効であると言われています。
僕自身の実感でも、後半加速した方がかなり楽です。イイ感じに走れたなあと思うときは、自然とネガティブスプリットが実践できている、てことでしょうか。
後半加速できるほど余力があるってことは、それだけうまくペース配分できてるってことでもあります。
「ペースを守る」のは、マカウのような世界最速のランナーでも「大変」なことです。ましてや素人が実践するのはもっと大変です。
実際、前半はかなりゆっくり走ることになるんですが、これがなかなか難しいです。前半はスタミナが有り余っているので、ついついスピードを出してしまいます。すると当然ですがすぐにガス欠してしまいます。
ペース配分を守ってネガティブスプリットを実践するためには「ビルドアップ走」というトレーニングが有効であると言われています。
「走る距離を分割して段階的にペースを上げていく」というトレーニング法です。
科学的実践
ところで僕は科学をやっていた人間 (これでも理学博士だよ) なので、これからはランニングにも科学的な方法論を導入・実践していこうと思っています。
科学的な方法論とは「仮説を立て、実験を行い、結果を考察する」ということです。その考察に基づいて新たな仮説を立て……、あとはこのサイクルの繰り返しです。
ランニングでいうところの「実験」とは、実際に走ることです。そうして走ったときのタイムなど様々な走行データが「結果」になります。
さて大事なのは「仮説」です。科学実験も、目的やらなんやらを何も考えずにやっていては進歩は望めません (とりあえずやってみる、てのが大事な場合はもちろんありますが)。
ランニングにおける「仮説」とは、予想タイムや目標タイムを設定することです。これまでも、まあ一応は「これくらいの距離をこれくらいの時間で回ってこよう」みたいな、かなりざっくりした目標は立てていました。
でもせっかくいろいろなデータが取れているので、もう少し細かく設定してみようかなあと思った次第です。
そうそう、「データが取れる」といえば、一昔前なら素人が一人で詳細なデータを取るのはかなり難しかったと思いますが、最近はテクノロジーの発達でほとんど自動であらゆるデータを取ることができます。そう、iPhoneならね。
てわけでランニングアプリなら何でもいいと思いますが、僕は『Nike+』と『RunKeeper』を使っています。
最近ビルドアップ走を2度ほど実践してみたので、結果をまとめるついでにいろいろ「考察」しておこう、というのがこのエントリの主旨です。
ちなみに参考までに僕の現状スペックですが、平均で 6″00 /km くらいです。だいたい毎日出走して 100 km/month ほど走っています。これまでの総走行距離は 850km ほど。大会の出場経験はありません。一番長く走ったときで 18km弱。といった感じです。
ビルドアップ走実践その1 / 6km走 (2013/4/17)
普段よく走っている6kmコースでまずは実践してみました。
2kmごとに3つのブロックに分割して、それぞれ1kmあたり 6″15 / 6″00 / 5″50 のペースで回ってくる、というのが設定した目標、「仮説」ですね。
ちなみにこのペースだと、それぞれの通過タイムは 12″30 / 24″30 (12″00) / 36″10 (11″50) になります (カッコ内は各ブロックごとのタイム)。
さて結果はご覧の通り。
4kmのところでわずかにペースダウンしてますが、後はだいたい加速できています。ラストの1kmで「最速」を出せたのも収穫です。
各パートごとにかかった時間は次の通り。カッコ内は目標との差です。 12″20 (-0″10) / 11″57 (-0″03) / 11″19 (-0″31) 。ペースはそれぞれ 6″10 (-0″10) / 5″59 (-0″01) / 5″40 (-0″10) 。
走ってた感覚だと、最初のパートで突っ込み過ぎたので、次のパートはちょっと抑えて走った感じだったんですが、それくらいでちょうどいい、てことですね。
初めてだったんでけっこう適当に立てた目標だったんですが、かなりうまくいって自分でも驚きました。
というかこの感じだと目標値をもう少しタイトにしてもいいのかもしれません。それぞれ5秒ずつくらい速くてもいいのかも。
ビルドアップ走実践その2 / 10km走 (2013/4/21)
次は10km走に挑戦です。10km走ること自体がけっこう稀というか、これまでにも数回しか走ったことないのでほんとに挑戦という感じ。
今回は4km / 3km / 3km に分割。ペースの目標は1kmあたり 6″20 / 6″10 / 6″00 に設定です。距離が長めなのでスタミナを考慮して緩めに設定しました。
通過タイムはそれぞれ 25″20 / 43″50 (18″30) / 1’01″50 (18″00) てことになります。
まず結果。
ちょこちょこ遅れるところはあったものの、最後までバテることなく走り切ることができました。今回もちゃんとラスト1kmが「最速」です。
各パートごとにタイムを見ると 24″20 (-1″00) / 17″32 (-0″58) / 17″01 (-0″59) 、ペースはそれぞれ 6″05 (-0″15) / 5″51 (-0″19) / 5″40 (-0″20) 。
目標値よりもだいぶ速く走ることが出来ています。というより6km走の結果と比べても、ちょっと速くなっています。
実感としては、より長い距離を走るときの方が前半温存するというか、余計な力みみたいなのが抜けた感じで走るので、それが良いのかもしれません。
いずれにしてももう少しだけ速めの目標設定でも良さそうです。
まとめ
事前にペース配分を細かく設定しておくと、走るときの意識が変わってきます。「ランニングは頭で走る」みたいなことがよく言われますが、ホントにそれが実感できて楽しいです。
iPhoneアプリで取得できるデータも、せっかくいろいろ細かいところまで出てるので、いろいろと分析してみるといろいろ発見があって面白いです。
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