サイコ (1960)【映画】

      2014/10/31

ヒッチコックの最高傑作。

レゴサイコ

photo credit: Profound Whatever via photopin cc

A・ヒッチコック監督の『サイコ』を観ました。観るのは初めてではないですが、それでもやっぱり怖かったです。何度観ても興奮する、サイコスリラーの金字塔です。

ストーリー

「あらすじ」自体がある種のネタバレにもなっちゃってます。パロディやオマージュもたくさん作られてるくらい有名な映画なので、観たことなくてもオチは知ってる、て人は多いかもしれません。

でもやっぱり初見の人、特に全く知らない人は、まずはなるべく予備知識なしで観て欲しいなあと思います。ミステリやサスペンスなど、ドキドキする系の作品が好きなら必ずハマるはずです。

アリゾナ州の不動産会社に勤めるマリオン (ジャネット・リー)。婚約者サムの経済的事情により結婚に踏み切れない彼女は、仕事で預かった大金を出来心から横領、誰にも告げず車で逃走する。郊外でノーマン青年 (アンソニー・パーキンス) が経営するベイツ・モーテルにたどり着いたマリオンがシャワーを浴びていると、突然侵入してきた影が襲いかかり、彼女を殺害した。行方不明のマリオンを探すマリオンの妹ライラ (ヴェラ・マイルズ) とサムは、ベイツ・モーテルにマリオンがいた痕跡を発見する。

via: サイコ (1960年の映画) – Wikipedia

パロディなどがたくさん作られてると書きましたが、そもそも「サイコスリラー」「サイコサスペンス」という言葉自体がこの映画のタイトルに由来しています。まさに原典であり原点です。

グラマーな女性がシャワーを浴びている最中に殺される、というホラー映画によくあるシーンもこの映画が最初なんじゃないかな。

ヒッチコックは撮影やプロットに関するさまざまなパターンやモデルケースを残しましたが、この映画はその最たるものと言えるかもしれません。

バーナード・ハーマン

オープニングタイトルのセンスがとてもよくて、めちゃめちゃカッコいいです。「映画はオープニングで決まる」くらい思ってる僕としてはかなりグッときました。

何といってもバーナード・ハーマンの音楽が素晴らしいです。シャワーシーンで流れる曲も良いですが、オープニングの方が僕は好きです。

このオープニング曲はジャネット・リーが車を運転してるところでもたびたび流れますが、彼女の心の葛藤や不安みたいなものとめちゃくちゃマッチしています。

音楽の良い映画というのは一本締まるというか、どことなくオシャレです。

アンソニー・パーキンス

ハマり役です。いや、ハマり過ぎちゃったくらいと言うべきでしょうか。

ヒョロッとして頼りなさそうな体型。普段は穏やかそうな好青年といった感じの優しそうな表情。ちょっと気が弱そうで、でもこだわりは曲げない感じ。そして時折みせるゾッとするような怖い顔。

多面的な役柄を見事に演じています。キャスティングの妙が光ります。

ラストシーンの表情は思い出すだけでもゾクゾクします。

シャワーシーン

もはや固有名詞とも言える「ザ・シャワーシーン」。映画史に残る名シーンです。映画マニア、ヒッチコックマニアならカット割りまで思い出すことが出来るでしょう。

実際に観たことはなくても、曲は耳にしたことがあるかと思います。

細かいカット割りと音響効果で、実際にナイフが体に刺さっているように見えます。でもよく見るとわかりますが、すべて「寸止め」です。

人間の視覚には見えないものを補完する働きが備わっています。実際には見えていなくても、想像力で補って、あたかも見えていたかのような映像を頭の中で作り出しています。

それに想像力は恐怖とも関連しています。見えないものほど怖いです。

人間の視覚や脳の働きと恐怖との関係を知り尽くした、ヒッチコックの真骨頂が凝縮されたシーンです。

ヴェラ・マイルズ

ジャネット・リーの妹役を演じていたのがヴェラ・マイルズ。

なんかけっこう存在感があってなかなかいい女優さんだなあと思いました。もうちょっと美人だったらなあという気もしますが、気の強そうな感じはよく似合っててそれはそれでなかなか魅力的です。

「シャワーシーン」でのジャネット・リーの「叫び」が有名ですが、クライマックスでのヴェラ・マイルズの「叫び」もけっこう見ごたえあります。

殺しの因数分解

何気に一番怖いなあと思ったのは、いろいろな「処理」に使われてた「沼」です。底なし沼の何でもじわじわ飲み込んじゃう感じが昔から苦手というか、生きたままハマったらすげー苦しいだろうなー、とか考えちゃって、何か怖いです笑。

うまいなあと思ったのは、最初のジャネット・リーのときにはめちゃめちゃ丁寧に描いて、2回目の探偵のときには簡単に済ませてるところ。

これは昔どこかで北野武監督が言ってたことですが、いわゆる「殺しの因数分解」てやつです。

ジャネット・リー (A) が殺されるシーン (X) と、探偵 (B) が殺されるシーン (X) てのは、手口はおんなじなので、Xは1回見せればいい、てことです。

AX + BX = (A + B)X という、初等的な因数分解が成り立つのです。

2回目の探偵のときは、アンソニー・パーキンスが沼のほとりで振り返ってニヤッと笑う、てゆうそれだけのシーンで、観客には何が起きたのかわかる、て仕組みになっています。うまいなあ。

ちなみにこのシーンもけっこう怖いです。

二転三転する「雰囲気」

前半はお金を持ち逃げしたジャネット・リーを巡るミステリっぽい様相だったのが、殺人が起きるあたりから何だか様子が変わってきて、まったく予想がつかない展開を見せます。

何が起こるのか、どこに向かっているのかわからないストーリー、というのは『裏窓』もそうでしたが、『サイコ』は映画の雰囲気そのものが二転三転します。

ストーリーと映画の雰囲気そのもの、2つの「先が読めない」不安定な感じがシンクロすることによって、恐怖感が煽られるというか、何だか不思議な気持ちになってきます。

それとこの映画は全編モノクロですが、それがストーリーの持ってる「暗さ」みたいな雰囲気とよくマッチしています。

まとめ

圧倒されるようなゾクゾク感の連続で、食い入るように観てしまいました。何度観ても面白いです。観終わった直後にもう一回観たいと思ってしまいました。

やっぱり良い映画は善いですね。

 -1989年以前の映画 , ,

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