コクリコ坂から (2011)【映画】

      2014/10/31

上を向いて歩こう。

コクリコ坂から

スタジオジブリ製作の映画『コクリコ坂から』を観ました。宮崎吾朗監督。

ちょっと前にTV放送してたのを録画しといたやつです。あらすじとかキャストとかの予備知識ほとんどなしの状態で、何の気なしにフラッと観はじめたのですが、けっこう良いお話でかなり楽しめました。

特に期待とかしてないニュートラルな感じで観られたのがよかったのかもしれません。

ストーリー

東京オリンピックの開催を目前に控える日本。横浜のある高校では、明治時代に建てられた由緒ある建物を取り壊すべきか、保存すべきかで論争が起きていた。高校生の海 (長澤まさみ) と俊 (岡田准一) は、そんな事件の中で出会い、心を通わせるようになる。

via: Yahoo!映画

海と俊の恋の行方、という大きな流れはあるものの、それよりもどっちかというと全体的な雰囲気や世界観を楽しむ映画かなあと思います。ジブリはどの作品も大体そうですが。

昭和30年代が舞台なので、その頃の暮らしや時代背景といったものを楽しむという、いわゆる「ALWAYS的」な懐かしむ系の映画でもあります。当時の街並やら生活やらは確かにいちいち面白いです。

学生運動とかよく知らないと主人公たちの空気感についていけないかもしれませんが、逆に新鮮な感じもするので、それはそれでけっこう楽しめちゃうんじゃないかなあという気もします。

つか僕自身、学生運動は親よりも上の世代なのであんまりよくは知らないですが、若者のエネルギーはいつの時代も不変だよなあという感じで違和感なく観れたので、わかるわからないはあんまり関係ないかもしれません。

「エスケープか!青春だねえ!」という高校の理事長 (香川照之) の台詞が印象的で、この映画の全てを端的に表してる気がします。

食べ物が美味しそう

冒頭のあたりで海の作る料理がとても美味しそうです。というか冒頭に限らず料理を作ったり食べたりするシーンがけっこう多いのもこの映画の見所かなと思います。

食べ物が美味しそうな映画は、何かそれだけでもう合格な感じがしてしまいます。人間の最も基本的な欲求だからなのか、「美味しい」というのはそれだけでとても幸福な気分に浸れるよなあと思います。

それと、昭和の料理の仕方だったり、手際の良さなんかも観ていて楽しいです。

僕自身料理はしないし出来ないんですが、最近ちょっとやってみたいなあという感じで興味が出てきてるので、そういう意味で気になった、てのもあるかもしれません。

世界観を探索する面白さ

説明的な描写がとても少ないのもこの映画の良さだと思います。ちょっと不親切と感じるほどに説明してくれません。最近の映画にしては珍しいです。

主人公の海が掲げる信号旗の意味だったり、なぜ「海」なのに「メル」と呼ばれているのかとか、あんまり教えてくれません。

もっと基本的なところ、登場人物の顔と名前がなかなか一致しなかったり、人間関係とかもほとんど説明されないです。映画が進むにつれてジワジワと分かってくる部分もありますが、謎のままなところもけっこうあります。

なんかそういう関係性だったりを観ながら探索、というか理解してくのがけっこう楽しかったです。

あんまり見慣れないスポーツの、ルールだったり面白さだったりを「発見」しながら観る、てのが好きで、むしろオリンピックとかはそういう楽しみ方しかしてないんですが、そのときの感覚に似ています。

最後までよくわからなかったところは、観終わった後で調べたり。そういうの調べるのも好きでよくやってます。このNAVERまとめなんかは感想とかも載ってて分かりやすかったです。さすが「まとめ」。

ひろこおじさん

主人公の海をはじめとして、魅力的な女性がたくさん出てきます。

海は家事から言動までとてもよくできた少女ですが、僕的には画家の広小路さんがお気に入りです。色気より食い気、身の回りのことに無頓着な感じがステキです。

つか「ひろこ”おじさん”」だと思ってて、下宿は女所帯でおじさんなんか一向に出てこねえしおかしいなあと思ってました。というか「ひろこ」っていかにも女性っぽい名前なのに「おじさん」てそもそもおかしいだろ気づけよ、て話です。

しっかりした性格だったり専門的な職業に就いてたり、何か女性たちがみんなちゃんと自立してる感じでとても現代的です。時代背景からすると先進的てことになるのか。そういうのが魅力の理由かなという気がします。

明るさと暗さのバランス

途中「えっ!」と思うようなエピソードが出てきて話は急転直下します。

そのあたりはいい感じにミステリタッチにもなってて、謎解き系が好きな僕としてはかなり楽しめたんですが、けっこう暗いエピソードも出てきます。

でもそれがあんまり暗くなりすぎないというか、明るい感じを保ったままなのはすげーなあと思いました。

「もはや戦後ではない」などと言ってもやっぱりまだまだ戦争を引きずってる時代です。

ネタバレにもなるので詳細は書きませんが、普通だったらもうちょっと戦争の話をしたくよなあてところでも、あんまり触れすぎないというか、あくまでも主人公目線、この時代の少年少女たちの感覚を守っています。

それが映画全体の明るくてステキな雰囲気を守ることにも繋がっています。

何かこの手の話って「犬神家」ぽいなあなんて思ったりもしました全然関係ないけど。てこれは犬神家のネタバレになっちゃうか。まあ有名な話だと思うんでいいでしょう。

戦争にまつわる「暗さ」を、若者たちの熱量という「明るさ」でうまいこと補っています。時代そのものがそうだったのかもしれませんが、おかげで映画としての明るさと暗さのバランスが絶妙で、とてもステキな雰囲気の物語になっています。

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