いつか陽のあたる場所で (乃南アサ)【読書】

      2013/08/07

誰にも言えぬ過去あり。

いつか陽のあたる場所で

乃南アサ著『いつか陽のあたる場所で』読了。2010年新潮文庫 (2007年新潮社) 刊。348ページ。

あらすじ: 小森谷芭子 (こもりやはこ) 29歳、江口綾香 (えぐちあやか) 41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃___。綾香が魚屋さんに恋してしまった!

via: Amazon内容紹介

乃南アサさんの小説を読んだのは久しぶり。キャラ設定や心理描写は相変わらず巧みだし、何か文章の感じもすっごい読みやすくて流れるように一気読みしてしまいました。

「前科者」の日常

主人公2人が「前科者」ってだけで、何気ない日常生活が全くの別世界であるかのように描かれています。ちょっと「変わってる」部分があるだけで、退屈な日常でもちゃんとした「物語」になるよってゆうののお手本みたいな作りです。こういうシンプルな構成はかなり好み。

下手に奇をてらったおはなしを書くよりも難しそうですし、何よりも本物っぽさがあります。あーこうゆう人たちどっかにホントにいそうだよなあって。

『おなじ釜の飯』『ここで会ったが』『唇さむし』『すてる神あれば』の4作で構成された短編集。しかもそれぞれのおはなしで「春夏秋冬」を描いています。

「短編集」って何でもけっこう好きなんですが、コンテンツは4つがベストかなと思います。それぞれのおはなしが「起承転結」になりますし、季節も重なってるとなお良いです。

『夜は短し歩けよ乙女』とか『砂漠』とかもそうだったなあ。雰囲気だけでもけっこう楽しめちゃったりするんですよね。

ちなみに4の次は7。これは理由よくわかんないです。

夢の持ちかた

主人公の芭子は、夢の持ちかたがわからなくなっています。前科があるかどうかに関係なく、そういう人ってけっこう多いんじゃないかなあと思います。

夢がないってゆうよりは、そもそも夢ってどうやって持つんだっけとかってのを忘れちゃってる感じです。いざ考えようとするとよくわからないってことはよくあります。

そういうときは、芭子がやってたように自分の過去を考えるのがいいと思います。

子供の頃の夢とか好きだったこととかって、何だかんだけっこう自分の根底なのかなって最近思います。

野球選手になりたいとかアイドルになりたいとかは年齢的に無理だったりもしますが、何でそうゆうのに憧れてたのかってのを考えると自分の中の「好き」だったり「夢」だったりに辿り着きやすいかなあと思うわけです。

僕は夢を持ってないわけじゃないですが、最近「子供の頃の夢」とかをけっこう思い出すようにしています。

「あーそういえば僕はこういうこと好きでよくやってたなあ」て感じで再発見がありますし、何よりそうゆう「好き」を突き詰めて考えるのはめちゃくちゃ楽しいです。

乃南アサすげ

何気に重たいテーマで、「罪を犯すとはどういうことか」みたいなこともけっこう考えさせられたりするんですが、2人 (というか主に綾香) が明るいせいか、悲壮感みたいなものはあんまり感じなかったです。

つか芭子と綾香の性格は正反対とゆうか、陰と陽のコントラストがホントに見事です。

心がザワザワするようなサスペンス要素もちゃんとあって、退屈さは全く感じないです。緩急のつけ方がホントに巧み。

それに「前科者」「女性」「下町」という3つのキーワードも完璧に活かされていて、もうなんかいろんなところで改めて「乃南アサすげ」って思いました。

まとめ

ちょっと前にNHKでドラマ化もされましたね。何シーンかチラ見した程度でしたが、キャスト (上戸彩さんと飯島直子さん) はイメージと合ってたんじゃないかな。そういうのも読みやすかった理由かもしれません。

最後のほうはけっこうグッときて、しかもすんげー爽やかに終わるラストシーンが最高。思わずニヤッとなってしまいました。続編も出てるので、そのうち読みたいです。

 -小説

ad

スポンサーリンク

  関連記事

おもしろきこともなき世をおもしろく【読書】世に棲む日日 (二) (司馬遼太郎)

すみなすものは心なりけり。

緋色の研究 (コナン・ドイル)【読書】

シャーロック・ホームズ、デビュー戦!

シャーロック・ホームズの冒険 (コナン・ドイル)【読書】

この12の事件でホームズは世界一有名な探偵となった。

清須会議 (三谷幸喜)【読書】

日本史上、初めて会議で歴史が動いた瞬間。誰が最後に笑うのか?

no image

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (スティーグ・ラーソン)【読書】

小説もとても面白かったです。

幽霊男 (横溝正史)【読書】

幽霊男と書いて、ゆれおと読む。インパクト強烈!

ゼロで割ると世界がおかしくなる

ゼロで割ってはいけない理由。

聖なる怠け者の冒険 (森見登美彦)【読書】

いまだかつて、これほどまで動かない主人公がいただろうか。

人体工場 (仙川環) 【読書】サンデル先生でも読めよ笑

治験バイトの裏に恐るべき計画が!?

四つのサイン (コナン・ドイル)【読書】

ホームズ長編の最高傑作!

ad

スポンサーリンク

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

スポンサーリンク

長いお別れ【映画感想】岸辺の旅(2015)

物理学に、ホール(正孔 / せいこう)という考え方がある。 整然と並んだ電子の列で、そのうちのひとつ

終わるまでが戦争です【映画】日本のいちばん長い日(2015)

降伏か、本土決戦か__。

迷路荘の惨劇 (横溝正史)【読書】

角川文庫・金田一耕助ファイルの8冊目『迷路荘の惨劇』を読みました。子どものころハマった金田一を、1年

ゼッタイ押すなよ!【映画】人生スイッチ (2014)

押したら、さいご。

マイベストグルメ!〜2015上半期〜

2015年の上半期に行ったお店の中から、特に美味しかった5店舗を選んでみました!

  • ランキングに参加しています。当ブログの順位は以下から確認できます。

    にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

    ブログランキングならblogram track feed コタノト!



  • follow us in feedly