恐怖と欲望 (1953)【映画041】

      2014/11/18

その日彼らは人間であることをやめた。

恐怖と欲望

『恐怖と欲望 (Fear and Desire)』鑑賞。1953年アメリカ。スタンリー・キューブリック監督。68分。

作品情報

あらすじ

空軍所属のコービー中尉(ケネス・ハープ)、マック軍曹(フランク・シルヴェラ)、シドニー二等兵(ポール・マザースキー)、フレッチャー二等兵(スティーヴ・コイト)は、戦地で敵に撃墜されてしまう。敵陣の森に墜落した彼らは、いかだで川を下って脱出するというプランを立てる。だが、翌日4人は洗濯中の女性(ヴァージニア・リース)に見つかり……。

via: シネマトゥデイ

監督

監督は巨匠スタンリー・キューブリック。本作は彼の「幻のデビュー作」だそうです。

何かあんまりフィルムが残っていないらしく、DVD化されるかどうかも怪しい感じ。この機会を逃したら一生観ることないんじゃないか、てことで「オーディトリウム渋谷」に観に行ってきました (ちょっと前のことです) 。シネコンじゃない映画館行ったの何年ぶりだろ。

キューブリック監督の映画はけっこう難解で、正直意味わかんない作品も多いですが、この映画の設定はかなりシンプル。わかりやすかったです。

予算の関係なのか粗い部分は多々ありましたが、それでもキューブリックっぽさは存分に味わうことができます。

予告編

予告編はこちら。本編より怖いんじゃないかな笑。古い映画って何か怖いですよねー。なぜかわからんですけど、この予告編観てると『ウルトラQ』思い出します。

コタノト的見どころ

頼りないリーダー

敵陣に迷い込んでしまった4人の兵士の脱出譚、とゆう設定がわかりやすいです。登場人物も少ないですし、状況や関係性もスッと入ってきます。慎重に行動する前半はけっこうドキドキします。

コソコソ行動してたかと思うと、筏作りながら日光浴みたいなことしてたりして何だか楽しそう。ちょっとのんびりしてるところも危うくて余計にハラハラします。全体的に脇が甘い4人組。

しかもリーダー的存在の中尉が立てる作戦がかなり行き当たりばったりなんですよね。イチイチ余計なことをしてくれるので、いい感じに話がこんがらがっていきます。ちょうど良い具合に頼りないです笑。

世界のどこにもない、どこでも起こっている戦争

「世界のどこにもない、どこでも起こっている戦争」が映画の舞台です。こーゆうフレーズ好きだなあ。

ジワジワとややこしくなっていく状況の中で、次第におかしくなっていく兵士たち。とても生々しいです。

それぞれのキャラクターがもうちょっと立ってたらもっと良かったかなとゆう気もしますが、こればっかりは役者さんの演技力とかも関係するので難しいですね。

戦争という極限状態における人間心理、狂っていく様子を描いてるわけですが、登場人物たちが抱えている問題はとっても現代的だと感じました。強烈なストレスの元でおかしくなってしまう、てことに関してはむしろ現代社会のほうが顕著なんじゃないかな。

兵士たちが抱く「恐怖」や「欲望」は、戦争に限った話じゃないような気がします。いやむしろ、現代社会で感じる日常的なストレスってのは、戦場で感じるものに匹敵するくらい、てことなのかな。そう考えるとゾッとします。それこそ「恐怖」だなあ。

光と陰

モノクロとは思えないほど鮮やかな映像がとってもキレイです。外の映像とかホントに戦場なのかと思うくらい明るいです。

目の覚めるような鮮やかな映像で描かれるドロドロとした人間の内面。光と影、陰と陽のコントラストがすばらしいです。キューブリックらしいなあ。

キレイな映像なのに暗い内容だと、何だか余計に怖く感じます。品が良いんだか悪いんだか、心地いいのか不愉快なのかよくわからなくなるんですよね。

その引っかかりが気になって、ついつい惹き込まれてしまいます。見たくないけどもっと見たい、てのはまさに「恐怖」と「欲望」ですね。

さいごに

後味はとってもザラザラしていて、愉快な気分になれるような映画ではないですが、たまにはこーゆう暗い感じの映画も良いかなと思います。落ち込んでるときに観るとホントに気持ちが沈んでいくので、なるべく調子のいいときに観たいですが。

残念ながら東京など主要都市での上映は終了してしまったようです。DVD化の予定はあるんだろうか。

他のキューブリック作品もまた改めて観なおしたくなりました。今ならけっこう理解できるかなあ。

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