凶悪 ーある死刑囚の告発ー (「新潮45」編集部)【読書】

      2013/10/17

この本から事件が動き始めた!

凶悪

「新潮45」編集部編『凶悪ーある死刑囚の告発ー』読了。2009年新潮文庫 (2007年新潮社) 刊。386ページ。

人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生”と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか? 記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪”を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。

via: Amazon内容紹介

まもなく (2013年9月21日) 公開される映画『凶悪』の新聞広告を見たのが本書に興味を持ったきっかけです。

その広告には出演者の情報くらいしかなかったんですが、何となく「あーこれは面白そうだなあ」と思ったのでちょっと調べてみたところ、この原作本に行き着いたとゆうわけです。とゆうか、この本のもとになった雑誌記事が発端となって事件が発覚した、てゆうんですから余計に興味深いです。

kindle版があったのでその場でサクッと購入。一気に読みました。ちなみにですが、広告見てから読み始めるまで、わずか10分くらい。いやーホント便利な世の中になったなあ。

で、僕は本書を読むまで知らなかったんですが、本作は紛れもない実話です。「事実は小説より奇なり」なんて言いますけど、本作が発端となって事件捜査が始まったわけですから、「小説より〜」どころか「小説が事実になった」くらいのインパクトがあります。まあ、厳密には小説じゃないですけど。

それが今度映画化されて、その告知を見た僕が本書を読んでこの事件のことを知って、てのは何だかものすごいことだなあと思います。

もう「実話」てのがちょー効いてて、めちゃめちゃ怖かったです。単なるフィクションだったらここまで怖くはなかっただろうなあ。

舞台は主に茨城県で、東京在住の僕にとっては比較的身近なところですし、事件が起こったのはほんの数年前。そういう「近さ」が余計に怖いです。

“先生”の所業の数々はタイトル通り「凶悪」そのもの。もういろいろと麻痺しちゃってるとゆうか、人間てこんなに残虐になれるのかと思わずにはいられません。にわかには信じ難いとゆうか信じたくないとゆうか。怖い怖い。ぶるぶる。

最初のほうは何だか繋がりがよくわかんなくて読みにくいなあと思ってたんですけど、そーゆうモヤモヤした感じがだんだんと明瞭になってくところとかもうまい構成だなあと思います。実際に取材した記者さんの思考過程をそのまま追いかけてるかのような感じなんですよね。

それにこの「わかりにくい」感じは実話っぽさを強調する効果もあります。現実ってわかりにくいんですよね。小説のように理路整然としてなくて、もっとゴチャゴチャしています。本書には事件と関係あるのかないのかよくわからないところも全部書いてあって、ホントにニュースや新聞記事を読みながら事件を追ってる感覚に浸れます。

本書を読んでて、宮部みゆきさんの『模倣犯』を思い出しました。不動産が絡んでくるあたりは『理由』もちょっと似たところがありますね。いずれにしてもルポルタージュっぽい構成の小説です。

本書ではカポーティ (ちゃんと読んだことないのでよくは知らないです) の名前が出てきますけど、監獄の死刑囚との対話、て状況はちょっと『羊たちの沈黙』も入ってますし、記者が取材して真相に近づいてく、とゆう構図は『ゾディアック』 (これも実話!) とか『ドラゴン・タトゥーの女』ぽいところもあります。

埋もれた事件を資料や証言から掘り起こしてくタイプのお話、僕は大好きなのでかなり楽しめましたし、上に挙げた作品が好きな人は確実に楽しめるんじゃないかなあと思います。

いろんな名作 (フィクションのね) のエッセンスがたくさんつまってるところはやっぱりどうしても「小説みたい」だと思ってしまいます。

それと、拘置所での暮らしや外とのやり取り、死刑が確定するとどうなるのか、なんてことがよくわかるのも、本書の読みどころかなと思います。「へえ〜そうなってんだ」てのがわかると同時に、記者さんの取材の苦労がすっごい伝わってきます。

原作を読んだからには映画も俄然気になります。いろんなところが整理されて、たぶんわかりやすくなってるだろうし、ドラマ性エンタメ性が増してるんじゃないかなあと思っています。楽しみだあ。

おわり。

映画の予告編はこちら (1分半ほどの動画です) 。

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