ヒア アフター (2010)【映画065】

      2014/12/02

死に触れて、前を向く。

ヒアアフター

『ヒア アフター (Hereafter)』鑑賞。2010年アメリカ。クリント・イーストウッド監督。129分。

霊能力者としての才能にふたをして生きているアメリカ人のジョージ(マット・デイモン)、津波での臨死体験で不思議な光景を見たフランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)、亡くなった双子の兄と再会したいイギリスの少年マーカス。ある日のロンドンで、死に取りつかれた3人の人生が交錯する。

via: シネマトゥデイ

大好きなマット・デイモン主演のクリント・イーストウッド監督作品、てこと以外は全く知らずに鑑賞。原題の”Hereafter”とは「来世」とゆう意味。邦題では何でスペース開けてんだろ。

死者と繋がる霊能力者が出てくる物語なんだけど、この手のお話にありがちな胡散臭さを全く感じないことにまず驚く。

霊能力者に焦点をあてすぎていないし、本人がその能力に戸惑い苦しむ部分が丁寧に描かれてるからそう感じるのかもしれない。

冒頭の津波シーンがとっても生々しい (3.11のとき劇場公開中で、上映打切りになってたそうな。鑑賞後に調べて知った) 。

何だかやっぱりあの日以来、こーゆうシーンは「それ以前」と同じ気持ちでは観られないなあと改めて思った。僕自身が被災したわけじゃないけれど、あの頃のニュース映像なんかを思い出しちゃうくらいにはそれっぽく作られてて、ある意味リアルだなあなんて思ったり。

でもこの津波シーンは本編とはあんまり関係ない。そんなに重要じゃない (別に津波じゃなくてもいい、という意味で) し、このシーンばかりに注目しちゃうのはちょっともったいない。それくらいホントにとってもよくできた映画だと思う。

「死」とゆうテーマを軸にして、場所も立場も全く異なる3人のお話が入れ替わりながら進んでいく構成。こーゆう群像劇っぽい雰囲気はとても好き。

とゆうか3つのエピソードは最後の最後までずーっと交わらなくて、もうあまりに交錯しないもんだから、そのまま別々の話として終わるんじゃないかとさえ思うほどだった。

僕としてはそれでもけっこう良い感じになったんじゃないかなあと思わないでもない。最近はあんまりうまく畳まないとゆうか、やや広げっぱなし気味のお話が好みになってきてるからなあ。

繋がるんだか何なんだかわからなかったり、伏線を無理に回収しようとしない絶妙なモヤモヤをずっと残したまま最後までいく本作の空気感はけっこう好きだったりする。

イーストウッドはあんまり余計な演出をしない監督さんだけど、この映画もそう。だから丁寧に観ないと、あまり心に残らないかもしれない。

素晴らしいなあと思ったのは影の使いかた。特にクライマックスのマーカス少年との”対話”のシーンで、顔の半分だけ影になってるのがめちゃめちゃ画になってた。影の部分があっちの世界、みたいなのを暗示してたのかなあ。

マット・デイモンはいつもと違って走り回ったり人を殴ったりしないけど、別の意味でスーパーマン。あ、でも普通の暮らしをしたいと思ってるところなんかはボーンシリーズと共通するか。

お料理教室で知り合うメラニー (ブライス・ダラス・ハワード。ロン・ハワードの娘!) とのエピソードが一番良かったなあ。つかあの料理教室ちょー楽しそうで参加したい。

ジョージの能力を説明するためのエピソードで、キッチンで語るシーンははやや説明的かなとも思うけど、マット・デイモンがやるとそれほど気にならない。なんとゆうか、独白が似合うんだよなあ。声や喋りかたが好きだからそう聞こえるのかもしれない。帰り際にメラニーが階段で泣き崩れるところがめっちゃ良かった。

クライマックスのマーカス少年との”対話”では、嘘をついたのかなって感じが一瞬だけした。勇気を与える優しい嘘。でもそう感じたのはホントに一瞬だけで、すぐ後にはやっぱりホントのことを言ってるような気もした。ちょっとだけ自分の想いを乗っけた、くらいの感じかなあ。観る人によってどっちともとれるようになってるのはとても巧いなあと思う。いずれにしても素晴らしく感動的なシーン、圧倒された。

ラストシーンはちょっと正直よくわからなかったなあ。ステキな終わりかただとは思うけど、何だかちょっとせわしないとゆうか。それまでの雰囲気とあまりにも違ってて、気持ち悪いくらい。めちゃめちゃ違和感があった。

でも、ここから始まるんだ、みたいなところで終わる感じは嫌いじゃない。ある意味さわやかな幕引きで、じわじわくる感じ。

何だか全体的にモヤモヤする感じとか、伊坂幸太郎さんの小説 (大好き!) を思い出した。『SOSの猿』とか似たところがある。こっちは悪魔祓いで霊能力者とはちょっと違うけど、超科学的なのに全く嘘くさくないところなんかは共通してる。

とゆうわけで、冒頭の津波シーンを除けば全体的にとっても落ち着いた雰囲気で、静かな感動はなかなかに心地いい。やっぱイーストウッドってすげ、と思える良い映画。

おわり。こーた ( @cota1Q82 ) でした。

iTunesはこちら → ヒア アフター(字幕版)

予告編はこちら (2分半ほどの動画だよ) 。

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