聖女の救済 (東野圭吾)【読書】

      2014/07/17

おそらく君たちは負ける。僕も勝てない。これは完全犯罪だ。

聖女の救済 東野圭吾

東野圭吾著『聖女の救済』読了。2008年文藝春秋 (2012年文春文庫) 刊。378ページ。

男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。草薙刑事は美貌の妻に惹かれ、毒物混入方法は不明のまま。湯川が推理した真相は__虚数解。理論的には考えられても、現実的にはありえない。

via: オビ / 裏表紙

ガリレオシリーズ2作目の長編 (短編も合わせると4, 5冊目。『ガリレオの苦悩』と同時発売)。ちょっと前にやっていたドラマ (2013年4〜6月期。2ndシーズン) の最終回 (2週連続) を観ていたら何だか読みたくなってきて再読。

単行本を発売日に購入して一気読みして以来で、今回もすらすらと一気に読んでしまった。東野さんはホントに読みやすい。

ドラマを観たばかりだったので、メインのトリックは頭に入っていたのだが、細かいところは例によってすっかり忘れていた。それにドラマはけっこう細かいとこをはしょったり変えたりしてて、雰囲気は全く別物といっていいくらい。再読でもかなり新鮮な気分で読むことができた。

女性の暗さ

今作の敵はずばり「女」。ドラマでは天海祐希さんが演じていた。ちょっとイメージ違うかな。

敵だけでなく、「女性」はこの物語全体のテーマで、ドラマ発のキャラクター内海薫刑事 (柴咲コウさんね) が初登場するのも今作 (と同時発売の『ガリレオの苦悩』) から。

捜査陣に女性が加わる、という転換をうまく利用している、とゆうか、そこから着想して出来上がったお話なんじゃないかと思えるほど、女性的な視点がいたるところに現れる。

僕は30代のおっさんのくせに、「女性性」みたいなものがテーマの物語はなぜだか大好きで、本作に登場する女性的な「暗さ」が妙に興味深かった。そうそう、女性って本質的にはこーゆう暗さを持ってるんだよね、とゆう描写が非常にわかりやすい形でいたるところに現れる。

「怖さ」というよりは「暗さ」。動機やトリックにも関わるからあれだけど、捉えかたによってはこの「暗さ」が「女性性」そのものなんじゃないかなあという気がする。

「女々しい」という言葉があるように、女性っぽさというのは何だかいけないことのように思われがちだが、そんなことは全然ないよなあと僕は思う。

同様に「暗い」のも悪いことではないと思うし、僕自身けっこう女性的な暗さに近いものを持ってるんじゃないかなあと自分では思っていて、本書に登場する女性たちにはけっこう共感できる部分も多い。「女」がテーマの物語が好きなのもこの辺りと関係があるのかもしれない。

なかなか出てこない湯川

ガリレオ先生はなかなか登場しない。ホントにガリレオシリーズなのかと疑ってしまうほどの前半。前作 (『容疑者Xの献身』) があるからなかなかすんなりとはいかない、とゆうか何事もなかったかのようにまた出てきたら読者が納得しないだろうし、そのあたりはうまく繋げてるなあと感じた。

その「繋ぎ」のポイントとなるのが草薙刑事なんだけど、この物語の主人公はむしろ彼なんじゃないかとゆう気がする。

初期の頃の草薙はちょっとふざけたところもあって、単なる湯川の助手、てポジションだったけど、優秀な後輩が加わったりしてだんだん湯川と対等な関係になってきたようなところがある。そうそう、小説の内海薫はかなり優秀なんだよね、ドラマだとちょっと頼りないんだけど。

湯川は厭味たっぷりなところはあいかわらずだけど、変人ぶりはだんだんとマイルドになってきているような気がする。ちょっと残念だけど、キャラクターに深みが出てきたようにも感じるし、このあたりの変化に注目して読んでみても面白いかもしれない。

さいごに

先にも書いたが、トリック以外はドラマ版とは大違いで、ほとんど別物と言っていいほど異なっている。ドラマは観たけど原作は読んでない、て人でも十分楽しめるんじゃないかと思うのでぜひ。

おわり。こーた ( @cota1Q82 ) でした。

僕はハードカバーで読んだが、今なら文庫版がお得。

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