犬神家の一族 (1976)【映画069】

      2014/10/31

金田一さん、事件です!


犬神家の一族

『犬神家の一族』鑑賞。1976年東宝他。市川崑監督。146分。

旧家の名士犬神佐兵衛 (三國連太郎) の遺言状が公開されるが、莫大な遺産の相続者は佐兵衛の恩師の孫娘である野々宮珠世 (島田楊子) と結婚した者と記されていた。佐兵衛の孫にあたる3人の男はそれぞれ珠世を我が物にしようと企むのだが、やがてそれは呪われた殺人事件へと変貌していく。事件解決の依頼を受けた名探偵・金田一耕助 (石坂浩二) は犬神家に関わるすべての人々の調査を開始するのだが、殺人事件はまだ終わらなかった……。

via: allcinema

子供のころハマって読み漁った金田一耕助シリーズ。映画は古すぎてあんまり観たことなかったんだけど、本作はリメイク版の公開前後に、比較したくて観た憶えがある。それ以来の再鑑賞。

原作も何度か読んでるし、印象的なシーンはばっちり記憶に残ってたんだけど、トリックとか誰が犯人なのかとかは観始めるまですっかり忘れていた (始まったらすぐに思い出したけど) 。

とゆうかこの映画に出てくる、主に佐清にまつわる名シーンは、事件の真相なんてどーでもよくなっちゃうくらい強烈なインパクトで、そーゆうシーンがたくさんあるってだけでもやっぱり名作なんだなあと思う。

映像が斬新まくる

ちょっと実験的な感じがしちゃうくらい、映像表現が斬新まくる。回想シーンはイチイチ凝ってるし、サブリミナル効果を狙ったようなカット割りもゾクゾクする。

印象に残っているのは珠世と佐武がバルコニーで話すシーンと、犬神三姉妹が青沼菊乃に因縁をつけにいくシーン。

まああとミステリにおける回想シーンてのは、つまり犯人による犯行告白の回想なわけで、どの殺しも夢に出てきそうなほど恐ろしい、という意味ではとっても印象に残っている。

何か前観たときは映画として何がすげーのかよくわからなかったんだけど、光の使いかたとかすっごいセンスよくて、市川崑てやっぱすげー人だったんだなあてのが改めてよく分かった。

光とゆうよりはその反対の闇。闇をこんなにきれいに撮る監督ってなかなかいないと思う。金田一が古館弁護士と事件の話をしてるシーンで、日が暮れてだんだん部屋が暗くなってくシーンとか、話が入ってこないくらいキレイでびっくりする。

あと微妙に良いなあと思ったのは、同時にしゃべる演出。意図的なのか分からないけど、大勢集まってわめき散らすシーンでは、みんなが一斉にしゃべるから本気で何言ってるか分からない。

映画なんだから観客が聞き取れなかったら意味ないわけで、普通はどんなに言い争ってるシーンでも役者さんが同時にしゃべるなんてことはありえないんだけど、現実世界ではがなり合うなんてことはしょっちゅうあるわけで、そーゆう臨場感みたいなものを出すのに敢えて一斉にしゃべらせるってのが斬新だなあと思った。

犬神家の三女竹子役の草笛光子さんの迫力が特に素晴らしかった。

スケキヨ

この映画はとにもかくにもスケキヨ (佐清) である。もう日本映画史上に燦然と輝く強烈な悪役である。まあ悪役じゃないんだけどある意味悪役とゆうか、とにかくあの異形は一度観たら絶対に忘れない。

マスクを取るシーンは何度観ても恐ろしい。なかなかしゃべらなくて (理由がある) 、ついにしゃべったと思ったら声すら怖い。

そしてあの有名な湖のシーン。この物語のことは知らなくても、犬神家イコール湖に突き出た脚、て連想できるひとはたくさんいるんじゃないだろうか。社会科の教科書に載っててもおかしくない。

素顔のヤケドとか、おどろおどろしさはこの時代 (映画製作年のことね) ならではだろうなあ。子供が観たらトラウマになるんじゃないだろうか。

昔の映画って、ストーリー的なところはよくわからなくても、何かもうめっちゃ怖いんだよね。それくらい映像的にすごいってことなんだよなあ。何だかわからなくても頭に残る怖さ。ぶるぶる。

わかりやすさとキャラクタ

犬神家の家系図はかなーり複雑なんだけど、ほとんど気にならないほどすっと頭に入ってくるくらいわかりやすい、てのも何気にすげーなあと思ったところ。

僕は小説にも映画にも何度も触れてて知ってるから、てのはもちろんそうなんだけど、初見でもたぶん気にならないんじゃないかな。必要な情報はかなり丁寧に描かれてると感じた。

登場人物たちのキャラが立ってるのも良い映画の条件を満たしてて素晴らしい。

金田一やスケキヨはもちろんのこと、他のキャラクタもなかなか味があって楽しい。

気に入ったのは金田一が泊まる旅館の女中役、坂口良子さん。めちゃくちゃキュート。それと別の旅館の主人役の三木のり平さんも細かい芝居で楽しませてくれる。

加藤武さんの橘署長はおなじみの「よし!わかった!」がくそテキトーだし、大山神官の大滝秀治さんや、琴の師匠の岸田今日子さんなどなど、ちょっとしか出てこないのに存在感抜群で、やっぱ名優はすげーなあとイチイチ唸ってしまった。

あとヒロイン珠世役の島田楊子さんはもうただただ美しい。このとき23歳くらいかあ。映画の中のひとたちがどんどん年下になっていくなあ……。

さいごに

事件解決なって大団円、ラストシーンの余韻には思わず鳥肌が立った。かなーりステキな終わりかた。

原作が素晴らしくて、しかもそっちを先に読んでると、どーしても本のほうに肩入れしてしまうし、映画は半ばアラ探しみたいになってしまいがち。良い小説を良い映画に作り替える作業にはそーゆう難しさが常につきまとってるじゃないかと思う。

本作は映画として十分すぎるほど素晴らしいし、単なるミステリ以上のしっかりとした人間ドラマとして成立している、という点では原作を凌いでいるといっても良いくらい。それくらい映画としてスゴイと思う。

謎解きはもちろんだが、さまざまな人間関係に注目して観てもかなり楽しめるんじゃないかな。小説や最近のリメイク版との比較などなど、いろんな楽しみかたができるという点でもやはり名作中の名作。観たことないひとは一度ぜひぜひ。

おわり。血が嫌いなミステリ好き・こーた ( @cota1Q82 ) でした。

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