ふたりの微積分 (スティーブン・ストロガッツ)【読書】

      2014/02/14

数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと。

ふたりの微積分 スティーブンストロガッツ

スティーブン・ストロガッツ (Steven Strogatz) 著『ふたりの微積分 (The Calculus of Friendship)』読了。2012年岩波書店 (原著: 2009, Princeton University Press) 刊。南條郁子訳。176ページ。

「数学はそんなに多くは教わらなかった。でも今、彼がぼくに何をくれたのかようやくわかってきたように思う」

高校の数学の授業で出会った生徒と教師が30年ものあいだ文通をつづけてきた。人生は浮き沈みを経ながら進んでいくのに、手紙に書くのは微積分の話ばかり。ふたりにとって変わったものと変わらなかったものは。

via: Amazon内容紹介

アメリカ版数学ガール?

すごいぞ、この本。ジャンルはなんといえばいいのだろう。書店では理工書コーナーに置かれてるんだろうけど、いろんな要素がつまりすぎてて、これまでにあるどんな本とも似ていない。

一般向けの数学書だけど、それにしてはけっこう難しい数式がバンバン出てくる。書簡体の小説めいているけれど、著者と彼の恩師「ジョフ先生」、ふたりの間で実際にやりとりされた手紙に基づいているらしいので、小説とゆうよりはむしろ実話、ノンフィクションであり半自伝であり……。

数学であり物語、とゆう構造は『数学ガール』シリーズと似ていなくもないが、あちらほど丁寧ではない。

数式は何とかがむばって追えるところもあれば、まったく歯が立たないところもある。ある程度の数学的知識がないと、奥深いところまでは読みこなせないのかもしれない。

けど数式がわかるかどうかはあまり重要ではない。後半の数学はとても難しくて、僕自身ほとんど読み飛ばしたのだが、それでも十分楽しむことができた。

数学と人生のシンクロ

タイトルに「微積分」とあるように、数学が紛れもない中心ではある。そう思って読み進めていくと、いつの間にか本題が「数学を楽しむふたりの物語」へとすり替わっている。この感覚が途轍もない!

しかも章ごとに扱っている数学と物語が、つまりはふたりの人生が、見事なまでにシンクロしてめちゃめちゃ心地いい。

数学をやってたかと思うと物語に惹き込まれたり、かと思ったらまた数学に引き戻されたり……。「場面ごと」にゆらゆらと「変化」する中心、これこそまさに微積分の本質で、もう何とゆうかとにかくすごいとしか言いようがない。

連続で、論理的で、答えのある数学世界と、突然で、矛盾に満ちていて、無意味にすら思える現実世界。

ふたりはときに過酷な人生から逃れるように数学に没頭してるみたいなところがあるけれど、そうやって数学を楽しみながら、二つの世界を行ったり来たりすることで、人生にも意味が生まれてくるように思えるから不思議だ。

数学やりたくなる

僕が大学の研究室に入ったばかりの頃 (僕は化学系の研究をしていた) 。当時はもう右も左もわからないことだらけで、先生や先輩たちが (さらには自分自身も!) 何をやってるんだかさっぱりわからなかったのだが、それでも何だか彼らはとても楽しそうに見えて、それだけで何だかやる気みたいなものがめらめらと湧き上がってきたものだった。

本書に登場するふたりの数学に関するやりとりはホントに楽しそうで、中身がわからなくても何だかこっちまで数学やりたい!とゆう愉快な気分になってしまう。

数学に限らず学びに関しては、学んでる本人たちが楽しんでるかどうか、てのは自分に対しても周りに対してもとっても重要なことなんだと思う。

学びに限らないか。人生も楽しんだもん勝ちみたいなところがあるからなあ。

さいごに

数学の勉強を続けて何年か後にまた読み返してみたら、新たな発見があったりしてより深く楽しめるんじゃないかなあとゆう気がする。

前半、「僧侶と山」の章あたりまでは数学にもけっこうついていけたし、数学的概念が (後半よりは) よくわかってるからか、細かい表現にも敏感に反応できて楽しかった。

後半は物語が佳境に入って、小説的にはかなり面白かったけど、数学が分かればもっと楽しめるんだろうなあとゆう感覚が残った。

学ぶことをやめなければという前提で、いつかまた再読したい一冊。

微積分は物理学との関わりも深いし、概念だけでもしっかり身につけておくと何かと役に立つしなあ。本書がいうように、人生との関わりも深いみたいだし笑。

本書を読んだおかげで、いい感じにモチベーションも上がってきたことだし、ちょっと数学をまた学び直してみようかなあ。

これ読んだからってわけじゃないけど、やっぱり微積分あたりが簡単すぎず難しすぎずな距離感なので、まずはそのあたりからちまちまと数式を書いて遊んでみよう。

おわり。こーた ( @cota1Q82 ) でした。

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