カレーの海で泳ぎたい (続木義也)【読書】

      2014/02/20

一日1カレーでインドが見えてくる。

カレーの海で泳ぎたい 続木義也

最近カレーにハマっています。もともと大好物ではあったものの、いろんなお店やジャンル (?国とか食べかたとか) のカレーを食べ比べてみたいなあなんて欲求がじわじわと高まってきていました。

で、カレーに興味を持って周囲を眺めてみると、近所 (東京・中野) にはカレー屋さんがけっこうたくさんあることに気づきました。

そのうちの何軒かを回りはじめていたタイミングで、偶然本屋さんで出会ったのが本書です。

ぼくもカレーの海で泳ぎたい、とまではまだ思ってませんが、何とも惹かれるタイトルだったので、衝動買い的な感じで購入しました。

広大すぎるカレーの海

カレーが普通に好きな人は、「へぇー」と思うかもしれない。

かなりインド料理が好きな人は「ぷっ」と笑えるのではないだろうか。

毎日インド料理店に入り浸っている人が読めば「そうだよな」と共感してもらえるかもしれない。そして、インド人料理人には……ちょっと恨まれるかも。

via: P6

いざ読みはじめてみると、まだ「カレーが普通に好きな人」レベルのぼくからすれば、まさに「へぇー」と思うことばかり。基本的な知識からちょっとマニアックなおはなしまで、とってもタメになります。好きなこと・ものに関して学ぶのは、対象が何であれ楽しいものです。

いろいろな店を回っているうちに、私が知っていたインド料理は、氷山の一角に過ぎないことを思い知らされ、その幅の広さと奥の深さに圧倒されつつ、むさぼるようにいろいろな店へ行っては、未知のカレーを追い求めるようになった。

via: P90

ただ、カレーの海はあまりにも広大で、読み進めるうちに、ハマっていくのは怖いなあとも思いました。じわじわと広がっていく恐怖心。

泳ぎ切るなんてもってのほか、ひとたびカレーの海にハマってしまったら、岸に戻るのも容易ではないような気がします笑。でもそんな妖しさこそ最大の魅力ゆうか、危険な香りに誘われてどんどん深みにハマってちゃうのかもしれません。

すべての食はカレーに通ず

本書にはインド料理に限らず、食べ歩き全般に応用できそうな「コツ」みたいなものがたくさん書かれています。とゆうか、食に限らずあらゆるエピソードが最終的には全部インド料理のはなしへと繋がっていく、てところが本書のおかしみと言えるでしょう。

研究者は常に自分の研究テーマのことが頭の片隅にあって、あらゆることからひらめきを得るものですが、著者の語り口にも同様の傾向を見てとることができます。そーゆう意味で著者はまさにインド料理の研究者、本書はその研究成果といった趣きがあります。

もし、アメリカ人が「日本料理は寿司と天ぷらとスキヤキだ」なんて言っているのを聞いて、「この人たちは日本料理をわかっていない」と感じたら、「ふわふわのナンをカレーにつけて食べるの、美味しいよね」と言っている日本人を見て、「日本人はインド料理をわかっていない」とインド人も感じていることを思い出してほしいものである。

via: P51

「日本料理が海外でどのように扱われているか」とゆうはなしから、日本国内におけるインド料理の扱いについての考察が展開されるあたりはまさに研究そのもの、面白いです。

日本人もインドとネパール、バングラデシュなどは違う国であるということを知識として持っているが、しっかりと違いを理解して、食を含めた文化を区別できている人がどの程度いるだろうか。

知識を持っていることと、しっかりと認識していることは、似て非なるものである。

via: P37

ぼくが常々思っている、「知ってる」と「わかる」の違いですね。何ごとにおいても重要です。

ぼくなんか本書を読むまで、国の位置関係すらあやふやだったなあ。まずは基本的なことでもしっかりと確認していく、大切です。

何でも受け入れてしまう寛容性と、自分の主張は決して曲げない頑固さが、他国の人には理解しがたい、独自のバランスで同居している不思議なインド人

via: P72

インド料理を理解するため、ただ食べるだけでは飽き足らず、インド人の国民性から文化、宗教なども含めてあらゆる角度から考察を進めていく本書。

インド料理店に通いはじめたころは、「なんてこった!?」と思っていたが、日々インド人と接しているうちに、テキトーさと真面目さの混在を「インド人らしい」と思えるようになってしまった。なれというものは恐ろしいものである。

via: P62

この著者さんは、インド料理とインド人を心から愛してるんだなあ、てのがひしひしと伝わってきて心地いいです。

アーユルヴェーダ

最後のほうにちょろっと出てくる、インド料理の根本にある「アーユルヴェーダ」とゆう考えかたは、なるほど大事だなあと思いました。

美味しいだけじゃなく、健康にも配慮した食事、代替医療に近い感覚の食事。こーゆう考えかたって、和食にも似たようなものがあるような気がします。

何だか最近ぼくは料理にもモリモリ興味が出てきてるんですが、ただ美味しいものを作るだけじゃなくて、この「アーユルヴェーダ」みたいな思想も忘れずにしないとなあ、なんて思いました。

さいごに

ぼくがカレーにハマりはじめたのはごくごく最近なので、読んでてもピンとこない部分もたくさんありましたが、いろいろと食べ歩いてみてからまた読み返したら、いろいろと発見があるような気がします。

用語などを含めたいろんな豆知識もいっぱい詰まってますし、手元に置いといてカレー食べるたびにときどき読み返したい一冊です。

おわり。

▼▼▼▼▼

続木義也著『カレーの海で泳ぎたい』。2013年マリア書房刊。223ページ。

著者である続木義也氏は、京都・下鴨にある自家焙煎珈琲店「カフェ・ヴェルディ」店主としての顔を持つ一方で、インドカレーの食べ歩きをライフワークとし、インド人料理人とも交流を深めてきました。氏がHP上で綴る「店主の気まぐれ日記」は、グルメ雑誌のライターや編集者も一目置くコラムとして注目を集めています。本書は、そんな続木氏がこれまでに食べてきたインド料理のおもしろさ、楽しみ方を、インド文化や宗教、国民性、そしてアーユルヴェーダの考え方など、様々な角度から解き明かしたエッセイです。これを読めばインド料理が食べたくなるのは必至!

via: Amazon内容紹介

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