北の零年 (2005)【映画087】

      2014/10/31

刀を捨てたサムライ。夢を信じることが、最後の武器だった。

北の零年

みんな吉永小百合さんのことが好きなのね、キャラクタも、作り手側も……。そんな風に思わざるを得ない映画です。

吉永小百合モテまくり

吉永さん演じる志乃がとにかくモテまくります。夫役の渡辺謙さんにはじまって、香川照之さん、豊川悦司さん、みんな吉永さんが大好きな役どころです。挙げ句の果てには謎のガイジンさんにまで好かれます笑。

寒い北の地で、苦労に苦労を重ねて、みたいなおはなしなのかと思ってたんですが、どうもそんな感じじゃありません。いや、おはなしとしてはそーゆうのを狙ってるんでしょうけど、何だかあんまり苦労してるようには思えないんですよね。大変だけど生き生きと暮らしてるとゆうか。何だかんだみんなちょー助けてくれますし。

吉永小百合さんて、存在そのものがファンタジーだなあと思います。男の身勝手な妄想の中の女性とゆうか、かなり都合のいい女です。

そーゆう女性をカンペキに演じきる吉永さんはもちろん素晴らしいんですが、何か少なくともこの映画に関しては、そーゆう男の身勝手さが個々のキャラクタから描きかたにまで滲み出てて、とっても気持ち悪いなあと思ってしまいました。

時代劇の難しさ

時代劇は時代考証とか制約が多くて難しいなあと思います。でもそーゆう制約を履違えてしまうんですかね、キャラクタやストーリーまで不当な制約を受けてるように感じました。

日本の時代劇の登場人物って何でこう「生きてない」のかなあ。感情の多様性に欠けるとゆうか、「このひとはこーゆう感じ!」みたいな演出になりがちで、シンプルすぎて面白みがまるでないんですよね。

ついでにゆうと役者さんによってもだいたいいっつも似たような役柄で、それはある種の「芸」でもあるんですが、あまりに予定調和的で退屈です。そう、退屈なんだよなあ。

例えば香川照之さんはいつも通りのイヤな役で、それはそれは素晴らしいんですが、何か背景を感じないんですよね。普段の悪役はもうちょっとどんな人物なのかが役を通して見えるんですけど、そーゆうのが全然ない感じ。あれじゃただの変態じゃないですか笑。

何かぼくでも演出できるんじゃないかとさえ思ってしまいました。いつもどおりの悪い感じでお願いします、みたいに言っときゃいいとゆうか、悪い意味で相変わらずです。

映画は何気ない会話とか心の機微とかが面白いのに、何だかそーゆう細かな変化や過程を全部すっとばして、結果だけ見せられてるとゆう印象でした。のっぺりしちゃうんですよね。退屈きわまりない。

それに描写がないと、間に入ってくる美しい風景も全然活きないんですよね。退屈を助長するだけになってしまいます。

イナゴの大群!馬の群れ!

文句を散々書いたので、見どころな部分を少々。

まず前半は、志乃の娘多恵を演じた大後寿々花さんがとてもカワイらしい、てことくらいです笑。少ない!

後半だと、馬がたくさん出てくるってのが馬好きなぼくとしてはなかなかよかったです。裸馬の群れが駆けるシーンはなかなかの迫力です。

迫力で言えばイナゴの大群のシーンも凄かったなあ。農家の敵、怖いですねー。

クライマックスのシーンでは、トヨエツさんがムダにカッコイイです。刀抜くカットだけ何だか別のアクション映画みたくなってて浮きまくっています。それくらいカッコイイです。

手紙くらい出せただろ笑

最後のほうの破綻ぶりはヤケクソすぎて、ツッコミどころ満載です。

小松原 (渡辺謙) が帰ってくるあたりからが特にヒドいです。つかさ、いくら何でも手紙くらい出せただろ。てかてか、介抱してくれたひととかさ、普通は心配して連絡してくれたりするだろ。不幸のための不幸とゆうか、主人公以外の人間が全然描けてない。

何かそーゆうの全部時代のせいみたくしてるのが腹立たしいですね、昔のひとをバカにしてるみたいです。

かつての武士たちがいきなり一致団結するのも意味わからなさすぎて、一瞬何が起きたのかわかりませんでした。大迫力の放馬からカッコいいトヨエツまでの流れは、出来の悪いミュージカルみたい笑。

加代 (石田ゆり子) まで参加してるのが全然意味わかんないです。唯一そこそこ描けてた人物なのになあ、あそこで出てきちゃったら全部台無しじゃんよ。

腑抜けのようになってた馬宮 (柳葉敏郎) が急に精悍な顔つきになってんのとかも違和感あるし。

銃で撃たれたのに立ち上がって、みんなで鍬を入れはじめるとかスゴイですね。何がしたいんだ。そして戻ってくる馬笑。果てしない破綻ぶりです。しかも何も解決してないじゃん!

▼▼▼

キャストはめちゃめちゃ豪華ですし、セットやロケーションも素晴らしいのに、何だかちょっと残念な感じだったのでいろいろとツッコミまくってしまいました。

おわり。

▼▼▼▼▼

『北の零年』。2005年東映他。行定勲監督。168分。

明治4年。四国・淡路に暮らす稲田家の人々は明治政府から、北海道・静内への移住を命じられる。海を渡り、北海道へ辿り着いた総勢546名の移民団は、自分たちの新しい国を建設するとの希望を胸に凍てつく原野に立ち向かう。移民団の中心的存在である小松原英明 (渡辺謙) の妻、志乃 (吉永小百合) も、慣れない新生活に苦労を重ねながらも弱音を吐くことなく前向きな気持ちを持ち続けていた。やがて英明は酷寒の地でも育つ稲を求めて、一人札幌へと旅立つ。しかし、志乃と娘の多恵 (大後寿々花 / 石原さとみ) が待てど暮らせど英明は帰ってこない。ついに志乃と多恵は、英明を探すため札幌へと向かう。

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