悪魔の手毬唄 (横溝正史)【読書】

      2014/07/17

一羽のすずめのゆうことにゃ。

悪魔の手毬唄 横溝正史

映画版を観たら小説も読み返したくなったので、本棚の奥から引っ張りだしてきました。

ちなみに映画の感想は以下の通りです。

悪魔の手毬唄 (1977)【映画093】 (コタノト!)

映画を観たばかりですし、あらすじは頭に入っていたのですが、小説と映画ではやっぱり微妙な違いがあって、楽しく読むことがました。

ミステリとしてはちょっと物足りないと感じる部分もありますが、物語としてよくできています。

面白いなあと思ったのは、戦前から戦後すぐにかけての、昭和初期の田舎における生活や風習がすごい生々しく描かれてることです。「田舎」に対するイメージが今とはだいぶ違います。

とくに本作は、手毬唄とゆういかにも民俗学的な小道具が事件の鍵を握っていますし、田舎暮らしからみた昭和史、みたいな観点からも楽しめるんじゃないかと思います。

岡山と兵庫の県境、陸の孤島みたいな村が舞台とゆうのもいかにも金田一らしいです。やっぱ金田一は中国地方だよなあ。

いやだなあ、警部さん、ぼくの顔を見たからって事件、事件って、事件の亡者じゃあるまいし。

via: P15

舞台が舞台とはいえ、金田一が最初っから何か依頼されてきたわけではない、とゆうあたりも面白いなあと思います。

いや、ぼくはここへ退屈しにきんたんだよ。退屈してると寿命がのびるというからな。

via: P40

今回はあくまで休暇。それなのに事件に巻き込まれてしまうのが、金田一の金田一たる所以なんですが笑。

まあ、磯川警部は、この村で起きた過去の事件を金田一に解いてもらおうと思って、この土地を紹介したようなところがあるので、一概に完全な偶然とはいえないところもあるんですが。

この手の事件を専門に扱ってると、事件のほうから勝手に寄ってくる。いわゆる引き寄せの法則ですね。

ところがあの先生ときたら、ひと筋縄でいくひとじゃごわせんからな。ぎりぎり決着のとこまでこんと、ぜったいに口をわらんひとですんじゃ。あのひとにゃなにかまた、考えがおありんさるようですけんど、わたしにゃさっぱり……

via: P378

関係者があらかた殺されつくしてから事件が解決されるのは相変わらずです。旧知の仲である磯川警部にもバレています笑。

それでも金田一の捜査手法や思考過程なんかは、なかなかハックに富んでいます。いくつか拾ってみましょう。

それじゃ、金田一先生、この箇条書きの一項ずつを、ここでみんなで検討してみようじゃありませんか。

via: P124

疑問を箇条書きにして、みんなで思いついたことをワイワイ言い合う。これはまさにブレインストーミングですね。何とも現代的なプロセスです。

警部さん、とにかく寝ましょう。これでは体がつづかない

via: P307

名探偵は超人的な頭脳と体力の持ち主、いつ寝てんだと思うような行動力だったりしますが、金田一はちゃんと寝ます。何とも親しみが持てるじゃないですか。

徹夜つづきじゃまともな思考なんてできません。しっかり寝て、頭をすっきりさせてから考える。基本です。

とはいえ、かなりアクティブな行動力をみせる金田一。フットワークも軽いです。一体いくつなんだろ。

昭和七年といえば、ぼくは二十〈はたち〉で、そのまえの年にいなかの中学を卒業して、上京してきてさる私立大学に籍だけおいて、神田の下宿にごろごろしてたじぶんなんです。

via: P213

昭和7 (1932) 年に20歳ってことは、明治45年、もしくは大正元年 (1912年。誕生日による) 生まれってことになりますね。

この事件は昭和30 (1955) 年という設定なので、このとき43歳、てことになります。思ったよりもおっさんだなあ。

いずれにしても今のぼくよりは年上で、ちょっとホッとしました。最近はフィクションの世界の住人がどんどん年下になってしまっていますからね。悲しいです。

ところで籍だけおいてた私立大学ってどこだろ、神田に住んでたんなら早稲田はちょっと遠いよなあ。気になります。

▼▼▼▼

一冊読み返してみたら、やっぱり面白いですし、他にも手元にあるシリーズをいろいろと読み返したくなってきました。10冊以上はあったんじゃないかな。

あんまりガツガツ読むと、陰鬱な気分になってすぐ飽きちゃいそうな気がするので、月イチくらいのペースで、ちまちまと読んでいこうと思っています。

おわり。

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▼▼▼▼

横溝正史著『悪魔の手毬唄』。1971年角川文庫 (1957年初出) 。480ページ。

岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首〈おにこべ〉村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手毬唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか? 事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!

via: Amazon内容紹介

今だとKindle版もあるんですね。最近の書籍版のカバー (期間限定?) はカッコいいなあ。

 -小説

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