フルメタル・ジャケット (1987)【映画】

      2014/11/18

Born to Kill.

フルメタルジャケット

『フルメタル・ジャケット (Full Metal Jacket) 』鑑賞。1987年アメリカ。スタンリー・キューブリック監督。116分。

S・キューブリックが『シャイニング』以来、久々にメガホンを取った作品で、G・ハスフォードの原作を基にベトナム戦争の狂気を描く。徴兵された若者が、次第に戦闘マシーンとして人間性を失っていく様を冷徹な視点で描く。特に、鬼軍曹にシゴキ抜かれた気の弱い青年が精神を崩壊させ、軍曹を射殺するシーンは圧巻。

via: allcinema

『フルメタル・ジャケット』は、キューブリック映画の中でも一際不快だなあと思っている。

ぼくが戦争映画好き、てのはあるけど、ついつい見たくなってしまうのはこの不快さとも関係あるんじゃないかって気がする。怖いものみたさとゆうか何とゆうか。

いじめの不快さ

前半の海軍訓練所におけるシゴキといじめの描写は、いかにもキューブリックらしい安定の不愉快さを味わうことができる。

何といっても、いじめられるデブ (ローレンス) の薄ら笑いが抜群に気持ち悪い。どこにでも必ずいるよなあ、あーゆう足引っ張る鈍臭いやつ。

何かわかんないけどイライラするとゆうか、他の訓練兵がいじめたくなる気持ちもわかる。

観ていてそんな邪悪な感情が、自然と湧いてきてしまうあたりはさすがキューブリック。実に不愉快極まりない。

連帯責任がいじめを育む土壌になっていたり、いじめの構造、みたいなものが実にわかりやすく描かれているのも面白い。

それにしてもいじめってのは客観的に見るとホントに不快だなあと思う。いじめに手を焼いている学校なんかは、この映画を見せて教育すればいいんじゃないだろうか。

いじめてる側からすると、自分たちがやってることのあまりの気持ち悪さに気づいて、止めようって気に自然となるんじゃないだろうか。

なーんてことを実際の教育現場で言おうもんなら、各方面から徹底的に叩かれまくるんだろうなあ。

自分はアイツかもしれないとゆう恐怖

最初は鈍臭いローレンスをイライラしながら観ていたのだが、ふと「ぼくがここに入ったら、ひょっとしてコイツみたいにみんなの足を引っ張ってしまうかも」なんてことも思った。

そのことの気づいたときの恐怖ったらもう、いじめの不愉快さ以上だった。

ああこーゆうことか、キューブリックの映画についつい吸いよせられてしまうのって。

圧倒的な映像美と異常な表現で、誰もが持ってる普遍的な邪悪さや醜さを描いている。そのコントラストが強烈すぎて、気づいたら惹き込まれてる。

にくい貴方

ナンシー・シナトラの『にくい貴方 (These Boots are Made For Walkin’)』にのせて始まる後半。つかこの曲テンションあがるわー。

ちなみに音楽繋がりだと、エンディングの『ミッキーマウス・マーチ』もかなり後味が悪くて印象的。

前半の訓練所のクリスマス、みんなで歌う『ハッピー・バースデー』もなんだけど、こんなにおぞましく不快な『ミッキーマウス・マーチ』ってないよなあと思う。

淡々と描かれる戦争

前半とはうってかわって、後半は特にこれといった主張もなく、戦場シーンが淡々と描かれていく。

主張がないことで、この戦争の無意味さが際立っている感じがして逆に強烈。

市街戦のシーンを含めて情景は圧倒的で、何とゆうかキューブリックがベトナム戦争撮ったらこうなるのかあて感じ。

ベトナム戦争といえばジャングルでのゲリラ戦だけど、ぼくはもともと市街戦のほうが好きだし大満足だった。まあゲリラ戦なんかは他の作品でも散々やってるしなあ。

つか製作年は『プラトーン』のが先、てのは何だかちょっと意外だった。『プラトーン』のヒットなんかも、市街戦にした理由だったりするのかなあ。おんなじようなの撮っても面白くないじゃんみたいな。

あまり戦闘に慣れていない一兵卒の視点で描かれる、てのは共通しているけど、『プラトーン』は最前線で本作は最後衛、みたいな違いも面白い。ついつい比べて観たくなる。

プラトーン (1986)【映画060】 (コタノト!)

さいごに

キューブリックは映像的にも精神的にもどっと疲れるから、けっこう気力が充実してるときじゃないとしんどい。

ましてや本作は戦争映画だし、重すぎてお腹いっぱい。しばらくはいいかな笑。

おわり。

にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

 -1989年以前の映画 , ,

ad

スポンサーリンク

  関連記事

裏窓 (1954)【映画】

ヒッチコック監督の映画『裏窓』を観ました。いろいろ語りだしたらキリがないくらいの面白さ。とにかく無駄がないというか、こういう計算されつくした緻密な映画は大好きです。

プラトーン (1986)【映画060】

戦争で傷つくのは、いつも青春。

街の灯 (1931)【映画】

盲目の花売娘のために奮闘するチャーリー。無償の愛を笑いと涙で描く不朽の名作。

悪魔の手毬唄 (1977)【映画093】

可憐な手毬唄にのって起こる、凄絶な連続殺人。

ブリット (1968)【映画072】

語り継がれるカーチェイス。刑事アクションの傑作。

新幹線大爆破 (1975) 【映画096】

新幹線ひかり109号《東京-博多》が爆破される!!乗客1500人に生命を乗せて、かつてない恐怖と緊迫

フレンチ・コネクション2 (1975)【映画】

刑事ポパイ、マルセイユへ!

めまい (1958)【映画066】

死の気配を漂わせた美女と彼女に魅入られた男の皮肉な運命。

ウォール街 (1987)【映画050】

今観ても全く古びていないことに驚きました。ゴードン・ゲッコーが強烈なインパクト!

未知との遭遇 (1977)【映画】

We are not alone. 宇宙にいるのは われわれだけではない。

ad

スポンサーリンク

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

スポンサーリンク

長いお別れ【映画感想】岸辺の旅(2015)

物理学に、ホール(正孔 / せいこう)という考え方がある。 整然と並んだ電子の列で、そのうちのひとつ

no image
横山秀夫の警察小説にハマる

いまさらですが、横山秀夫さんの小説にハマっています。 サクッと気楽に読める小説を、と手元にあった『深

終わるまでが戦争です【映画】日本のいちばん長い日(2015)

降伏か、本土決戦か__。

迷路荘の惨劇 (横溝正史)【読書】

角川文庫・金田一耕助ファイルの8冊目『迷路荘の惨劇』を読みました。子どものころハマった金田一を、1年

ゼッタイ押すなよ!【映画】人生スイッチ (2014)

押したら、さいご。

  • ランキングに参加しています。当ブログの順位は以下から確認できます。

    にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

    ブログランキングならblogram track feed コタノト!



  • follow us in feedly