プリズナーズ (2013)【映画】

      2014/10/31

愛する娘を奪われた時、父が踏み越えた一線とは。

プリズナーズ ドゥニ・ヴィルヌーヴ

『プリズナーズ (Prisoners) 』鑑賞。2013年アメリカ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。153分。

ペンシルヴェニア州ののどかな田舎町。感謝祭の日、工務店を営むケラー (ヒュー・ジャックマン) の6歳になる愛娘が、隣人の娘と一緒に忽然と姿を消してしまう。警察は現場近くで目撃された怪しげなRV車を手がかりに、乗っていた青年アレックス (ポール・ダノ) を逮捕する。しかしアレックスは10歳程度の知能しかなく、まともな証言も得られないまま釈放の期限を迎えてしまう。一向に進展を見せない捜査に、ケラーは指揮を執るロキ刑事 (ジェイク・ギレンホール) への不満を募らせる。そして自ら娘の居場所を聞き出すべく、ついにアレックスの監禁という暴挙に出てしまうケラーだったが…。

via: allcinema

こんなに満足のいくサスペンス / ミステリを観たのは久しぶり。『羊たちの沈黙』や『セブン』にも匹敵する上質なサスペンスだと思う (そいえば『羊たち〜』もペンシルヴェニアじゃなかったっけ?何かそーゆうのが似合う土地、なのかな) 。

二転三転する展開、キレのある映像、落ち着いた演出、役者さんたちの素晴らしい演技。どれをとってもカンペキで、あっとゆう間の2時間半だった。

闇の中の光線

この監督さんの作品を観たのは今作がはじめてだったが、「闇」の描きかたがとにかく巧いなあと思った。サスペンス映画における「闇」は「怖さ」にも直結しているわけだから、極めて重要なのは言うまでもない。

闇、とゆうよりは (まあ同じことなのだが) その中で蠢く「光線」の描きかたが実に鮮やか。こんなに懐中電灯を効果的に使った作品をぼくは他に知らない。

何だか、文字通り「光の線」の先を追いかけたくなってしまうのだ。チラチラと見えたり見えなかったりするのが、そういう気持ちをおこさせるのかもしれない。

闇を撮るのが巧い映画は、光そのものを描くのも巧い。ラスト近く、夜の街を疾走する車のシーンは光の描きかたが素晴らしい。

雨で乱反射するオレンジの街灯と、ケガでぼやける登場人物の視界が合わさって、幻想的ですらある。

全てを描かない

あまり余計なことをしない演出も良い。落ち着いた雰囲気は、舞台となる閑静な田舎街の雰囲気とも良くマッチしていて、物語の世界にスッと入り込むことができた。

怖いおはなしなのに、ずっと浸っていたいような心地よさ。そう、怖いんだけど何か心地よかったんだよなあ。

面白いと思ったのは、シーンの切り替え。ここまで見せればあとは余計、とばかりにフワッとフェイドアウトする。全てを描かないのに、ちゃんと分かるようにできていた。無駄のなさが素晴らしい。

ヒュー・ジャックマン、キレすぎ笑

役者さんたちの演技も、ずっと観ていたいと思うほど素晴らしかった。

ヒュー・ジャックマンはキレキャラがよく似合う。アレックスをぶん殴る拳からは、今にも爪が出てきそうで可笑しかった (てX-MEN / ウルヴァリンはよく知らないんだけど) 。

キャラクタそのものは、はっきり言って苦手なタイプ。テレンス・ハワードが演じたもうひとりの父のほうがずっと現実的だし、こっちのほうが強いひとだとぼくは思う。

娘たちの服が見つかったとき、ロキ刑事に向かって「おれなんかを尾行して時間をムダにしたお前のせいだ」みたいなことを言うんだけど、逆恨みも甚だしい。

怪しい行動をして、捜査に集中させなかったのはおめーだろ、と言いたくなる。正義みたいなものを振りかざして邪魔してくるやつは大嫌い。

根っからのいいひとキャラ

ロキ刑事役のジェイク・ギレンホールは大好きな役者さん。てか、このひとが出てるから観にいったようなところがある。

知的だけどちょっと変わってて浮いてる、みたいなところは相変わらず。けど強面のキャラはあんまり似合わなかったなあ笑。

何だか根っからのいいひとキャラが滲み出てしまっていた。ワルになりきれないあたりの複雑さに深みがあってよかった、てのはあるけど。

てか、他のどの登場人物もキャラはけっこうハッキリしてるのに、内面はかなり複雑な役ばかりだった、てことに今気づいた。

難しい役をみんな丁寧に演じててホントに素晴らしい。

さいごに

「神」がキーワードの物語なので、宗教心の薄い日本人にとってはちょっと分かりにくい部分もあるように思った。犯人の動機、とかね、理解はできるけど、今ひとつナットクはできなかったようなところがある。

そのあたりも含めて、かなり複雑なおはなしなので、完全にフォローできたかと言われるとちょっと怪しい。

これ原作はあるのかなあ。小説でも読んでみたい。

おわり。

にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

予告編は以下 (1分半ほどの動画) 。

小説、とゆうよりはノベライズ (?) はあるみたい。てことは映画オリジナルなのか。

 -2010年代の映画 ,

ad

スポンサーリンク

  関連記事

ラン・オールナイト (2015)【映画】一晩逃げる。一晩向き合う。

N.Y.中に、狙われた男。

武士の家計簿 (2010)【映画047】

江戸時代後期、加賀藩で経理を担当していた武家のお話。現代人にとってもお金との付き合い方はいろいろと参考になるように感じました。

ドラゴン・タトゥーの女 (2011)【映画】

誰がハリエットを殺した?

トランセンデンス (2014)【映画】

もし、コンピュータに科学者の頭脳をインストールしたら__。

her / 世界でひとつの彼女 (2013)【映画】

人生にときめく、AI〈人工知能〉。声だけの君と出会って、世界が輝いた。

マジック・イン・ムーンライト (2014)【映画】理屈じゃ解けない恋の魔法

この恋、タネも仕掛けもありません!

アメイジング・スパイダーマン (2012)【映画106】

恐れるな。自ら選んだ、この運命を。

イコライザー (2014)【映画】勧善懲悪デンゼル・ワシントン!

19秒で世の不正を完全抹消する。

ベスト・キッド (2010)【映画】

あの伝説が北京で甦る!

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 (2013)【映画】グレース・ケリー vs. ニコール・キッドマン!女優力対決!

世界を動かした、一世一代の〈大芝居〉。

ad

スポンサーリンク

  Message

メールアドレスが公開されることはありません。

ad

スポンサーリンク

長いお別れ【映画感想】岸辺の旅(2015)

物理学に、ホール(正孔 / せいこう)という考え方がある。 整然と並んだ電子の列で、そのうちのひとつ

終わるまでが戦争です【映画】日本のいちばん長い日(2015)

降伏か、本土決戦か__。

迷路荘の惨劇 (横溝正史)【読書】

角川文庫・金田一耕助ファイルの8冊目『迷路荘の惨劇』を読みました。子どものころハマった金田一を、1年

ゼッタイ押すなよ!【映画】人生スイッチ (2014)

押したら、さいご。

マイベストグルメ!〜2015上半期〜

2015年の上半期に行ったお店の中から、特に美味しかった5店舗を選んでみました!

  • ランキングに参加しています。当ブログの順位は以下から確認できます。

    にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ

    ブログランキングならblogram track feed コタノト!



  • follow us in feedly