思い出のマーニー (2014)【映画】

      2014/10/31

あなたのことが大すき。

思い出のマーニー ジブリ

試写会にて『思い出のマーニー』鑑賞。2014年スタジオジブリ他。米林宏昌監督。103分。

ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を映画化したファンタジーアニメ。北海道を舞台に、苦悩を抱えて生きる12歳の少女杏奈と彼女同様深い悲しみを心に宿すミステリアスな少女マーニーとの出会いを描写する。

via: シネマトゥデイ

主演 (声) は高月彩良と有村架純。共演に松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳、TEAM NACS (森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真) など。7月19日公開。

はじめに断っておくと、本作は予備知識なしで観たほうが断然楽しめる映画である。どんな映画だってそうなのだが、本作はとくにその傾向が強い。

ミステリの犯人を知ってから読みたい、とゆうひとは稀だろう。「ネタバレ」とゆう言葉は大嫌いなのであまり使いたくないのだが、まあつまり本作はそーゆう類の物語だとゆうことだ。

ミステリを引き合いに出したが、ある種のミステリ性を含んだおはなしだ、とゆうことさえ知らずに観たほうが楽しめるんじゃないかと思う。

つーわけでこれから観ようと思っているひとは、以下の文章は読まずにおくことをお勧めする。観終わった後に覚えていたら、また戻ってきてくださいね笑。

あーすっきりした笑。こっから先はすでに本作を観たひと、あるいは観てないけど感想を読んでも構わないひと、てのを前提にして、思う存分気ままに書くことが出来る笑。

まあ、そんでもいわゆる「犯人」を名指しするような無粋なことはしないのでご安心を。

女の闇

主人公の杏奈は、自分を好きになれず、それゆえに周囲ともなじめない女の子。出自に悩み、自分は普通の幸福とは無縁だと信じている。

こーゆう暗い側面て、若者 (何も若者に限らない) なら多かれ少なかれ抱いているもんだろう。特別いじめられているわけではないし、絶望的なまでに悲惨な状況、てわけでもないが、どこか満たされない。生きる意味を見出せない。嗚呼、無縁社会

ついでにゆうと、女性にはその傾向がより強いように感じる。女の闇。

最近はこーゆう「女の闇」を陰に陽に描いた作品がとても多い。『八日目の蝉』なんかわかりやすいし、『あまちゃん』なんかもそうだったなあ。観てないけど『アナと雪の女王』もそーなんじゃないかと勝手に想像している。

女性って、(男よりは) 明るいと思われがちだけど、奥底にはある種の本質的な暗さを抱えてるんじゃないかって思う。そーゆう暗さこそを女性性 (の一端)と表現できるのではないかとさえ思う。

本作はそこまであからさまではないものの、そんな「女性性」が垣間見える描写がところどころにあって面白い。そう、ぼくはこの手の女性性を描いたおはなしがどうやら大好きらしいのだ。ついつい惹きこまれてしまう。

内側と外側

杏奈の、他者との距離のはかりかたが興味深い。この世界にはある種の魔法の結界のようなものがあって、さも幸福そうにみえる彼らは”内側”の人間、自分は”外側”の人間と捉えている。

あーなるほど、この距離感のほうが確かにしっくりくる。決して好んで自らの「内側」に閉じこもっているわけではないのだ。ぼくだって、杏奈が言う”内側”には入っていけねーな、と思う瞬間が今でもときどきある。

考えてみれば当たり前なのかもしれない。杏奈は自分のことが好きになれないんだから、そんな自分を中心には据えようもない。

大体が自分を中心に置いてその「内側」、なんて考え方は傲慢にすぎる。それは自分のことが大好きなやつの距離感だろう。杏奈の場合 (そしてどちらかとゆうとぼくも) あくまでも自分は”外側”、世界の端っこにいるのだ。謙虚でいいじゃないか

マーニーとゆう謎

「マーニーとは何なのか?」とゆう謎が、物語を引っ張る推進力にもなっている。まあこの杏奈とマーニーの触れ合いが本作最大の見どころなのかもしれないが、いかんせん妄想パートが長すぎて、かなーり退屈だった

空想と現実が交錯する表現て、アニメとの相性は確かにいい (つか実写だと難しい) んだけど、境目が明確すぎるとゆうか、あーこれは空想なんだな、てのがはっきりと分かってしまうのがだいぶ残念だった。

だって、どーせ妄想だって分かってる中で延々おままごとを見せられたって、面白くも何ともない笑。

それでもマーニーのことを「杏奈が創り出した単なる空想の人物」と考えるにはおかしなことが多すぎる、てのがギリギリ興味をつなぎとめてくれている。

けどなあ、何とゆうか「マーニーて、いるのいないのどっちなの?」みたいな引っ張りかたがあってもよかったように思う。

まあ最後まで観れば、そこが本筋ではないとゆうか、オチにある程度の納得感は得られたからいいんだけど。

それにしてもなあ、オチも「あーやっぱりな」みたいな感じであんまり驚きはなかった。よくよく考えるとけっこうヒントもたくさん出てる (“太っちょ豚”の台詞、とかね) し、まあ犯人探しってゆう別の意味の楽しみかたはできる、のかもしれない。

象徴的な月

自らの空想で創り出した (とこの時点では思っている) マーニーを通して、成長していく杏奈。

作家がよく「キャラクタが勝手に動いた」みたいなことを言うけれど、杏奈とマーニーの関係もその感覚に近くて面白い。

この辺りには「物語」とゆう形式そのものが担っている意味や、フィクションが持っている不思議な力、みたいなものも込められて入るんじゃないかなあ、なんて思う。

それと、いたるところで月が象徴的に描かれているのも気になった。自分一人では輝けない月。夜空にぽつんと浮かぶ月。暗い少女杏奈を表しているようにも見える。そもそも杏奈とマーニーを隔てる潮の満ち干だって、月の引力 (潮汐力) が関係している。

月のような杏奈に光を照らすマーニーは、あたかも太陽のような存在だが、その立場は次第に逆転してゆく。この緩やかなシフト、関係性の変化は実に巧い

下手クソなボート

米林監督の前作『借りぐらしのアリエッティ』のときにも感じたことだけど、この監督さんは動きや情景と言った「描写」がすごく巧い。

杏奈が最初、ボートをうまく漕げないところのぎこちない動きなんて、下手クソ加減が絶妙で素晴らしい。人間の役者さんでも、あーはうまくヘタに漕ぐ (笑) 演技はできなんじゃないだろうか。

反面、感情の揺れやキャラクタはちょっと弱いなあと感じる。そもそも繊細な物語である、とゆう難しさはもちろんわかるのだが、何とゆうか「何でそーなったの?」みたいな納得感が薄いとゆうか、展開がちょっと唐突に感じてしまうのだ。

まず田舎にやってきた杏奈はそもそも快活すぎるし、あまり暗いコには思えない。元来明るいコだったと思えば、まあそんなもんかなとも思えないこともないが……。つか喘息持ちなのに行き倒れすぎだろ笑。死ぬよあんた笑

それに、マーニーに裏切られてムカついていたはずの杏奈が、いきなり許したりとかかなり唐突でついていけない。もうね、お嬢さんがた勝手にやってろよ笑、なんてついつい思ってしまう。

ま、繊細な少女の心の内なんて、しょせんしがないおっさんには推し量れない、てことだと納得しよう笑。

さいごに

観てるときはあんまりピンとこなかったのだが、観終わって時間が経つにつれて、じわじわと響いてきている。てジブリの映画はだいたいいつもそうか。

ローティーンの少女が主人公なので、枯れたおっさんの感性には響かない部分も多々ある。退屈だと感じるところもたくさんあったけど、途中ではたと気づいた。この物語は子供、とくに同世代の少女のほうがより深く味わうことができるのではないか。

これは鑑賞後に知ったことだが、本作は「子供のためのジブリを取り戻す」ってのがひとつのかけ声みたいにもなっているらしい。なるほどそーゆうことなのかもなあ。

ついでにゆうと、ジブリの映画はいつも感想に難儀する。いろんな要素が詰め込まれてるから、うまくまとめられないのだ。

それに何より、僕自身ジブリの世界観が好きすぎて、うまく書けないのだ。つーわけで今回も何だかヒドく冗長になってしまいました。お許しを。

おわり。

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あらすじはこんな感じ。

少女杏奈 (高月彩良) は自分の殻に閉じこもったまま、海沿いの村にある誰もいない屋敷で暮らしていた。そんなある日、彼女の前に青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニー (有村架純) が姿を見せる。その出会い以来、杏奈の身の回りでは立て続けに奇妙な出来事が起きるようになるが、それは二人だけの秘密だった。

via: シネマトゥデイ

繊細な感情の揺れなんかは小説のほうが楽しめるのかな、と思ったので、観た帰りに本屋さんによってみたら、映画公開に合わせて新訳が出ていた。

さっそく購入して今読んでいる。うまく書けなかった部分は原作の感想でリトライしてみよっかなあ。

2014/8/8追記

その原作、読み終わってから書いた感想はこちら。

思い出のマーニー (ジョーン・G・ロビンソン)【読書】 | コタノト!

【追記ここまで】

以前からある、おそらく監督さんたちも読んだであろう岩波少年文庫版。こちらは上下に分かれている。

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