イントゥ・ザ・ストーム (2014)【映画】
2014/10/31
“怪物”のど真ん中へ__。
試写会にて『イントゥ・ザ・ストーム (Into the Storm) 』鑑賞。2014年アメリカ。スティーヴン・クォーレ監督。89分。
史上最も規模が大きい竜巻に襲われた人々の死闘を描くディザスターパニック。ジャンボジェット機も簡単に飲み込む直径3,200メートル、秒速135メートルもの巨大竜巻が襲来するさまを、臨場感あふれる映像で映し出す。
via: シネマトゥデイ
主演はリチャード・アーミティッジ。8月22日公開。
感想を一言で表すと、竜巻、怖い!B級感がスゴかったけど、コンパクトにまとまって面白かったー!
動画時代の竜巻映画
最近では日本でも、関東平野あたりでちょこちょこ竜巻が起きてニュースになったりする。その手のニュースで見かける映像って、大抵は素人が撮影したもの。
今はスマホなんかで誰でも簡単に動画が撮れてしまう時代。撮った映像をSNSやYoutubeに流して、それをマスメディアが拾ってニュースに使う、て流れもだいぶ浸透してきたように思う。
気象とはちょっと違うけど、何年か前にロシアであった隕石落下のときにも、膨大な映像が記録されていたよなあ。スマホ以外にも監視カメラや車載カメラなどなど、人類は今、かつてないほどの”動画時代”を生きている。
なーんてことを、本作を観て改めて実感した。何しろこの映画、ほぼ全編にわたって、劇中の人物が撮影した映像で構成されているのだ。
タイトルの”Into”は、巨大竜巻の中に入る、てことなのかと思ってたけど、それだけじゃなくて観客が映画の中に入るって意味も込められている。
なるほど面白い試みだとは思うのだが、何だかイマイチ巧くいっていないように感じる。何だろ、肝心の展開があんまり面白くないからかなあ笑。何とももったいない。
登場人物が竜巻ハンターのカメラクルーとか、高校の映像部のコたちとか、いかにも撮影しますよって感じなのがちょっとあざとい。
それに臨場感を狙ったハンディの映像って、酔うからそもそもあんま好きじゃない、てのもある笑。そんなに多用してないから、実際に気持ち悪くなることはなかったけど。
竜巻映画の難しさ
竜巻映画の何が難しいって、登場人物がある種の狂人にならざるをえない、てところなんだよなあ。映画だから竜巻にある程度接近する必要があるんだけど、普通はもう逃げるが勝ちなんだよね圧倒的に。
でも逃げてるだけじゃ映画になんないから、仕方なく向かっていく連中も登場させなくちゃいけない。その辺りのムチャに説得力があるかってゆうと、なかなか難しかったりする。つか少なくともそんな変人たちに共感はできない。
近づきすぎて巻き込まれたところで、だから言わんこっちゃない!てことになっちゃう。
それともう一点、クライマックスが穴蔵みたいなシーンになっちゃうのも今ひとつ盛り上がりに欠けるとゆうか、どうしても地味になっちゃうのが悲しいところ。
てかちょっとよくわからないんだけど、学校にあるシェルターて、そんなにヤワなの?
かつてない巨大竜巻が来るから保たない、バスで逃げよう、てのはまあそうなのかなと思ったんだけど、結局逃げ切れないから雨水管で凌ごう!てのがどうも納得できなかった。
ものすごいB級感
出演している役者さんは、残念ながらひとりも知らなかった笑。お芝居もみなさんイマイチで、滲み出るB級感が凄まじい笑。
主演のリチャード・アーミティッジは『ホビット』シリーズで有名らしいのだが、観たことないから知らないや。
つかこのひと、田舎の教頭先生にしては強すぎ笑。吹き飛ばされそうになる気象学者を捕まえるシーンなんて、スパイダーマンみたいだった笑。ハイパーお父さん、カコイイ!
前半のドラマパートが下手クソで、はっきり言って退屈だった。登場人物が多いせいで、はなしが分散しちゃっててイマイチ入り込めない。
新人カメラマンの件とかなあ、けっこう唐突で強引だと思ったし、あと高校生カップルが絶体絶命のところでビデオメッセージ残したりするあたりも、ちょっと過剰だと感じた。
あーけど、それこそ動画時代に生きる若者たちにとっては、そんなに大げさなことでもないのかもしれない。世の中全体が知らず知らず劇場型になってるのかもなあ怖いなあ、なんてことも思ったりした。
そんでも彼らの救出劇はなかなかの迫力で、見どころ十分だった。人工呼吸の間が絶妙でドキドキを誘うし、見つめる周囲のひとたちの狼狽ぶりもなかなか良かった。
つかさ、弟くん、グッジョブすぎ笑。この映画の窮地は、ほぼ彼の機転で切り抜けてる笑。
前半のドラマがチープで、早く竜巻見せろ!てのは何だかこの前観た『GODZILLA』みたいだったなあ。
でもまあ最終的にはそれぞれのキャラクタの役割が巧いこと分散してるし、何よりもコンパクトな上映時間で、まずまず収まるべきところに収まってるから、まあいいか笑。
90分くらいの映画ってホントに観やすくて好き。
竜巻のヴァリエーション!
人間はあんまり巧く描けてないけど、その代わりに竜巻の描写は素晴らしい。もうこれ以上ないってくらいの凄まじい臨場感。
漏斗雲から”タッチダウン”したりとか、炎を巻き込んだ火柱みたいな竜巻、複数が合体して巨大になっていくさまなどなど、怖い竜巻のヴァリエーションは『ツイスター』のころよりもずっと進歩している。牛は飛ばなかったけどな笑!
それと、人物たちの後ろにチラッと映る空がじわじわ暗くなっていくのも細かくて巧いなあと思った。これから観るひとは是非とも空にも注目してみましょう。ある意味、空が主役の映画ですしね。
これって3Dでも公開するんだろうか。2Dですら、飛んでくる物体をよけそうになったりとかして、ホントにスゴイ迫力だった。是非とも大画面で観るべき映画、つかこーゆうのは映画館で観ないと面白さは半減、どころかほぼなくなると言っていい。
悪人が出てこない
この手のパニック映画って、必ずと言っていいほど足を引っ張る愚か者だったり、何かと反発するイヤミなヤツが出てくるのが常だけど、本作にはあんまりそーゆうキャラクタが出てこない。
竜巻ハンターのボスがちょっとイヤなヤツかな。けど彼にしたって仕事にアツいだけだしなあ。まあ一直線なヤツが一番めんどくさい、てのはあるけど。
学校から逃げよう、てなったときに、校長先生はもうちょっと反発してもよかったような気がする。最初のほうで、教頭パパと反目し合ってるような描写もあったわけだし、ちょっと聞き分けがよすぎるような気がした。
スピルバーグだったら、邪魔してきたあげくに悲惨な最期を迎えるキャラになってたかもしれない笑。
あと何気にいいなあと思ったのが、高校生カップルが工場へいった動機。
いつものハリウッド的展開だと、明らかに愚かな行為の報いで窮地に陥る、てゆう自業自得なパターンが多かったけど、彼らにはあまり非がない。
同情の余地があるとゆうか、お決まりのおバカ高校生だったら、もうバカなの勝手に死ねよと思うとこだけど笑、マジメに課題撮りにいって悲惨な目に遭ってるから普通にかわいそう。
マジメなひとたちばっかりの中で「おっ!」と目を引いたのは、YouTubeで一旗上げようってゆう、いわゆるYoutuber〈ユーチューバー〉が出てきたことかなあ。
完全にバカパート担当で、案の定なハメに陥るのだが、そんな彼らにもサイコーのオチがついている。
何だか真にイヤミなキャラがいない、てのは観てて清々しかったなあ。
さいごに
観終わった後、外に出たら風が強くてちょっと怖かった。そんくらいには竜巻こえー!て思える映画。巨大竜巻登場のシーンはゴジラにも匹敵する迫力。ぜひぜひ映画館の巨大スクリーンで。
おわり。
▼▼▼▼
あらすじはこんな感じ。
直径3,200メートル、秒速135メートルというこれまでにない規模の巨大竜巻がシルバータウンの街に襲来する。炎に包まれた巨大竜巻が猛威を振るい、ジャンボジェット機すら飲み込む威力を前に、住民たちはシェルターに避難。一方で、竜巻を追跡する観測者ストームチェイサーや、最愛の人を守り生き残るため危機的状況を打破しようと模索する人々もいて……。
via: シネマトゥデイ
予告編はこちら (1分15秒ほどの動画) 。
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