幽霊男 (横溝正史)【読書】

      2014/09/05

幽霊男と書いて、ゆれおと読む。インパクト強烈!

幽霊男 金田一耕助 横溝正史

横溝正史著『金田一耕助ファイル10 幽霊男』読了。1974年角川文庫刊 (1954年初出) 。306ページ。

神保町の裏通りにあるヌードモデル仲介業「共栄美術倶楽部」に初めて現れた異相の男、その名も佐川幽霊男。彼の依頼を受けたモデルが、ホテルの浴槽の湯の中で殺され、そしてさらに……。猟奇マニアたちの秘密の巣でもあったその倶楽部に金田一探偵が登場。右往左往しながらも、欲望に溺れて落ちたマニアたちの犯罪を鮮やかに解決!妖気漂う原色怪奇曼陀羅〈まんだら〉。

via: Amazon内容紹介

子供のころにハマった金田一耕助読み返し。『犬神家の一族』や『悪魔の手毬唄』など、映画も有名なメジャー作ばかり読んできたが、ここへきてマイナーなものを読みたくなった。

『幽霊男』。作中にもこの名の怪人が登場する。読みかたは「ゆれお」。金田一の中でもかなりの異色作だと勝手に思っている。

犯人から何から内容は完全に忘れ去っていたので、初読のように楽しむことができた。感想を一言でまとめると、幽霊男、すこぶる気持ち悪いね〜ゾクゾク

金田一のくせにエロチック

金田一にしては珍しく、妖艶な雰囲気をまとった作品である。その耽美さは江戸川乱歩を彷彿とさせる。

金田一自身が野暮ったいから、てのもあるけど、金田一はあまりエロを感じさせない作品が多い。つか著者にも恥ずかしがり屋なイメージがあるし、そーゆう描写はあんまり得意じゃないと感じる。

だから、この手の変態 (褒め言葉ね笑) ミステリも書けるんだ!てのはけっこう驚きだった。つか金田一には古典的ミステリへのオマージュぽい作品も多いし、本作では乱歩のマネをしてみたくなったのかもだなあ。

それでいて包帯グルグル巻きの男とか、蜘蛛を愛でる指のない男とか、おなじみの「らしい」アイテムもしっかりと登場するから、何だかいつも以上のお得感がある。つか指ないひと、ほぼ100パー出てくるよね笑

金田一出てこねえ笑

金田一はいつにもまして、ほとんどなんもしてねー笑。ホテルのボーイのコスプレくらいじゃないか見どころは笑。かなり強烈な登場のしかたで面白かったけど。映像で観たい。

つかつか、そもそもこの登場シーンまでなっかなか出てこないで焦らされるし、ホントに「金田一耕助ファイル」なのかってくらい、ホント出てこない今回。

推理する間もなく事件は二転三転、途中から出てくるやつがちょーキーパーソンだったりもして、事件のほうから勝手に解決に向かう

犯人が愉快犯のような行動をとったり、ミステリとゆうよりは社会派 (とゆうよりはエロチック) サスペンスっぽい雰囲気なのはけっこう好みの感じで面白かった。あんまりね、推理とかはどーでもいいんだよね、うん。

けどトリックはまずまずしっかりしてるほうじゃないかと思った。どぎつい死体の構図にもちゃんとした必然性があったし、デキ過ぎな偶然も控えめだったように思う。

まあ結局大して推理しないから笑、ミステリ的な導線とかはだいぶいい加減なのかもだけど。

曖昧な「場」

犯人のバックグラウンドがかつてないほど薄っぺらかったり、とにかく「いつも」の金田一とはひと味違う異色作。何がそう感じさせるのか。

金田一では田舎の村だったり、とある館だったり、「場」が重要な要素になっている。その中の「人間関係」を解き明かすことで事件を解決していくのが金田一のやりかた。

んで本作でその「場」にあたるのは何かって考えると、ヌードモデル仲介業者の「共栄美術倶楽部」てことになる。一応この中のひとたちが、被害者であり容疑者でもあるわけだし。

けど本作では、「場」の拘束力がちょっと弱いとゆうか、いつもと違って必ずしも「場」=「事件現場」てわけでもないし、幽霊男も出たり入ったりして境界が曖昧だったりする。

事件の期間も場所も広範囲だし、「場」とは関係ないひともたくさん絡んできて。金田一が調べなきゃいけない範囲も当然広がる。出てこないときにいつも調べてんだよなアイツ笑。

つーわけで、金田一があまり登場しない理由もそのあたりにあるのかなあ、なんてことを思ったりした。

さいごに

300ページくらいの短い作品だし、とにかくテンポがいいからグイグイ読み進めることができた。なかなかの佳作。

やっぱりあんまり憶えてないほうが楽しめる。次もマイナー作品にトライしてみよっかな。

おわり。

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オマケ

本作は映画化もされている。東宝製作。河津清三郎主演。観たいなあ。

ぼくは子供の頃に買った書籍版で読んだけど、今ならKindle版もあって多少安い。

Kindleで読む。Amazon・楽天で探す。↓

 -小説

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