プロミスト・ランド (2012)【映画】豊かさとは何か

      2014/12/02

人生はいつでも、やり直せる。

プロミストランド マットデイモン

『プロミスト・ランド (Promised Land) 』鑑賞。2012年アメリカ。ガス・ヴァン・サント監督 (兼製作総指揮) 。106分。

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のマット・デイモンとガス・ヴァン・サント監督が再び手を組んだ社会派ドラマ。新たなエネルギー源として注目を浴びるシェールガス革命を背景に、脚本と製作もこなすマット演じる大手エネルギー会社の社員が、ガス採掘権を買収すべく訪れた田舎町で住民との交流を通じ、自身の人生を見つめ直していく。

via: シネマトゥデイ

つーわけで主演はマット・デイモン。共演にジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、ローズマリー・デウィット、ハル・ホルブルックなど。デイモンとクラシンスキーは製作・脚本も担当。

大好きなマットデイモンがかなり力を入れて作った、てことで期待大で鑑賞。映像といいお芝居といい、全編静かな雰囲気なのが気に入った。心地いい静謐、「良い退屈」を味わえる。映画はやっぱり退屈じゃないと、ね。

キャラクタが生きている

主人公スティーヴのキャラクタが、いかにもデイモンらしい。前半は会社にとっての優等生、後半は……。言わずもがなだろう。

最初のうちは、誰もが共感できる人物、とは言いがたいが、自分の仕事が世界を良くすると信じて、誇りを持って取り組んでいる。内容の是非はともかく、誠実に生きている姿にはなかなか好感が持てる。

地元の理科教師イェーツ (ハル・ホルブルック) が、「君には最近の人間にはない”良さ”がある」と言うのは、そーゆう誠実さに触れたからだろう。

うん、つかこの映画、デイモンに限らず全てのキャラクタにすんげー「重み」を感じるんだよね。

町のまとめ役の小役人に始まって、雑貨屋、反対派の理科教師、若い農場主などなど、田舎のひとたちがちゃんと「生きて」いる

ひとりひとりに割かれる時間は少ないし、キャラはそんなに立ってないんだけど、だからこそリアリティがあるとゆうか、とにかくみんな、この町で生きてきたんだな、てのがすごい実感できる。

優等生デイモン

マット・デイモン自身も確か、環境保護や貧困問題といった活動に熱心で、貧しい国にキレイな水を、みたいな取り組みにも積極的に関わってるんじゃなかったっけ。

いまやハリウッドを代表するオピニオンリーダーのひとり。去年も『エリジウム』とゆう格差社会をテーマにした映画に出演してたっけ。まああれは娯楽作だったけど。

『ボーン』シリーズや『オーシャンズ』シリーズみたいな娯楽大作に出演する一方で、本作みたいな、ホントに興味あるテーマを自主制作みたいな感じで撮ってるのが素晴らしい。

半分以上趣味で作ったような映画だからか、興行面は度外視しているようなところがある。この映画で儲けるつもりはなさそーとゆうか。

ま、デイモン自身は他の娯楽作で散々稼いでるわけだから、今さら儲ける必要もなさそうだしな笑。

本作はもうちょっとおもしろおかしい展開にしてもよさそうだけど、そーゆう娯楽性みたいなものは敢えて抑えているようなところがある。

けど特に最近は静かな雰囲気の映画がどんどん減ってきてるから、本作の落ち着いた演出は逆に新鮮で、とっても良かった。

豊かさとは何か

シェールガス革命を扱った映画、てことで、環境保護とかそーゆうはなしが主題なのかと思ってたけど、どうもちょっと違うみたい

採掘に伴う危険性、土壌汚染とか水質汚染とかって話題はもちろん出てくるんだけど、あんまり詳しくは突っ込まない。

それよりは個々の生きかただとか、人生における豊かさって何だろ、みたいな価値観に関するおはなしに重心が置かれている

主人公を含めた全ての登場人物の行動・決断・生きかたには、いろいろと考えさせられる部分が多い。

人生の価値、みたいなものにはそもそも答えがないし、この映画自体も安易な模範解答は示さずに終わるあたりはとても好感が持てる。

エネルギー、とゆうかそれはイコールお金と言い換えてもいいのだけれど、それはまあたくさん持ってると楽なのは確かにそうだろう。

けどだからといって、お金をたくさん持っている人生がイコール豊かなのかとゆうと、それはちょっと違うんじゃないか、てことだ。

スティーヴたち企業の人間は、ガスの所有権をお金に換えれば、子供にいい教育を受けさせられるし、今よりもずっと「良い暮らし」をおくれると言って住人たちを誘惑する。

だけどその、人生の良いとか悪いとかってゆうのは一体誰が決めるのか。お金をたくさんもっているのが豊かな人生なのか。そーではないだろう。

人生に対する価値観とゆうものは、多様であっていいし、そうあるべきだと思う。ましてや大企業の人間が土足で踏み込んできて、他人に押し付けるようなものでもない。

レモネード売りの少女

クライマックス直前のシーンに登場する、レモネード売りの少女がとても印象深い

25¢ってここにも書いてあるんだから、25¢でいいわ。てセリフがめちゃめちゃカッケー!そしてカワイイ笑!

この映画で言いたいことを端的に表した、素晴らしいエピソードだと思う。対価として必要な分を貰えればそれで十分。エネルギーでもお金でも、貰いすぎるとロクなこと、ないよね。

ちなみにマット・デイモンのwikipediaを見ていたら、デイモン自身の逸話に似たようなものがあっておかしかった。ネタにしたのか笑?

マット・デイモン – Wikipedia

500円くらいのコーヒーにチップとして10万円置いていったんだとか。うん、これはこれでカッコイイわ笑。

さいごに

淡々したおはなしだけど、観てる最中も観終わってからも、いろいろと考えさせられる映画だった。こーゆうゆったりした映画ってホント好きだわ。デイモン、ステキだしね。

そんなに押し付けがましい主張があるってわけでもないし、むしろ問題は何も解決していないとも言えるけど、何やら清々しい気分になれるエンディングも良かった。

いろんな人生があっていい。けど、嘘はついちゃダメだよ!他者を欺くのはもちろん、自分自身の心にもね!てのが一応の主張なのかな、なんてことを思ったりした。

おわり。

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オマケ

ガス・ヴァン・サント&マット・デイモン

ガス・ヴァン・サント&マット・デイモンのコンビといえば、何といっても出世作の『グッド・ウィル・ハンティング』。

あの映画もデイモンとベン・アフレックの脚本だったけど、本作も出演者のジョン・クラシンスキーとデイモンが脚本&製作も担当している。

あの頃から比べると、だいぶ老けて丸くなったけど、大人っぽい落ち着きはイイ感じ。青春映画とおっさん映画、比べて観ると面白いかも。

ぼくはおっさん好きだから、本作のほうが好きかな笑。『グッド・ウィル・ハンティング』も、デイモンよりロビン・ウィリアムズの物語により惹かれたしなあ。

感想を読む。▷ グッド・ウィル・ハンティング / 旅立ち (1997)【映画082】

サイレント・テイク

本作はサイレント・テイクとゆう撮影 (演出?) 法を採用しているらしい。

名匠ガス・ヴァン・サントが『プロミスト・ランド』で用いた特別な演出法とは!? | シネマカフェ cinemacafe.net

記事を読んだだけでは、いまいちピンとこなかったのだが、観たらナットクした。

映画って普通はセリフを言ってる役者さんの顔が映るけど、本作では例えば喋っている役者の背中越しにカメラがあって、はなしを「聞いてる側」の役者さんの表情が映されたり、てカットがところどころ挿まれている。

これが何か独特の雰囲気で、静かな映画なのにテンポや緊張感が生まれて実に効果的だった。なるほどなあ、サイレント・テイク、良い!

2012年製作

土地とエネルギー、豊かな暮らし、などなど、原発問題を抱える日本も決して他人事じゃないな、と感じた。

本作の製作・本国公開は2012年。ガス・ヴァン・サント&マット・デイモンて黄金コンビの映画なのに、何でなかなか日本で公開されないんだろ、てのがずっと謎だった。

確かに地味な映画だけど、原発のことを考えると公開できないような、何らかの圧力でもあったんじゃないかと、ちょっと勘繰りたくなる笑。

それこそ劇中のグローバル社みたいな陰謀論、とは言わないまでも、議論が未だに割れてる微妙な問題に踏み込むようなところはあるから、直接ではないにしろ、公開しづらい空気、みたいなのはあったのかもなあ、なんてことをちょっと思った。

あらすじ&予告編

あらすじ

あらすじはこんな感じ。

寂れた田舎町のマッキンリーを訪れた大手エネルギー会社の幹部候補スティーヴ (マット・デイモン) 。そこには良質のシェールガスが埋蔵されており、不況に苦しむ農場主たちから安値で採掘権を買収する交渉のため同地に来たのだった。住民を簡単に説得できるともくろんでいたスティーヴだったが、思いも寄らぬ障壁が立ちはだかり……。

via: シネマトゥデイ

予告編

予告編はこちら (2分ほどの動画) 。▷ 映画『プロミスト・ランド』予告編 – YouTube

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