マスカレード・イブ (東野圭吾)【読書】

      2014/09/26

伏線はここにある。

MasqueradeEve

東野圭吾著『マスカレード・イブ』読了。2014年集英社文庫刊。331ページ。

ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。「マスカレード」シリーズ第2弾。

via: Amazon内容紹介 (「BOOK」データベースより)

マスカレード・ホテル』の続編だが、物語は前日譚にあたる。だからわざわざ”第2弾”なんて言ってるのか。ややこしいな笑。

その前作は、仮面を守るひと尚美と、仮面を暴くひと新田、てコンビの対立と協力が最高に面白かったのだが、今回ふたりは直接的には接触しない。当たり前だけど。

これがもー残念でならない。やっぱり1足す1が2以上だと、2割る2は1以下になっちゃうのね。前作と比較すると面白さは半分以下だった。

それでも著者特有のムダのない筆致がとっても読みやすくて、ムシャムシャ読み耽ってしまった。やっぱ東野圭吾は短編だなあ!

ホテルものは間違いない

全4編からなる短編集で、尚美と新田の物語をそれぞれ2編ずつ (最後の表題作は新田メインだが、尚美も登場する) 、て構成をとっている。

尚美パートはホテルが舞台ってことでそれなりに楽しい。

作中にも言及 (P18) がある映画『グランド・ホテル』にはじまって、最近だと『THE有頂天ホテル』や『グランド・ブダペスト・ホテル』、石ノ森章太郎のマンガ (ドラマ) 『HOTEL』などなど、やっぱホテルものって間違いないなあ。

客を入れ替えれば物語はそれこそ無限に生み出せる、て強みもある。

会ってはいけないという制約

それに比べると新田がメインのおはなしはややトーンダウン。なかなか良いキャラクタなんだけどなあ、いずれも彼である必然性をあまり感じないおはなしで、ちょっと残念だった。

前日譚てことで、当たり前だけどふたりは出会っちゃいけないわけで、そーゆう制約がある中でどーやってはなしを展開するのか、てのはたしかに興味深かった。

なるほどそーきたか!とは思ったものの、何だか事件の構造そのものが、無理やりホテルを絡めてるような節もあって違和感が残る。

つか表題作 (『マスカレード・イブ』) の事件さ、ガリレオの没ネタ使い回したんじゃね笑?なんてふうに思わないでもない。

ふたりを繋ぐ穂積理沙とゆうキャラクタがなかなか良かったのが救いかな。ラストシーンの穂積と新田のやりとりは、『マスカレード・ホテル』にうまいこと繋がって思わずニヤリとさせられた。

「一度、顔を見ておきたかったな。その聡明な女性フロントクラークとやらの」

「美人ですよ。いつか会えるといいですね」

via: P322

さいごに

ニヤリと言えば、エピローグも前作のどっかで出てきたなあと思って、本棚から引っ張りだしてきて探してみた。

ぼくの手元にある単行本 (ハードカバー) では、P176あたりから、尚美の「思い出話」みたいなエピソードとして登場していた (探すのけっこう大変だったヨ笑) 。

こーゆうリンクもなかなか楽しいなあ。気づいてないだけで、他にもいろいろあるのかもしれない。

時間軸ではこちらのほうが先なわけだし、あまり順番を気にせずに読むことができるこの2冊。時間順に読むと、また新たな発見があったりして、なんてことも思ったりした。

おわり。

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オマケ

一ツ橋出版

作家と編集者の物語『仮面と覆面』には、『一ツ橋出版』(P133) とゆう大手出版社が登場する。

本書の出版元の集英社って、千代田区一ツ橋にあるんだよね。大人の配慮なのか何なのかわからんけど、この手の細かい小ネタは楽しい。

ちなみに『灸英社』(P168) て名前も出てくるけど、これはちょっとやりすぎ笑。

ランニング

『ルーキー登場』の被害者は、ランニング中に刺殺されてしまう。ぼくもランニングをやっているので、ちょっと怖い。夜には走ったことないけど。

けど走ってるコースや時間帯なんかはブログにも書いてるし、日によってバラバラなつもりでも、自分では気づかないようなパターンがあるかもしれない。狙おうと思ったら案外簡単なのかもなあ。怖い怖い。気をつけよう。

ちなみにこの被害者、48歳で7kmを40分ほどかけて走る (P71) のだそうだ。キロ5分40秒ちょっと。7kmだけとはいえ、サブ4のペースかあ。ランナーとしては大したことない、なんて言われてるけど、そこそこだと思うのだが笑。

オマケおわり。

 -小説

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