ジャッカルの日 (1973)【映画】
2014/10/31
ドゴール暗殺計画をひっさげて ジャッカルがやってくる!
『ジャッカルの日 (The Day of the Jackal) 』鑑賞。1973年イギリス / フランス。フレッド・ジンネマン監督。142分。
ドゴール大統領暗殺をもくろむ”ジャッカル”という名の男を描いたフレデリック・フォーサイスの同名ベストセラー小説の映画化。暗殺に向けて用意周到に行われる準備とパリ警察の地道な捜査をリアリティたっぷりなディティールで克明に描いた社会派サスペンスの一級品。
via: allcinema
主演はエドワード・フォックス。共演にマイケル・ロンズデール、デルフィーヌ・セイリグなど。
ブルース・ウィリス主演のハリウッド・リメイクは最近も観たけど、オリジナル版を観るのは十数年ぶり。やっぱこっちのが断然面白いね!
スパイ映画 (つか殺し屋だけど) てやっぱヨーロッパがよく似合う。陸路でいろんな国を移動できるし、歴史ある街並を歩いてるだけで、もう十分画になる。
アメリカはなあ、都市部を出るととたんに田舎臭くなっちゃうし、どうにも埃っぽくてダメだ。それに、職人的なキャラがみんな脂ぎってて下品な感じになってしまう。
うん、あのリメイク、何か下品なんだよなジャッカルも含めて。
本作でも軽薄な職人が強請〈ゆす〉ってくるシーンはあるものの、何かどことなくオシャレでひょうきんなイタリア野郎、て感じだった。ヨーロッパが舞台だと、全体的にオシャレ感が漂う。
もうね、ジャッカル (エドワード・フォックス) からして上品でスマート。つか、姿勢いいよね笑。
やること成すことムダがなくて、殺し屋ってゆう、言ってみれば悪者側なのに、ついつい応援したくなってしまう。応援つーか何だろ、ジャッカルやべーぞ!バレてるぞ!てゆうハラハラドキドキ感!完全にジャッカル視点で観ちゃってる。
映画の作りも、ジャッカルの手際同様一切のムダがなくて、このシンクロが何とも心地いい。もうね、描写が必要十分で、これは何だろ?と思うシーンでも必ず後で繋がるの。この安心感といったら!
ジャッカル側と捜査側のシーンが交互に入って、けっこう複雑なおはなしなのに、あまりアタマを悩ますことなく、スッと入ってくるわかりやすさ、素晴らしい。ムダがないからテンポも良くて、まるで古さを感じない。
捜査の責任者、ルベル警視 (マイケル・ロンズデール) は口ひげが何とも怪しげだけど、見た目と違ってなかなかのやり手、てのがじわじわ明らかになってくる。頼り無さげに見せておいて油断させる、てゆうコロンボタイプ笑。
捜査を始める前に、まず電話回線とか備品調達とか環境づくりに関することを、めっちゃ細かく指示してたのも面白かった。準備、大事。何事も準備さえ整えば、半分くらいは達成できたようなもんだしなあ。
そいやジャッカルも、身分偽造したり武器調達したりってゆう「準備」の部分にめっちゃ時間掛けてた。この二人、案外似た者同士なのかもしれない。
つかそもそもこの物語、何も「こと」が起こってないうちから、水面下で進んでいく、てのも堪らない。
基本的な構図は追いかけっこなのに、追われてるジャッカルは逃げてるんじゃなくて標的に向かって迫ってくる、てのも何だか最高にゾクゾクする。
殺しはちょこちょこやるんだけど、全部必要に迫られてだし、最後の最後まで銃を使わない、てのも好き (試し射ちはやるけど) 。リメイクはムダに殺しまくるからな笑。
そいや最初っから、「暗殺は可能だけど、問題は脱出方法」て言ってるんだよなあ。近づくのはたやすい、てことか。
先の先まで読んで、騙し合い、探り合い。淡々と進むのに、とゆうか静かな構成だからこその緊張感!ホント何から何までサスペンスのお手本みたいだった。
つーわけで、いつ観ても何回観ても楽しめる、ちょー名作サスペンス。観たことないひとはぜひ一度。観たことあるひとももう一度。
おわり。
オマケ
ジャッカルは見た目40代くらいかなと思っていたのだが、劇中で30代前半とか34歳くらいとか言われてて、マジか!と思った。
演じたエドワード・フォックス自身、撮影時35歳くらいだから、まあそんくらいなのか。けっこうシワあったからもうちょい上かと思ったんだけど。つかぼくと大して変わらないとか、ちょっとショックだなあ笑。
それにしてもこのジャッカルは清潔感が凄まじくて、とても殺し屋には見えない。まあだからこそ適任なんだけど。ヌードシーンもあって、プリケツ具合が素晴らしい!惚れ惚れする笑。
リメイク版は何でブルース・ウィリスにしたのかなあ。全く新しいジャッカル像を狙ったんだろうか。あんまうまくいかなかったね笑。
むしろ表情や佇まいはトム・クルーズに近いと感じた。『コラテラル』のイメージ、悪くない。まあトムだとムダにアクション多くなっちゃいそうな気もするけど。
ちなみにリメイク版『ジャッカル』の感想はこちら。▷ ジャッカル (1997)【映画】
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