山賊のむすめローニャ (アストリット・リンドグレーン)【読書】

      2014/11/07

リンドグレーンの名作ファンタジー!

山賊のむすめローニャ アストリッドリンドグレーン 岩波少年文庫

アストリッド・リンドグレーン著『山賊のむすめローニャ (Ronja Rövardotter) 』読了。2001年岩波少年文庫 (1981年初出) 刊。大塚勇三訳。375ページ。

落雷でまっぷたつになった古城に、2組の山賊が住んでいました。片方の首領には一人娘のローニャが、もう一方には一人息子のビルクがいました。2人は、争ってばかりいる親たちを仲直りさせようとしますが…。

via: Amazon内容紹介

NHK-BSプレミアムで放送がはじまったアニメ『山賊の娘ローニャ』(アニメ版はなぜか「むすめ」が漢字) の原作。ジブリの「息子」こと宮崎吾朗さんが監督、てことで気になって観ている。

原作はスウェーデンが誇る (とゆうか世界的に有名な) 児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン。これは原作も面白いに違いない!つーことで、アニメがはじまるタイミングと前後してさらっと一読。

リンドグレーンなら間違いない!とかエラそうに言ったけど、ぼくがこの作家をちゃんと認識したのはごくごく最近のことだったりする笑。『長くつ下のピッピ』とか『名探偵カッレくん』なんかの存在は以前から知ってたけど、ちゃんと読んだことないし。

それよりもぼくの中でリンドグレーンといえば、完全に「チョルベン」のひと笑。こちらは映画を観てハマって、原作も読んだ (おっと、本の感想はまだだった。さっさと書かないと笑) 。

新宿武蔵野館で『なまいきチョルベンと水夫さん』を観てきたよ!

なまいきチョルベンと水夫さん (1964)【映画】

つーわけで、リンドグレーンの著書を読むのは、そのチョルベン原作『わたしたちの島で』に次いで2冊目。スウェーデンてもともと好きな国だけど、何だか最近、一層身近になってるな。

と、前置きが長くなってしまったが、ローニャである。

さすがに子供向けの岩波少年文庫だけあって、ひらがな多め、やや冗長な文章に最初は読みにくさを感じたが、慣れてしまえば何てことはない。後半はむしろスラスラ読めるし、さすがリンドグレーン、リズムがいい。

大自然に囲まれて暮らすローニャの描写は、ああ、これ子供のころ読んでたら人生違ってたかな、と思うほど生き生きと描かれていて、年甲斐もなくワクワクしてしまった。

描写が多い小説は苦手なのだが、本作はそれほど退屈することもなく読み切ることができた。

これはリンドグレーンの筆致が素晴らしい、てのもあるけど、アニメの恩恵もあるように思う。世界観のイメージは、アニメにだいぶ助けられた。つーのは相変わらず邪道な読みかたなんだけど笑。

鳥女とか灰色小人とか、ファンタジックな存在もちょこちょこ出てくるけど、あんまりゴテゴテしていないとゆうか、けっこうすんなり受け入れられる。それくらいの絶妙なバランス、てのもぼくみたいなファンタジー初心者にはちょうどよかった。

何とゆうか、完全なる夢の別世界、てほど遠くなくて、何かどっかにありそう、と思える距離感なのが面白い。

そいや、場所はスウェーデンなのかな、てちょっと思った (日が長いとか短いとか) けど、時代なんかもあんまり気にならなかったな。児童文学ってあんまり古びなくて、いいね!

山賊が主人公のファンタジーだけど、おっさんになった今読むと、なかなか示唆に富んだ内容で、深いなあ、と思わず何度か唸ってしまった。

自己と他者の距離感とゆうか、意見や利害の対立するひとたちとどーやって折り合いをつけていくのか、愛や友情の育みかた、あるいは他者との距離のはかりかた、みたいなものが暗に描かれているように感じる。

それと、親と子の関係性も実に巧みに描かれている。リンドグレーンて、のびのびとした子供らしい子供を描くのもめちゃくちゃ巧いけど、大人になりかかってるような、大人と子供が同居したような不安定な状態を表現するのもホントに巧い。

ちなみに、NHKのアニメは原作にかなり忠実だとも感じた。圧縮すれば2時間くらいに十分収められそうな内容 (実際スウェーデンでは84年に実写映画化されている。ぼくは未見) を、実にゆったりとしたペースで描いていて、好感が持てる。

小説から受ける印象も、かなりのんびり・ほのぼのとしたものなので、アニメのように丁寧すぎるほどのペースで描いたほうが、原作の雰囲気により近づけて良い。

原作も合わせて読むと、世界観がグッと広がってアニメもより楽しめる、とゆうか、どちらか一方だけだとあまり乗れないような気もするので、気になってるひとはぜひぜひ両者に触れることをオススメする。

おわり。

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