デビルズ・ノット (2013)【映画】
2014/11/13
悪魔は、だれか。
試写会にて『デビルズ・ノット (Devil’s Knot) 』鑑賞。2013年アメリカ。アトム・エゴヤン監督。114分。
むごたらしい児童殺人と冤罪としか思えぬ容疑者逮捕で話題となった、ウエスト・メンフィス3事件を映画化したサスペンス。犯人と断定された若者たち、その逮捕に疑問を抱く探偵など、さまざまな者たちの姿を通して事件の全貌に迫っていく。
via: シネマトゥデイ
主演はコリン・ファース。共演にリース・ウィザースプーンほか。11月14日公開。
ややこしくてモヤモヤ
何ともけったいな映画だったなあ汗!背景を全然知らないせいか、すんげーややこしくて頭使わされた上に、これ以上ないモヤモヤ感を残して終わるってゆう……。
モヤモヤ系は嫌いじゃないないけど、これはちょっと、あまりに救いがなさすぎやしないかい。
未解決事件の実話が元になってるわけだから、ある程度は仕方ないのかもだけどさ。何だかなあ……。
子供3人が惨殺されて、その容疑者3人もやはり少年。しかもどーやら冤罪くさい、てんだからホント救いがたい。
ロン何者笑?
映画はサスペンスとゆうよりは、ドキュメンタリーに近い。容疑者の少年3人に対する捜査や裁判が、過剰な演出もなく、かなーり淡々と描かれていく。
役者さんたちも名優揃いだし、全編落ち着いた構成なのはなかなか好感が持てる。やぱ法廷ものが持ってる空気感て、いいよね。好き。
けどあまりに淡々としすぎてて、個々のキャラクタがイマイチ掴みづらいようなところもあった。つかさ、この事件、謎が謎を呼んでとにかくナゾまくるんだけど、一番ナゾだったのはロン (コリン・ファース) が何で首突っ込んできたのかってところ笑。
離婚調停中を匂わせてたし、被害者とーちゃんが「継父」とか出てたから、てっきり別れた亭主なのかと思ってたけど、全然関係なかった笑!
しかも弁護士軍団より証拠に詳しいって、アメリカの司法システムどーなってんの笑?なーんてのも疑問だった。
複雑まくる!
これはぼくが頭悪いだけなのかもだけど、人間関係がだいぶ複雑まくるから、ついていくのにかなり必死だった。正直、最後のほうまでダミアンとジェイソン (容疑者の少年2人) の区別がつかんかったよ笑。
とにかく出てくるやつら全員怪しい (警察とか判事も含めていろんな意味で!) し、全体の半分くらいしかフォローできなかったんじゃないかなあ。原作あるんなら読んでみたい!なんて思ったけど、どーやら翻訳されてないみたい。残念。
ちなみに、公式ページに載ってる相関図がかなーりわかりやすくて、だいぶ理解の足しになった。よくわからん (or フォローできる自信がない) てひとは、鑑賞前後に見てみるといいかと思います。
冤罪怖い
この映画のテーマをものすごーくざっくり言ってしまえば、冤罪って怖いね、てことなんだと思う。少なくとも予告にあるような、真犯人は誰だ!?みたいな感じでは、決してない。
つかこの事件、ロン以外の関係者が警察や判事も含めて全員グダグダで、怒りすら覚える。何だろ、土地柄とかも関係あんのかなあ。
とはいえ、最重要とも言える証拠紛失 (隠蔽?) したとか、普通にありえねーだろ笑。この裁判、よく現実にまかり通ったなと思えるくらい、とにかくヒドい。
ロンてゆう、容疑者を擁護する立場の人物を中心に据えてるとはいえ、描きかたとしてはなるべく中立を保とうとしてるのかなってふうにも感じた。
淡々と進んでいくからこそ、裁判の状況がリアルに伝わってくるし、ドキュメンタリーのように感じる所以もそのあたりにあるよーな気がする。
できうるかぎり、ありのままを伝えようとしてるから、返って冤罪の疑惑が際立ってるようなところもある。
結局のところ真犯人は藪の中だけど、少なくとも容疑者の少年たちが有罪とは言えないだろ?て思えるくらいの説得力はあったし、余計な脚色をしないことで、この映画 (とゆうか事件) の真の怖さがハッキリと浮かび上がってるようなところもある。
実話の難しさ
何気に一番面白かったのが、エピローグ的な後日談。
文章だけで裁判後から現在に至るまでの経過が明かされるんだけど、つかさ、そこ映画にしようよ!そしたら『ゾディアック』(こちらも未解決事件を扱った映画) みたいなじわじわ怖いサスペンスになったかもしれないのに!
なーんて思ったりもしたけど、これたかだか20年くらい前のおはなしで、まだ関係者もほとんど生きてるんだろうし、偏った憶測で語るのも難しいのかもしんない。
けど明らかに怪しげな人物が、どーやら真犯人だったっぽい、てオチは何だかちょっと逆に拍子抜けではあったんだけど笑。
少年犯罪とか偏見とか
事件が起こった93年て、ぼくは10歳くらいだから、ちょうど殺された子供たちとおんなじくらいの年齢かもな、なんてこともちょっと思った。そー考えるとグッと身近になって怖い。
そいや、ぼくの世代は神戸連続児童殺傷事件の容疑者と同い年で、キレやすい少年、なんつって意味もなくだいぶ叩かれたんだった笑。そーゆう意味では、容疑者側の歪んだスタンスも、わからないではない。
当時は日本でも (冤罪じゃあないけど) 少年犯罪が流行して、ちょっとした社会問題になったりもしたよなあ、なんてことも思い出したり。
あとあと、このウエストメンフィス3事件は、悪魔崇拝ってゆう背景を背負ってて、キリスト教とはなじみの薄い日本人にとっては今ひとつピンとこない部分もある。
けどこれって、例えばアニメなんかに置き換えると分かりやすいよなあ、なんてことも思ったりした。
最近でも異常犯罪を起こした容疑者がアニメオタクだったり、あるいはちょっと変わったマンガの愛好者だったり、なんてことがときどき報道されるけど、それって事件とは直接関係ないわけじゃん。
悪魔崇拝にしろ何にしろ、趣味としてはどーかとぼくも思うけど、そーゆう偏見が冤罪の土壌を生むのかもなあ、なんてことも思ったりした。
さいごに
落ち着いたトーンで淡々と進む、地味で暗くてややこしくてモヤモヤするけったいな映画 (笑) だけど、観終わってからジワジワ考えさせられる、なかなか深みのある映画でもありました。
それにしても、救いねーなホント……。
おわり。
作品情報
公式ページはこちら。▷ 映画「デビルズ・ノット」公式サイト
あらすじ
1993年、アメリカのアーカンソー州ウエスト・メンフィスで児童たちが無残にも殺害される事件が発生。彼らと顔見知りだったアイスクリーム売りの青年 (デイン・デハーン) や現場近くにいた血まみれの黒人男性など、不審な人物がいたにもかかわらず、警察は16歳から18歳の若者3人を容疑者として逮捕する。私立探偵ロン (コリン・ファース) は、事件捜査の経過に疑問を覚えて独自に調査を開始。一方、被害者の母親パム (リース・ウィザースプーン) は、裁判で次々と浮き上がる捜査の矛盾などに戸惑いを覚える。
via: シネマトゥデイ
予告編
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