6才のボクが、大人になるまで。(2014)【映画】

      2014/12/12

4人の俳優が12年間家族を演じた。その歳月から生まれた、感動の物語。

6才のボクが、大人になるまで

試写会にて『6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood) 』鑑賞。2014年アメリカ。リチャード・リンクレイター監督。165分。

『ビフォア』シリーズのリチャード・リンクレイター監督がメガホンを取り、6歳の少年とその家族の12年にわたる軌跡をつづった人間ドラマ。主人公を演じた新星エラー・コルトレーンをはじめ、主要人物4人を同じ俳優が12年間演じ、それぞれの変遷の歴史を映し出す。

via: シネマトゥデイ

主演はエラー・コルトレーン。共演にパトリシア・アークエット、ローレライ・リンクレイター、イーサン・ホークほか。11月14日公開。

Rotten Tomatoes (アメリカの映画評サイト) の公開前支持率100%って、どんだけだよ (天の邪鬼だから、支持率とか基本疑ってる笑) と思っていたのだが、なるほどこりゃアメリカ人好きだわ。

ごくごく一般的な、現代アメリカ人の生活が、淡々と描かれていく。つまりは観客自身が主人公みたいな感じ。共感しないわけがない

ちょっと田舎に住んでいて、けど都市部もそんなに遠いわけじゃなくて、めちゃめちゃお金持ちってわけじゃないけど、まずまず生活に困らないほどには豊か。

みんなそれなりに問題は抱えてるけど、それはどれも、観ている我々にだって当てはまるようなものばかり。場所も時間も、経済的にも物語的にも、特別なことは何もない。なのに何だかとっても愛おしい。何なんだこれ!

上映時間165分て凄まじく長いなあ (90分くらいの、短い映画が好き。この時間なら2本観れる笑) て観る前は思ってたけど、いざはじまってみたら全く長さを感じなかった。むしろもっと、ずっと観ていたいと思えるほど、素晴らしい時間が流れている

アメリカ版北の国から

12年間掛けて1本の映画を撮るとか、狂気の沙汰としか思えない笑 (褒め言葉ですもちろん) 。構想何十年とかはよくあるけど、“撮影”12年だもんなあ笑。企画としてよく通ったと思う。

リンクレイター監督は『ビフォア〜』シリーズ (『〜サンライズ』しか観てないけど) も足掛け18年 (インターバル9年ずつ!) で完結させたりとか、ちょっと時間の感覚がおかしいのかもしんない笑。

いやシリーズもので足掛け何年とかなら、TVドラマだったり、あるいは寅さんみたいな映画でもあるけど、1本の映画でってなると、ちょっと記憶にない。その執念、だいぶキモい (しつこいですが、褒め言葉です笑) 。

そんな狂気 (とゆうか執念とゆうか辛抱とゆうか) の甲斐あってか、本作では子供たちが実に緩やかに成長していく。そりゃおんなじひとが子供からずっと演じてんだから当たり前なんだけど、その極めて当たり前なことが、何だかとっても心地いい

成長していくのは子供たちだけじゃないか。おかあさんもおとうさんも、緩やかに老けていく。これメイキング (それこそ膨大な量だろう!) なんかも、ドキュメンタリー映画として公開してくんないかな笑。本編以上に興味ある。

こーゆう作品て何か他でもあったかな?て観ながらずっと考えてたんだけど、一番近いのは『北の国から』てことに思い至った。

ジュンとホタル。そいや、これも一男一女 (ただし順番が逆) だな。やっぱり男のコと女のコ、それぞれに特有の悩みをドラマとしてを描けるからだろうか。

本作は別に大自然の中で暮らすわけじゃないけど、両親が離婚して、しかもとーちゃんのほうは別れたあと北 (アラスカ) へ行っちゃってたり (子供を引き取ってんのはかーちゃんのほうだけど) とか、『北の国から』と重なる部分も多い。なーんてのは、こじつけか。

要点なんて知るか

リンクレイター監督は、他愛ない会話を描くのが、とっても巧いなあと思う。何だか日本映画っぽいんだよね。画面の中に「良い退屈」が存在している (映画とは退屈なものなのさ) 。

これぞアメリカ!みたいな映画なのに、どこか日本映画的、てのはちょっと興味深いな。

好きなシーンがある。

メイソン (弟) が中学生くらいのとき、サマンサ (姉) が迎えにくるはずだったのにすっぽかされちゃって、仕方ないから歩いてかーちゃんが教鞭をとってる大学まで行く。

途中同級生の女の子と会って、はなしながら並んでトボトボと歩く。坂を下ってくさまを正面からずーっと撮ってる (ぼくの大好きな長回し!他のシーンでもけっこう多用してて嬉しい) んだけど、別れるころにはスタート地点が豆粒みたいになってる。

会話の内容は、今読んでる本が面白いとか、流行ってるTVには興味ないとか、そんなどーでもいい会話。

この映画は、そんな他愛ないシーンの集積とも言える。何だかこーゆう、思い返してみると、あれ?何はなしてたんだっけ?て会話に溢れてるんだよね。

最後のほうでメイソンSr. (イーサン・ホーク) が言うセリフ、「要点なんて知るか、思いつくままにしゃべってる」てのが、この映画の良さを見事に言い表してるなあと、妙に感動してしまった。

ありふれた日常。ステキな情景。物語の起伏は乏しいけれど、どの情景もずっと見ていたいと思えるような没入感があって、飽きない

けどよくよく考えると、ぼくらの暮らしもそうなんだよなあ。大切なひとと過ごしてるときって、それこそ時間を忘れちゃうし、会話の内容なんて楽しかったときほど覚えていない。

そんな日常的な他愛ない時間、てのを切り取るのがとっても巧いし、観ていて実に心地いい。

アメリカの思い出

ぼくは6年ほど前、アメリカに1ヶ月間ホームステイをしていたことがある。シアトル (マリナーズの本拠地!) 近郊、ダウンタウンからは車で1時間ほどの、言ってみれば田舎だ。

めちゃめちゃ豪邸、てわけでもないけど、それなりに裕福だし、ホームステイを受け入れるくらいだから、まずまず安定した暮らしを送っている中流家庭。だったんだと今にして思う。

そう、これってこの映画で描かれる一家と、とってもよく似てるんだよね。いろいろ思い出すところがあった。

まあ、ぼくのホームステイ先は (おそらく) ゴリゴリの共和党支持層だったし、おとうさん (とゆうか60過ぎてたし風貌もおじいさんに近かった) はロジャー・クレメンスじゃなくて城島 (イチローじゃなくて笑) のファン。

18歳くらいの息子はドラゴンボール (映画で魔神ブウが出てきてアガった!) じゃなくてバットマンに夢中だったけど。

そいや、ぼくが暮らしたのは大統領選挙の年 (オバマが最初に勝ったとき。ただし春先) だったんだよなあ。この映画で描かれる時期とも重なる。アメリカにいたときに、おんなじ国でこの映画撮ってたのかと思うと、何だかちょっと感慨深い。

家族と過ごす時間

アメリカ人はビジネスライクで冷たい、なんてよく言われるけど、ボクはそんなことはないと思う。家族との時間をとても大切にしている

この映画でもたびたび登場するけど、ぼくのホームステイ先でも、毎週末は必ずホームパーティをしていた。どこからともなく親戚や友人が集まってきて、イチイチ紹介される。彼らは仲良くなるのも、とてもうまい

翻って日本人は、会社や組織での付き合いは重視するくせに、親戚付き合いはないがしろにする傾向がある。最近はそんなこともないんだろーけど、冷たいのはどっちかなって思っちゃう (自戒もこめて) 。

エンターテインメントの国

日本は休みの使いかたも下手クソなひとが多い (まあ「日曜日」てのは、輸入した比較的新しいシステムだからな) けど、アメリカ人て遊びかたもうまい

あんまりお金をかけないで、休日を楽しむ方法をいろいろ知っている。さすがエンターテインメントの国

ぼくがホームステイした先の長男 (住んでる場所は別だった) てのが、映画のイーサン・ホークそっくりで、何やってんだかわかんない (本人は大工みたいなこと言ってた) けど、いろんな遊びを知ってて、すんごいカッコよかった。

何つーか、教養は (おそらく) ないけど、生命力があるんだよね。休日になると友だちだか親戚だかを連れて遊びにきて、ボロい船を直したり、何だかいろんなことして遊んでて、それはそれはとても楽しそうだった。

マリファナも吸ってたな笑。若いころに多少ハミ出しとくと、コストが安くていいな、なんてことも映画観ながら思った (大人になってからズレるとタチが悪い) 。

さいごに

好きなシーンがほかにもたくさんありすぎて、とても言い尽くせない (こんでも短くまとめたつもりです笑) 。

たとえば祖父から猟銃を譲り受けるシーン。試し撃ちしたりなんかして、やっぱアメリカおっかねーなあんて思ったんだけど、後でイーサンパパが「おれが預かっとこう」て言ったシーンに何だかすんげー救われたりとか。あーゆうのが父性なんだろうな。

配管工のエピソードもよかったなあ。後半はあのときのあのひとが!みたいなシーンもちょこちょこあって楽しかった。人生は長い。

あまりにもたくさんの素晴らしいシーンがぎゅっと凝縮されていて、観るたびに感じかたが変わるような気もする。

てまあ、母オリヴィアの男運のなさは、ホントどーかと思うけどな笑!

それとこの映画、21世紀初頭のアメリカ人の暮らしや精神性なんかがしっかりと表現されてると思うので、100年後くらいの未来人が観たら別の意味で感動できるんじゃないかって気もする。

あとあと、本作は久しぶりに「アメリカっていいなあ」て思えた映画でもあった。

何で洋画のが好きかって、やっぱり欧米に対する憧憬だよね。映画を通して外国の暮らしに思いを馳せたいわけで、そーゆう観てるだけでウットリできる映画ってのが、昔はたくさんあった。

最近のハリウッド映画には、その種の憧れは全く抱かなくなってたんだけど、この映画は久しぶりに、アメリカってステキだな、向こうの暮らしもいいもんだな、なーんてふうにも思えましたとさ。

おわり。

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作品情報

あらすじ

メイソン (エラー・コルトレーン) は、母オリヴィア (パトリシア・アークエット) と姉サマンサ (ローレライ・リンクレイター) とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父 (イーサン・ホーク) が1年半ぶりに突然現れ……。

via: シネマトゥデイ

予告編

映画『6才のボクが、大人になるまで。』予告編 – YouTube

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